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報道ステーション

2025年11月29日 01:19

避難の遅れ“修繕工事”が影響か…消火活動終了も死者128人に 香港のマンション火災

避難の遅れ“修繕工事”が影響か…消火活動終了も死者128人に 香港のマンション火災
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香港の高層マンション火災は消火活動がほぼ終了し、確認された死者の数は128人に上っています。多くの人が逃げ遅れたこの火災。焼け残ったマンションの窓に注目すると、白いもので覆われているのが分かります。これらは建物の修繕工事のために設置された、発泡スチロール製のボードでした。火が回るのを早めたのに加え、部屋の中から外の様子が見えないことで火災に気付くのが遅れた住民も少なくなかったとみられます。

消火活動終了も約200人不明

丸2日半にわたる消火活動が終了し、28日午後3時に結果が発表されました。

香港保安局長
「これまでの死者は128人です。108人は現場で、4人は病院で亡くなりました。16人の遺体はまだマンションに残っています。これから行う警察の現場調査で新たな遺体発見の可能性もあります」
行方不明

死者128人、けが人も79人に上っています。犠牲者はこれからさらに増える可能性があります。現在も約200人の行方が分かっていません。身元確認が行われている建物では、訪れる人々が悲痛な顔を浮かべ、時に慟哭が響き渡ります

姉が行方不明
姉が行方不明
「最初に火がついたマンションに姉が住んでいました。言葉になりません」
家族が行方不明
家族が行方不明
「もう希望はありません」
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避難の遅れ“修繕工事”が影響か

なぜ120人以上もの命が奪われる事態になってしまったのか。警察は、マンションの窓に張られた発泡スチロールが大規模火災の要因だったと結論付けているようです。

香港保安局長
香港保安局長
「マンションの防護ネットを調べた結果、燃えにくい材質と判明しました。ただ、窓をふさぐ発泡スチロール板は非常に燃えやすいものと分かりました。窓をふさぐ発泡スチロールが次々燃え広がったため、窓ガラスは熱で爆発し、火の手が強くなり、室内に一気に燃え移りました」
避難の遅れ

この発泡スチロールが避難の遅れを招いたという指摘もあります。火災前に撮影された映像には人々が居住する部屋の窓にも、白いボードがびっしりと張られています。窓が塞がれていたことで火災の覚知が遅れたと複数のメディアで報じられています。

避難した住民
避難した住民
「窓は全部閉まっていました」
(Q.発泡スチロールでふさがれていた)
「そうです。修繕工事が始まって以降、ほこりが入るのを防ぐため、窓やドアは全部閉まっていました」
(Q.犠牲者が逃げ遅れたのは修繕工事で窓を閉め切ったからでしょうか)
「それは大きいと思います」
避難した住民
避難した住民
「部屋は今煙が充満しておりもうドアを開けられません」
最初に出火した棟の2階

最初に出火した棟の2階に住む男性が発生直後に撮影した映像では、窓の外が見えていました。これは塞いでいた発泡スチロールがこの日はたまたま外れていたからだといいます。

2階から避難した住民 ウィリアム・リーさん
2階から避難した住民 ウィリアム・リーさん
(Q.火が出たことはどう知った)
「妻からの電話で知りました。最初はそれほどひどいものだと思いませんでした。ドアを開けた瞬間に大量の煙が入ってきて、直ちにドアを閉めました。その瞬間、事の重大さが分かりました」

2階だったことで救助が早く到着し、リーさんは避難することができました。しかし、ここは31階建ての高層マンションです。上層階の住民も早い段階で火や煙を見ていれば、避難に動けた可能性があります。

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火災報知器も「効果的に作動せず」

さらにもう1つ、避難の遅れにつながったと指摘されているものがあります。火災報知器です。

避難した住民
避難した住民
「警報は全く鳴っていません。報知器のガラスを破り、ボタンを押しても鳴らなかったそう。電線は修繕工事のため切られていたそうです」

火災報知器が作動しなかった理由にも修繕工事が絡んでいた可能性があります。

香港メディア『明報』
香港メディア『明報』
「マンションに勤務していた警備主任が、管理オフィス内の火災警報システムが何度も停止されているのを見たと語った。工事作業員が避難階段を通って出入りするため、警報が作動しないよう停止させていた可能性があるという。彼は何度も上司に報告したが、状況は改善されなかった」

消防もこの一件を問題視しています。

消防局長
消防局長
「昨日、消防署の専門チームを派遣し、マンションの火災報知器を緊急点検した結果、火災報知器は効果的に作動しなかったことが分かりました。まもなく法に基づき責任を追及したいと思います」
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