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2025年11月5日 02:38

トランプ氏が警戒“マムダニ旋風”の原動力は…NY市長選“社会主義”候補が躍進

トランプ氏が警戒“マムダニ旋風”の原動力は…NY市長選“社会主義”候補が躍進
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投開票日を迎えたニューヨーク市長選でトップを走っている民主党のゾーラン・マムダニ氏(34)。富裕層への増税と、それを財源にした社会主義的政策を掲げていますが、トランプ大統領はマムダニ氏が勝利すればニューヨーク市の資金を制限するとし、脅しをかける事態となっています。今、何が起きているのでしょうか。

“マムダニ旋風”トランプ氏が警戒

民主党 ゾーラン・マムダニ候補
「ニューヨークよ。今がその時だ。我々の時代だ」

来年の中間選挙を前に、その“旋風”はトランプ大統領の目にもとまっています。

トランプ大統領のSNS(3日投稿)
トランプ大統領のSNS(3日投稿)
「共産主義者が統治すれば、かつては偉大だったこの街が復活する可能性はゼロだ。存続すら危ぶまれる。私は大統領として無駄金をつぎ込むつもりはない」
マムダニ旋風

「連邦資金を制限する」と目の敵にする理由。やりたい放題のトランプ政権を前になす術がない民主党にとって、ニューヨークではじまったマムダニ旋風は、今後大きなうねりとなっていく可能性を秘めています。

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“家賃凍結”などで支持拡大

ニューヨークの州議会議員であるマムダニ氏はインド系移民のイスラム教徒で、当選すればインド系としてもイスラム教徒としても初めての市長となります。

民主党 ゾーラン・マムダニ候補
民主党 ゾーラン・マムダニ候補
「我々はこの街を取り戻そうとしている。腐敗した政治家と資金を投じる億万長者に向けて、今宵私たちの声を轟かせよう。“ニューヨークは売り物ではない”」
富裕層から財源を集める方針

異色なのは経歴だけでなく、民主主義のもとで訴える社会主義的政策です。家賃上昇の凍結、市内のバスや幼児教育の無償化、公営スーパーの設置など、労働者階級を助ける政策の数々。その財源を法人税や所得税を引き上げることによって賄う、つまりは富裕層から財源を集める方針を打ち出しています。

世論調査

急進左派の重鎮サンダース氏などの応援を受け、前ニューヨーク州知事のクオモ氏とは世論調査で10ポイント以上の差がついています。

集会の参加者
集会の参加者
「彼は市民を理解しています。同じ飲食店に通っていて、問題意識を共有しています。選挙と減税を金で“買おう”とする超富裕層の手先ではありません」
「うねりは大きくなっています。彼は時代の“予兆”です。トランプの対極にいます」
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“マムダニ旋風”の原動力は…

圧倒的な支持を受ける背景にあるものは、労働者層にたまり続けた“不満”です。

コロンビアから移住して22年のシングルマザー、サイーダ・バーカーさん(50)は今回、マムダニ氏に投票しました。

マムダニ氏を支持 サイーダ・バーカーさん
マムダニ氏を支持 サイーダ・バーカーさん
「2.99ドル(約460円)です。シータケ。免疫系の疾患がある子どもがいて、だから買っています。これは5.99ドル(約920円)。見て11.99ドル(約1842円)」
中間層

悩みの種は、やはりインフレと物価高。3人の子どもと住む家の家賃と生活費は、公立学校の教師としての収入だけではまかなえず、離婚した元夫からの養育費などを足して何とかやりくりしています。サイーダさんのような、一定の収入をもつ“中間層”は、ニューヨーク市の約半数を占めますが。

マムダニ氏を支持 サイーダ・バーカーさん
マムダニ氏を支持 サイーダ・バーカーさん
(Q.中間層なのに苦しいのはなぜ?)
「収入がインフレに追いつかない。家賃も食費も賄えません。でも生活保護に頼るほどではない。私はそのはざまにいるのです。マムダニ氏は移民です。夕食をともにしたら目線が同じと感じるでしょう。それが市民を代表すること。対立候補とは違います」
中間層の不満が原動力

社会主義的な政策に賛否はある一方、こうした中間層の不満が“マムダニ旋風”の原動力の一つとなっていることは確かです。

戸別訪問で支持を訴えるのはマムダニ氏の支援者、マグダレナ・モランダさん(23)。見据えているのは、マムダニ氏の躍進が全米にインパクトを与える未来です。

マムダニ氏を支持 マグダレナ・モランダさん
マムダニ氏を支持 マグダレナ・モランダさん
「圧勝して真の民意を得ないと。100万票差で勝ってほしい。ここはアメリカ最大の都市で、最も重要な文化の中心地です。市長選でトランプ氏が毛嫌いする社会主義者を選出できれば、アメリカを取り戻し、より良い未来を模索できます」

ニューヨーク市長選は、日本時間の5日午後にも大勢が判明します。

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