トランプ大統領は14日、少女への性的虐待の罪で起訴され、その後死亡したジェフリー・エプスタイン氏とビル・クリントン元大統領ら民主党関係者との関わりを調べるよう司法省に要請した。
民主党関係者の捜査を
ワシントンに設置されたのは、トランプ大統領とエプスタイン氏の友情を揶揄（やゆ）した作品。その名も「永遠の親友」だ。
少女への性的虐待の罪で起訴され、その後死亡したエプスタイン氏を巡る疑惑への関心が高まっている。
12日、民主党議員団が公開した文書によると、エプスタイン氏が元交際相手に宛てたメールに、トランプ大統領と被害者の女性がエプスタイン氏の自宅で「何時間も一緒に過ごした」と記されていた。
エプスタイン氏は「トランプ氏は、少女たちのことを知っている」と綴っていたという。
トランプ大統領は、性的人身売買については知らなかったと主張しており、メールの内容は矛盾することになる。
「私は、そのことについては何も知らない。本当なら、とっくに公表されているだろう。むしろ、エプスタインがクリントンやハーバード大学の学長…そうした人々とどんな時間を過ごしていたのか、ということだ」
トランプ大統領は14日、司法省に対してエプスタイン氏と、クリントン元大統領ら民主党関係者との関わりを調べるよう指示。
トランプ大統領自身の疑惑を追及する民主党に対抗する狙いがあるものとみられる。
CNNによると、クリントン元大統領は2002年から2003年にかけて、エプスタイン氏のプライベートジェット機の運行記録に少なくとも16回搭乗しているほど親しい関係にあった。
しかしクリントン元大統領は、エプスタイン氏の犯罪を知る前の2003年までに関係は終わっていたとしている。
「エプスタイン氏は民主党支持者だった。共和党の問題ではなく、民主党の問題だ。時間を浪費するな。私は国を運営しなければならない」
トランプ大統領 支持層に亀裂か？
民主党関係者を狙ったエプスタイン事件を巡る対応のなかで、トランプ大統領と支持者たちとの間に亀裂が入っているようだ。
連邦議会下院のマイク・ジョンソン議長は12日、司法省に対しすべての文書の公開を義務付ける法案を今週にも下院本会議に提出すると公表した。
下院での採決を強制するための超党派による請願書の署名数が、必要数の218に達したとしている。
署名したなかには、トランプ大統領を熱狂的に支えるMAGA派として知られる共和党のグリーン下院議員も含まれているとしている。
14日、トランプ大統領は自身のSNSで、請願書に署名したグリーン下院議員の支持を取り消すと表明した。
グリーン氏は、トランプ大統領を熱烈に支持する姿勢をアピールして2020年の選挙で初当選し、現在3期目。しかし、最近はイスラエルへの支援や外国人労働者の受け入れなどを巡って、トランプ大統領をたびたび批判していた。
CNNによると、ホワイトハウスはすでに署名した共和党の主要議員と地下の戦況報告室で会合を開いたとしていて、トランプ大統領本人は、民主党に同調してエプスタイン文書の開示を迫った共和党議員らに対し、公然と圧力をかけたと伝えている。
支持者も事件解明を望む
しかしトランプ大統領の支持者たちも、エプスタイン事件の解明を望んでいるという。
7月のFOXニュースの世論調査ではエプスタイン事件に対して、政府が透明性のある対応をしてきたと考えた人はわずか13％で、そう思わないと答えた人は67％に上った。これには共和党員の60％、MAGA支持者の56％が含まれていると伝えている。
アメリカ政治に詳しい同志社大学大学院の三牧聖子教授は、文書の開示を求める声が、超党派に広がっているにもかかわらず、応じないトランプ大統領の行動は「MAGA派への裏切りではないか」と懸念や疑惑をいっそう強めているとみている。
一方で、開示を求める姿勢を崩さないグリーン議員に対しては、「『真のMAGA』との称賛や共鳴が広がっている。MAGAにとっては、トランプ支持を支えてきた重要な部分が毀損されることになるため、このままではMAGAという存在が崩壊してさらに支持率を落としてしまうのでは」と指摘している。
（「大下容子ワイド！スクランブル」2025年11月17日放送分より）