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報道ステーション

2025年11月6日 02:35

「反トランプ」民主党に勢い?NY市長選“民主社会主義”マムダニ氏が当選

「反トランプ」民主党に勢い?NY市長選“民主社会主義”マムダニ氏が当選
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4日に投開票となったニューヨーク市長選は“民主社会主義”を掲げた、民主党のマムダニ候補が当選しました。トランプ大統領が「共産主義者だ」と反発していたマムダニ氏の当選で、今後に影響は出るのでしょうか。

“急進左派”候補が市長に

社会主義的政策を掲げ“連邦資金を制限する”とトランプ大統領から脅しもかけられていた若手候補か。紆余曲折あって無所属で出馬し、トランプ大統領が応援していた民主党の中道派か。大勢は投票締めきりの30分後に判明しました。

マムダニ氏

市民が選んだのは34歳のマムダニ氏。富裕層への増税を財源とし、家賃凍結や最低賃金を倍にすることなどを目指す、民主党の中でも極端な政策を掲げています。

民主党“民主社会主義”ゾーラン・マムダニ候補
民主党“民主社会主義”ゾーラン・マムダニ候補
「今夜、逆境を乗り越えた。未来を手に入れた。我々は王朝を打ち破ったのだ」
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“社会主義”で対トランプ鮮明に

トランプ大統領に対しては宣戦布告ともとれる発言もありました。

民主党“民主社会主義”ゾーラン・マムダニ候補
民主党“民主社会主義”ゾーラン・マムダニ候補
「ドナルド・トランプ見ているはずだ。だからこの4つの単語を贈る。“Turn the volume up”(音量を上げろ)。トランプ大統領よ。我々の誰かに手出しするなら、我ら全員を相手にすることになる」

名指しされた当人は。

トランプ大統領のSNS(4日)
トランプ大統領のSNS(4日)
「専門家によれば共和党の敗因は“トランプが出馬していない”ことと“政府が閉鎖中だった”ためだそうだ」
他の州の知事選でも民主党が勝利

この発言は、同日行われていた他の州の知事選でも民主党が勝利したことも含めてのものとみられます。

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“急進左派”民主党主流に?

200万人以上が投票

ニューヨーク市長選では、前回の倍近い200万人以上が投票する異例の選挙となりました。

CNNアナリスト
CNNアナリスト
「勝利を導いたのは何だったのか。出口調査をご覧ください。ニューヨーカー最大の関心事は明確です。56%は物価高だとしています。物価高が重要だと考える有権者のなかで、マムダニ氏への支持が圧倒的です」
マムダニ氏

異常な物価高に苦しむ労働者層の支持を得て勝利をつかんだマムダニ氏。ただ今後、民主党の非主流派である急進左派勢力がメインストリームになっていくかは未知数です。

民主党員への調査

CBSニュースが全国の民主党員に行った調査では「社会主義に傾くべきだ」と答えたのはわずか22%。党員の60%が「経済政策は社会主義と資本主義を融合させるべき」と回答していて、社会主義路線を全面に出すことには忌避感が強いとみられます。

得票率

市長選の結果を見ても、マムダニ氏と2位のクオモ氏は事前の世論調査ほど大差になっておらず、圧勝とは言えません。この状況を、トランプ大統領はどう見ているのでしょうか。

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“敵視”トランプ政権への影響は

取材をしているニューヨーク支局の小松靖記者に聞きます。

小松靖記者

(Q.この選挙結果、トランプ大統領への影響は考えられますか)

小松靖記者
「トランプ氏はマムダニ氏をことさら目の敵にしてきたことからも、政権に影響があると言っていいと思います。なぜトランプ氏はマムダニ氏を目の敵にしてきたのか。それは、マムダニ氏が瞬く間にリベラルのスターになっていったからです。今回のニューヨーク市長選挙は市長選挙ながら、議論の的は国政にどう影響するか、この1点でした。今スターが不在で弱り切っている民主党にとって、高い発信力・カリスマ性を備えたマムダニ氏は救世主的な存在です。逆にトランプ氏から見ると、とても不都合な存在です。スピーチはめっぽううまい。トランプ氏をディスっては聴衆を沸かせる。トランプ氏からすると絶対に勝たせたくない存在でした。ところが、知事選も含めてトランプ氏は3連敗を喫しました。政権への影響をさせないために、反撃が始まるものとみられます」
サンダース上院議員とマムダニ氏

(Q.一躍スターになったマムダニ氏の主張する方向に民主党は変わっていきますか)

小松靖記者
「左派の重鎮サンダース上院議員らがマムダニ氏の応援に駆け付けるなど、強いリベラルが返ってきたようにも見えます。ただ、民主党の主流派は最後までマムダニ氏支持でまとまることができませんでした。トランプ氏に対抗するためのリベラル結集のチャンスは目の前に降ってきていますが、果たして民主党がリスクを取ってより左に寄せることができるのか。色々と天秤にかけた結果、穏便路線に行くのか。今後はどちらの道を行くかの決断ができるかどうかに、かかっていると言えます」
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