国際

グッド!モーニング

2025年11月22日 14:49

タイで「徳政令」 借金の一部免除 5800億円規模“不公平”の声も…政府の思惑は?

タイで「徳政令」 借金の一部免除 5800億円規模“不公平”の声も…政府の思惑は?
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 18日、タイ政府は市民の借金の一部を免除する徳政令を閣議決定しました。日本円で5800円規模の返済が免除される見通しです。

「徳政令」で借金の一部免除

住宅ローンとカーローンを組む20代
「(Q.タイで借金返済が一部免除になる)すごいですね。金利は上がり続けるのでうらやましいです」
住宅ローンとカーローンを組む50代
「(Q.タイで借金返済が一部免除になる)日本もあったらいいですよね。定年になってまで今のローンは…。利息のほうが高かったりするので」

 日本では鎌倉時代などに出された「徳政令」。「借金帳消し」でデフレ脱却を図る“奥の手”とも“禁じ手”ともいわれる経済政策です。

「借金をなくして前進する」
「借金をなくして前進する」

 18日、タイ政府が閣議決定したのは…「借金をなくして前進する」。

 来年1月から始動するこの政策の予算規模は、最大1200億バーツ、日本円でおよそ5800億円です。

タイ エクニティ副首相兼財務相
タイ エクニティ副首相兼財務相
タイ エクニティ副首相兼財務相
「この取り組みで、タイの債務者が『呼吸しやすく』なるようにします」
対象は借金総額が10万バーツ以下
対象は借金総額が10万バーツ以下

 対象となるのは、借金総額が10万バーツ、日本円でおよそ48万円以下で、返済不能に陥った国民、340万人です。

 すべての借金がなくなるわけではなく、元本の返済義務は残り、利息の支払いが免除されます。

政府の思惑は「選挙」

 タイの人は借金に対して抵抗感が低いといいます。人気の通販アプリには後払い・分割払いの専用ページがあり、ちょっとした買い物でもよく利用されるということです。

 現地に駐在しているJICAの安原裕人さんに、タイ人の金銭感覚を聞いてみると。

「金融リテラシーがまだ不十分」
「金融リテラシーがまだ不十分」
JICA タイ事務所 企画調査員
安原さん

「先進国に上がる前の段階ですね、とはいえ、SNSやいろんなところで先進国のようなというか、ブランド品や色々な教育とか、スタバのカフェとかも120バーツ(日本円で577円)とかでも普通に売れていきます。情報は先進国並みになってきているなかで、所得が追い付いてない。金融リテラシーがまだ不十分なところがあると思う」
タイの「徳政令」
タイの「徳政令」

 タイの「徳政令」では利払いの免除だけでなく、元本を完済すれば、延滞などの信用を損なう情報が削除されます。新たにお金を借りやすくして、消費を刺激する狙いです。

「徳政令」にタイ政府が踏み切る理由は「選挙」
「徳政令」にタイ政府が踏み切る理由は「選挙」

 「徳政令」にタイ政府が踏み切る理由は「選挙」です。現在の首相は9月に就任したばかりで、来年1月末にも、解散総選挙を行うと明言。即効性のある政策で支持拡大を狙っているとみられます。

 タイの専門家は、「徳政令」の副作用を懸念しています。

ノナリット・ビソンヤブト氏
ノナリット・ビソンヤブト氏
タイ開発研究所リサーチフェロー
ノナリット・ビソンヤブト氏

「政府は利息の支払い期日を守らない人々を支援することになります。そんな政策に人々は政府がそのグループを甘やかしていると考え、なぜ政府はちゃんと返済している人々を支援する政策を打ち出さないのか疑問に思うかもしれません」

(「グッド!モーニング」2025年11月22日放送分より)

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