アメリカの大手メディアのパラマウントが同業のワーナーに対して敵対的買収を開始すると発表した。買収を進めていたネットフリックスとの対決となるが、この買収劇にはトランプ大統領の関与も指摘されている。
配信vs劇場 どんな影響もたらす?
ハリウッドのパワーバランスに今、大きな地殻変動が起きている。
先週、アメリカの動画配信大手ネットフリックスがワーナー・ブラザース・ディスカバリーと買収で合意したと発表した。その額、およそ11兆円だ。
この買収について、映画パーソナリティの伊藤さとりさんはこう話す。
ネットフリックスはこの買収により、ワーナーが持つ映画「ハリー・ポッター」シリーズだけではなく、「バットマン」や「スーパーマン」といったDCコミックスの映画シリーズ、さらには1億3000万人近い会員を抱える動画配信サービス「HBO Max」を手に入れることになる。
この買収は、私たちにどんな影響をもたらすのか?
また、ワーナーとの買収が実現すれば、ネットフリックスはアメリカでの有料動画配信サービスのおよそ30%ものシェアを握るとされている。
そんななか、入札でネットフリックスに競り負けた、映画を制作・配給するメディア大手のパラマウント・スカイダンスが逆襲に出た。
「我々の申し出は、より強いハリウッドを作ると信じている」
パラマウントはネットフリックスを上回る、およそ17兆円を提示。敵対的買収に乗り出したのだ。
ワーナー買収を巡り、ネットフリックスとパラマウントが激しい争奪戦を繰り広げる事態となっている。
ワーナー買収劇 トランプ氏関与か
アメリカメディアの巨大買収劇で、にわかに存在感を示してきたのがトランプ大統領だ。
トランプ大統領は7日、「ネットフリックスは非常に大きな市場シェアを持っている。ワーナーを傘下に収めると、そのシェアは大幅に上昇する。問題になる可能性がある」と発言し、今後この問題に関与する可能性を示唆した。
その後、パラマウントによる敵対的買収提案が明らかになったことから、トランプ大統領との関連が注目された。
買収を仕掛けたパラマウント・スカイダンスのデビッド・エリソンCEOの父親は、アメリカのIT大手「オラクル」の創業者ラリー・エリソン氏だ。
アメリカメディアによると、ラリー氏は世界第2位の資産家で、トランプ大統領の長年の支援者だという。
また、パラマウントの今回の買収に関する資金の一部はトランプ大統領の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏の投資会社が調達する。
さらに、今回の買収劇で注目されているのがワーナー傘下のニュースチャンネル「CNN」だ。
ニューヨーク・タイムズによると、ネットフリックスの買収内容にはCNNは含まれていないが、パラマウントはCNNを含むワーナーすべての資産の買収を望んでいるという。
この点について、アメリカ政治に詳しい早稲田大学の中林美恵子教授は「メディアを掌握したいトランプ氏が、絶妙なタイミングで介入を『におわせた』ことで、トランプ氏の影がちらつくパラマウント側に勢いがついた可能性がある。投資家の金が集まり、買収が現実的になっていくことも考えられるが、報道機関が関わる問題なので、行政も入念に調査しなければならず、一朝一夕に実現することはないだろう」として、今後の展開には、まだ時間がかかるとみている。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2025年12月10日放送分より)









