規制きっかけの遺族「SNS禁止なら息子は生きていた」豪・16歳未満“SNS禁止”

オーストラリアで10日、16歳未満のSNSの利用を原則として禁止する法律が施行されました。世界で初めてです。
対象となるのは、FacebookやInstagram、YouTube、TikTokといった主要サービス。オンラインゲ―ムなどは含まれていません。

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そして、罰則があります。保護者や子ども自身が直接の罰則対象とはならず、主に運営会社側の責任が問われる点が特徴です。違反した企業には、最大約50億円の罰金が科されます。

オーストラリア　アルバニージー首相
「精神の健康に悪影響が出ていて、多くの若者が苦しんでいる。オンライン上でのいじめ、悪影響があるコンテンツへの利用に親たちは対応を求めている」

オーストラリアでは、10歳〜15歳までの子どもの96％が、SNSを利用しているのが現状です。

SNSが生活の一部となっているいま、どのように受けとめられているのでしょうか。

保護者
「国外から危害が及んだこともあるから、規制したほうがいい」

保護者
「禁止しても無駄。どうせ、みんな抜け道を探すから」

15歳
「SNSを“命綱”として必要としている人もいる。SNS上では自分を理解し、歓迎する人を探しやすい」
14歳
「ストレス発散や悩みごとの相談をする人もいる。力になってくれる人から切り離されるかもしれない」

■“きっかけの遺族”悲痛な思い

この法案ができるきっかけとなったのが、メルボルン郊外に住むウェイン・ホールズワースさん（65）です。

ウェイン・ホールズワースさん
「（Q．法案成立に向け、どんな行動を）政府に働きかけ、『子どもの安全のため、SNSの年齢制限を16歳に引き上げるべき』と訴えた。多くの子どもたちが、自ら命を絶ってしまわないように」

ウェインさんの息子・マックさんは、3年前、SNSの利用をきっかけに被害にあいました。

ウェイン・ホールズワースさん
「ネット上で、18歳の女性と思っていた相手とマックがやりとりしていた。相手は、自分の裸と顔の写真を、当時16歳だったマックに見せた。マックは、相手の要望に応じて、自分の裸の写真を見せた。写真を送った途端、通信は途絶え、電話が鳴った。マックは、女性からだと思い、電話に出たが、実際は、シドニー在住の47歳の男だった。『500ドル送らなければ、お前の裸の写真を拡散する』と言われて、マックは金を支払った」

それだけで終わらず、男は、再び電話で、さらに500ドルを要求。「支払わなければ、写真を拡散する」と脅したといいます。追加の金を支払わなかったため、写真は拡散されました。明るかったマックさんも内向的になり、家に引きこもるようになります。それから1年後。17歳を迎えた直後に、マックさんは自ら命を絶ちました。

ウェイン・ホールズワースさん
「マックがSNSを利用していなければ、SNSの教育を受けていれば、いまでも生きていたでしょう。それ以上に、私もSNSの危険性と裏に潜む凶悪犯の知識があれば、マックは、いまも生きていたはず」

政府は10日、次のようにアピールしました。

アルバニージー首相会見
「国際社会も我々を見て、こう思うだろう『オーストラリアにできるなら、我々にもできる』と」

EUや東南アジア、ニュージーランドなどでも、子どもたちのSNS利用禁止を検討し始め、世界に広がり始めています。