アメリカの新興企業が「空気からバター」を作り出すことに成功しました。従来のバターに比べて、地球環境にも優しいということで、注目されています。
牛乳でなく“空気からバター”
料理にもパンのお供にも、欠かすことができないバター。実はこのバター、牛乳からではなく、空気から作られています。
アメリカのスタートアップ企業「セイバー」によって去年作り出された、新しいコンセプトのバター「セイバー・バター」です。
従来のバターは、牛などの乳や植物の油などから作り出されますが、こうしたものは使われていません。
空気中の二酸化炭素やメタンガスから炭素や酸素を取り出し、水素とともに工場で熱化学処理を加え、合成した「脂肪」からバターを作り出します。
オーナーシェフのコナフトン氏
「私が特に『セイバー・バター』に興味があるのは、まさに美食と環境とテクノロジーの交差点だからです」
このバターに注目するのは、有名レストランや食品メーカーだけではありません。
マイクロソフトの共同創業者として知られるビル・ゲイツ氏がそのコンセプトに賛同し、出資しているのです。
「本物と錯覚」ビル・ゲイツ氏も出資
ビル・ゲイツ氏が出資しているのは、環境問題への対策になるからだといいます。
従来のバターだと、牛を育成する過程で多くの温室効果ガスが発生するため、これをなくすことができないか、というのがプロジェクトの始まりでした。
「セイバー」の方法でバターを作ると、牛を育成する過程が不要となり、温室効果ガスの排出も削減できるといいます。
「牛乳から作られたものとまったく同じ成分の脂肪でした。しかも農地を一切使わず、従来型酪農の1000分の1の水しか使わないのです」
とはいえ、やはり気になるのはその味。一足早くこのバターを試食したゲイツ氏は「本物のバターを食べていると錯覚するほどだった」と話しました。
現在、すでにミシュランの星を獲得したレストランや、ベーカリーと提携が始まっていて、バター入りのチョコレートもアメリカ国内で販売されています。
しかし、一般販売するには、まだまだ課題があるといいます。
キャスリーン アレクサンダー氏
「環境には優しいですが、その代償としてコストが高くなります」
(「グッド!モーニング」2025年12月17日放送分より)







