高市総理の発言に対して、圧力を強める中国。なぜこれほど強硬な姿勢を取り続けるのか。中国国内での取材から、背景の一端が見えてきました。(11月29日OA「サタデーステーション」)
紅葉見ごろの京都で“思わぬ変化”
紅葉の見頃を迎えた京都。
「午後6時の京都の永観堂です。ライトアップされた紅葉が幻想的な道を作り出しています。境内にはたくさんの方が訪れていまして、皆さんこの光景を楽しまれています」
京都の紅葉の名所の1つ、永観堂では約3000本のモミジが境内を彩ります。
「びっくりするほどきれいやな」
「めっちゃきれい、びっくり」
夜も昼も観光客が押し寄せていましたが、今年は例年と比べ、ある違いが…。
「中国の方が多かったんですけど、途中からピタっと来られなくなったなと思います。影響出るかなと思っていたんですけど、さほど感じてなくて、逆に日本の国内の方が戻ってきた感覚がありまして」
訪れる外国人観光客のうち、7割ほどが中国人だったそうですが、ほとんど見られなくなったと言います。
中国政府が日本旅行の自粛要請をしてから2週間。思わぬ変化も見えてきました。
利用客の7割が外国人観光客だという、清水坂近くの着物レンタル店でも中国人観光客の替わりに増えたのが…。
「台湾とか韓国の方が増えたかなというのと、日本のお客さまが増えた実感はある。体感は、中国の方はお見かけしなくなりました」
オーバーツーリズムを懸念して足が遠のいていた日本人観光客の姿が増えたと言います。
「今まで人が多かった分、ちょっと控えていたところを、今回行ってみようかなと思って」
国内の不満を外に?強硬姿勢のワケ
「日本は歴史的罪責を深く反省し、歴史の教訓をくみ取り、「一つの中国」原則を厳守し台湾問題において慎重な言動を取るべきだ」
連日、日本に対し非難を続ける中国政府。この緊張関係が影響してコンサートの中止が相次いでいます。28日、歌手の大槻マキさんはステージでパフォーマンス中に中断せざるを得ない事態となったと言います。また、歌手の浜崎あゆみさんは、29日に行う予定だった公演を中止すると、28日に発表しました。
なぜ、中国は強硬姿勢を取り続けるのでしょうか。中国情勢に詳しい阿古智子教授は、国内事情による不満を外に向けるためでもあると語ります。
「電気自動車とかAIとか好調の分野もありますけれども、いま中国国内も失業率が高くて、不動産価格も下落していて、非常に厳しい中で国民の不満が高まる一方です。ですから言論を統制して、外に強く出るという姿勢は変わらないと思います」
不景気だという中国はいま、どんな状況なのか、北京へ行ってみると。
「こちらに見える全ての商品は割引き価格となっています。例えばこの水は元々2元のものが1.5元。だいたい30円ほどになっています」
ビーフジャーキーはおよそ半額。7割引きのドリンクもあります。あるお店では、わずか70円ほどで朝食が食べ放題です。
中国はいま、デフレ圧力にさらされていると言われ、激安店に人が押し寄せています。料理を好きなだけ取れ、おかわりも自由なバイキング形式の飲食店のお値段は…。
ANN北京支局 尾崎圭朗記者(28日 北京市内の飲食店)
「(お皿に)かなりいっぱいになりましたが、これでおよそ400円ということです。非常に安いですね」
こうしたお得なお店が増えていると言います。
「安いお店が沢山増えているのは、経済が後退していて、収入が思うほどなくて、みんな消費を抑えているからですよ」
「みんなが消費を抑えているから私は収入が減りました。2〜3割減ったので苦しいです」
中国の卸売物価指数は37か月連続で下落。若者の失業率は、17.3%と就職難となっています。さらに、去年報告されたIMFの推計によると、地方政府の公式統計に記載されていない債務が2024年に66兆元、約1450兆円あると言います。
「今の経済傾向の中では将来の収入は予想がつきません」
台湾で広がる“日本旅行応援”
一方で台湾に行ってみると、思わぬ動きが広がっていました。
「大人が5万900台湾ドルで食事と宿泊代観光スポットのチケット、それからカニもつけちゃおう」
華誼國際旅行社 スタッフ
「せっかく遊びに行くならリラックスできるプランがいいですね」
日本旅行のプランを急きょ立てている、こちらの旅行会社。年末以降に北海道や東京、大阪に行くプランの計画を練っていました。その理由はお客さんからの声でした。
「日本の飲食店や旅行をサポートしましょうというニュースを見ました。実際、旅行に関する問い合わせが増えています」
日中関係が悪化した直後から3割ほど日本旅行への問い合わせが増えたと言います。
「タイガーエアー台湾のキャンペーンも台湾の人が日本に行く意欲に繋がっていると思います」
台湾の航空会社は、期間限定で来年の3月までの日本への航空便に割引運賃を設定しました。うたい文句には、『日本の空室をゼロに!』とあります。実際、台湾の市民からは。
「人が少なくなってホテルも取りやすくなるし、いま行くのがいいと思います」
「中国からの観光客が減れば、ゆっくり観光を楽しめると思います」
米中接近?トランプ大統領の思惑どこに
今後の日中関係はどうなっていくのでしょうか。今週、新たに登場したのがトランプ大統領です。
「私は彼を好きだ。彼も私を好きだ」
トランプ大統領が話す「彼」とは、習近平国家主席です。24日、両者は電話会談を行い、台湾問題について意見交換したと言います。そして、その後に行われた日米電話会談。トランプ大統領側からの呼び掛けだったそうです。
「日米間の緊密な連携を確認できたと思います」
政府関係者によりますと、会談では事態の沈静化に向けて協力していく方針を確認したということです。トランプ大統領には、ある思惑があるとアメリカの外交政治に詳しい前嶋和弘教授は言います。
「中国がこれだけ怒っている。ならばこれを日本に一言言うことで、中国側に『日本にうまく言ってやったぜ』っていう形の言葉で、(中国に)恩を売るということは可能性としてありますよね」
今後、中国側はどんな対応を取ってくるのでしょうか
「これからも挑発的な姿勢はずっと続くと思いますね。中国がある程度安定して余裕がある国になれば、それは少なくなるかもしれませんけど。日本は冷静に中国の特徴、言論空間がどのようにできているか向こうの出方を分析する。そして容易にあおられないようにする」
