映画『恋するプリテンダー』などで有名なハリウッドの女性俳優、シドニー・スウィーニー(28)の服装が話題になっている。10月に開催された、活躍する女性を称えるイベント「Power of Women 2025」に、透けた素材のドレスにノーブラ、バストトップもほぼ見えてしまうような服装で登壇したのだ。
「女性の皆さん、勇気を出すのに、誰かの許可を待つ必要はありません。誰かを安心させるために、縮こまる必要もありません」といったメッセージには称賛が上がる一方で、「常軌を逸している」「“女性の力”って…?ほとんど裸みたいな格好でステージに立って、それが本当にそうなの?」との批判も出た。
これまでもハリウッドの女性俳優による露出の高い服装は、たびたび物議を醸してきた。服装は何を表現するのか、『ABEMA Prime』で議論した。
■ギャルタレント・あおちゃんぺ「あまり違和感は覚えなかった」

結婚相談所「マリーミー」代表の植草美幸氏は、「綺麗だと思った」と肯定的な見方を示す。「自分を表現するのに何を着てもいいと思うが、婚活の場ではあり得ない。『TPOに合わせた服で来てほしい』と、皆がいろいろと言っているのだろう。主催者側がドレスコードを示していれば準じるはず。それがなかったとすれば、本人の意図で胸やウエストを出して、他人に言われるいわれはない」。
数カ月前、シドニーを起用したデニムのCMも物議を醸していた。「シドニー・スウィーニーは素晴らしいジーンズ(JEANS)を持っている」のキャッチコピーとともに、「遺伝子(genes)は親から子へと受け継がれる」「私のジーンズ(jeans)は青」とかけ合わせた内容が、人種差別的だと炎上。一方で、トランプ大統領は「もしシドニー・スウィーニーが共和党員なら、彼女の広告は素晴らしい」と称賛した。
TikTokerでYouTuberのYunaは、「アジア人としてアメリカに17年住んだ経験からすると、広告に対するマイノリティーの声が過敏だと感じる」という。「人種差別で苦しんでいる人がいるのは事実だが、マーケティングはニッチにやるべきもの。白人に向けた広告かもしれないし、黒人やふくよかな人に向けた広告はおそらく批判は出ないだろう。白人が強かった時代が長いから、強い人を叩きにいっている感じもする」との見方を示す。
ギャルタレントのあおちゃんぺは、「違和感を覚えなかった」とコメント。「水着を着るときに、“男性は上半身裸、女性はツーピースのものを着なければいけない”となるが、本来のフェミニズムは“女性も上半身を露出する権利を持っていい”というものだと思う。彼女が出したいから出したなら、何も批判するところはない」と語った。
作家の竹田恒泰氏は「日本のイベントであの格好だったら、この反応では済まない。アメリカはアメリカで、イスラムはイスラムだ。そもそもイベントでの服装であり、このまま交通機関に乗っていない。にも関わらず、これを見て『女性として正しいから』と、日本人がこうした格好で出歩き始めたらどうなのか」と疑問を呈する。
この懸念にYunaは「私はいつも足を出しているが、女性のほうから『よくこれで歩けるね』とコメントをもらう。日本では流行らないと思う」と否定した。
露出の多い格好は法律上どのような扱いになるのか、奥村&田中法律事務所の奥村徹弁護士に聞いた。公共の場での下着や胸が露出している格好が公然わいせつ罪にあたるかを聞くと、「下半身を露出した場合に適用されるため、公然わいせつ罪にはならない」との見方を示す。一方で、「身体露出罪」「迷惑防止条例」に該当する可能性はあり。ファッションなど正当な理由がある場合は罪に問われないことが多いが、公共施設側が退出を求めることは可能だとした。
■見られてもいい?あくまで自分のため? 男性が見てしまう心理
シドニーはVariety誌のインタビューで、「賛否両論、意見が分かれる役をたくさんやっている」「(それに対して)『彼女はセックスシンボルだ』などと思う人がいたら、私は自分のためで、気分がよく、強さを感じられるからやっているだけ」と話していた。

Yunaは自身のファッションについて、「今は寒いから背中だけだが、夏はもっと出す。出すのが好きだからだ。そうすると背筋がピンとして、コンシャス(意識的)になる。パジャマでコンビニに行くときは猫背だが、背中が出ていれば『筋トレ頑張ろう』となる」と自身のスタンスを説明する。
あおちゃんぺも、近い事例として「足がキレイなモデルが、家でもスキニーパンツとハイヒールを履いて、足を緊張させると言っていた」と紹介。「自分を律するための人もいれば、私のように自己表現としてやっている人もいる。『体を出したい』というより、かわいいファッションに、おなかや足がパーツとして組み込まれているだけだ。ギャルの時は『ケツは足だ』と言って、半分くらい出していた。日本でバストトップを出して歩く人はいないが、いたとしても、それぞれの表現としてあっていいと思う」との考えを述べた。
男性が女性の露出を見てしまう心理について、「ゆうメンタルクリニック」ゆうきゆう院長は、「生存のために重要な本能」だと指摘。異性に性的な魅力を感じ、行動するからこそ子孫を残してきたと話す。また、男性は視覚で興奮しやすいとされているとして、「つい見ちゃうのはすぐには直せないのでは。人間は『快感』が生じるものは直しにくい」とした。
そんな中、Yunaは「体感的に、男性からむしろ『見ちゃいけない』と配慮されているように感じる」と話す。
あおちゃんぺは「チラッと見るのはいい。私も目新しいものであれば、服装でなくても見てしまう。ただ、服装に関係なくガン見する行為は非常識だ」と考えている。「はだけていたり、体が大きかったり、男性にも見たくない格好の人は正直たくさんいる。でも、それを許容するのが社会だ。『美しい男女しか歩くな』ではない。女性も好きな格好をするし、男性もムキムキじゃなくていい」。
植草氏によると、露出の多い女性が不利な場所もある。婚活市場では、コンサバ系には需要があるものの、セクシー系は不評だそうだ。露出が多いと、男性から軽い女性と思われ、敬遠される要因になるという。また、たとえ男性側がよくても親世代からは、成婚への障害にもなりうると説明し、「ワンナイトラブや恋愛ならよいが」と忠告する。その上で、「そもそもファッションはTPO。場面に合っていれば、別に何を着てもいいと思う。『年齢らしい服を着なさい』と言う人も、大きなお世話だ」と述べた。(『ABEMA Prime』より)
