G20サミット出席のため、高市総理が南アフリカに到着しました。焦点は、中国側と接触できるかです。日本への渡航自粛の呼びかけから1週間。観光地では変化も。(11月22日OA「サタデーステーション」)
高市総理初参加のG20開幕
22日、G20サミットが開幕。高市総理大臣が姿を見せました。注目されるのは、高市総理の台湾有事に関する答弁を巡り日中関係が急速に冷え込む中、出席している李強首相と接触するかです。
「国際社会が複合的な危機に直面する中、今こそすべてのG20メンバーが責任を共有した形で課題解決やグローバルガバナンスの構築を進める必要があります」
高市総理のスピーチ直後の李強首相は、表情を変えることなく、固い表情のままでした。G20期間中に接触し、関係改善は図られるのでしょうか。
“渡航自粛”観光地で変化は?
連日、高市総理の風刺画を投稿している中国軍の広報。22日の一枚は、パンドラの箱を開ける高市総理です。箱から出た煙には「戦争」や「混乱」の文字。エスカレートする中国の対応。
富士山5合目では…。
「午前10時過ぎ、富士山5合目です。外国人観光客が続々と到着しています」
中国の外務省が国民に対し日本への渡航を自粛するよう呼びかけて一週間が経ちました。バスから続々と降りてくる中国人観光客の姿が確認できます。
「(Q日本への渡航の自粛要請が出ていますけど心配はありましたか?)全然。日本には何回も来たことがあるし、治安がいいのは知っているし、食べ物も美味しいしとても楽しいです」
5合目の土産物店によると、22日の中国人観光客の数は例年と比べて変わらないと言います。コンビニと富士山が同時に眺められるお馴染みのスポットでも人だかりができていました。
「旅行は旅行だし、政治は政治です」
バス会社やホテルでは影響も
心配なのは今後です。中国メディアによると、中国の複数の航空会社は23日以降、日本への運航便を減らす計画だと言います。それによって大打撃を被るというのが都内のバス運行会社です。
「またキャンセル…」
来週運行予定だった大型バスをキャンセルしたいという連絡。
「金額にすると4000万円いかないかなぐらいの金額が損失として出ています。中国の団体客がなくなるというのは本当に売り上げにとって痛いこと」
4000万円の穴を埋めようと、電話や現地に足を運んで必死に営業活動を行っていました。すると…
「12月からマレーシア人を対象にしたパッケージツアーを作っているということで、ジョイフル観光で運行ができないかと」
「営業が花咲きました。よかったです、よかったー」
今年の中国人観光客は、10月時点で約820万人でした。旅行スタイルで言うと、団体ツアーはおよそ12%。ほとんどが個人旅行者です。
日本国内の影響は限定的となるのでしょうか。富士山の麓にあるこちらの宿。訪れる外国人観光客のうち8割ほどが中国人観光客だそうです。来月以降の予約に変化が。
「売り上げ約120〜130万円はキャンセルになっています。個人の方も入れて」
個人旅行者からもキャンセルが出始めているそうです。
「長い目で見れば多少影響はあるかなとは思います。これからはどんどん他の国の方に来てもらえればいいなと」
高島彩キャスター
「日中関係の悪化は、水産物の輸出や観光業だけでなく他の分野にも広がっています。北京で予定されていた日本企業と中国商務部長との会合は、中国側の申し出により延期。さらに日中韓3か国の文化相会合も中国側が延期を発表しました。その他、中国で開催予定だったコンサートやイベント、映画の上映なども相次いで中止や延期となっています。柳澤さん、なぜ中国はこれほど強気な発言や行動に出てくるのでしょうか?」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「背景には“戦狼外交”がある。2017年頃から使われ始めた中国の外交姿勢の1つで『協調よりも国益を優先する攻撃的な外交姿勢』を指すんですが、2017年頃から中国外務省は宣伝工作にかなり力を入れてきて、中国の外交官も『目立った発言をすることで、人事面で優遇され出世が早くなる』とも言われてるんです。高市総理の発言に対する中国総領事の過激な投稿(『汚い首は斬ってやる』)や、外務省アジア大洋州局長と話す際に、中国側のアジア局長がポケットに手を突っ込んだままという横柄な姿勢。あれは“戦狼外交”の一端ではないかと見ることもできるんですよね。いずれにしても日本側は、同じ土俵に乗らずに冷静に対応していくことが肝要だと思います」
高島彩キャスター
「ただ本当に看過できない言葉や態度を見ていると、こういった“戦狼外交”が国際社会でいつまでも通用するとは思えないんですが、そのあたりどうなんですか?」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「例えば、中国も日本からの投資が減ったり、企業が引き揚げるということになれば、中国にとっても痛手になりますから、いずれこういう外交姿勢というのは修正せざるをえない時期は来るとは思います」
高島彩キャスター
「今の時点で歩み寄るというのはなかなか難しいかもしれませんが、この亀裂がさらに大きくなる前になんとか対話の糸口というのを見つけてほしいと思います」
