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2026年1月7日 18:00

ベネズエラ攻撃…石油利権を取り戻す思惑 中国への輸出も警戒か トランプ大統領、コロンビアなどへの介入も示唆

ベネズエラ攻撃…石油利権を取り戻す思惑 中国への輸出も警戒か トランプ大統領、コロンビアなどへの介入も示唆
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 アメリカのトランプ政権によって大統領が拘束されたベネズエラ。暫定大統領となったロドリゲス氏(56)とはどのような人物なのか。そしてベネズエラ国内をまとめることはできるのだろうか?

反米?密告者?ロドリゲス暫定大統領とは

 これまでマドゥロ大統領の右腕と言われていた、ロドリゲス暫定大統領について見ていく。

 ロドリゲス暫定大統領は、父が社会主義組織の指導者だったが、親米政権下で逮捕され、獄中死している。

 ロドリゲス氏はマドゥロ政権下では副大統領と石油相を兼務していて、強い影響力を持つことなどから「女帝」や「虎」という異名で呼ばれることもあったという。

 また、ロイター通信によると、ベネズエラと関係の深い中国やロシアへの渡航頻度が政府高官の中で最も高く、欧米諸国からは制裁対象ともなっていた。

 そんな反米左派のロドリゲス氏が暫定大統領に選ばれたわけだが、スペインメディア・エルデバデは、アメリカがマドゥロ大統領夫妻の拘束に成功した理由について「ロドリゲス氏が居場所をアメリカ側に密告」していたからだと報じている。

ロドリゲス暫定大統領が直面する課題
ロドリゲス暫定大統領が直面する課題

 そんなロドリゲス暫定大統領だがいくつかの課題に直面している。

 去年ノーベル平和賞を受賞した野党指導者のマチャド氏(58)とは対立関係にあり、FOXニュースのインタビューでマチャド氏はロドリゲス暫定大統領が「麻薬取引の主犯の1人」だと批判している。

 さらに、ウォール・ストリート・ジャーナルによると、マドゥロ政権下の2人の幹部との関係も重要だという。

 1人目がロペス国防相で、10年間にわたり軍を統率している人物。そしてもう1人がカベリョ内務相で、警察などに強い影響力を持ち、デモなどを鎮圧してきた人物だという。この強硬派2人がロドリゲス暫定大統領が進めようとしているアメリカとの和解を渋る可能性があるという。

アメリカはパナマ侵攻をモデルケースに?

 アメリカは過去、パナマにも同じような軍事侵攻を行って国際社会の批判を浴びている。

米国 パナマ侵攻をモデルケースに?
米国 パナマ侵攻をモデルケースに?

 1980年代、中米のパナマでは、軍の最高司令官・ノリエガ氏が軍事独裁体制を敷いて実権を握っていた。

 ノリエガ氏は1989年に大統領選に出馬したが、自身の落選が確実となると、この選挙結果を「無効」だと宣言した。これに対して反政府デモやクーデターが起きたが、軍を使って鎮圧した。

 当時、アメリカは、在パナマのアメリカ軍の兵士が殺害されたことや麻薬の密売などの疑いがあるとして、パナマに侵攻。今回と同じようにノリエガ氏を拘束してアメリカへ移送した。

 その後アメリカは、大統領選に出馬していた野党候補を「正当な大統領」だと承認し、パナマ国防軍を解体した。

 当時も国際社会からは批判されたが、アメリカとパナマは経済や安全保障の分野で協力関係を築くようになった。このパナマ侵攻をモデルに、今回の作戦を行った可能性がある。

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米はベネズエラの石油が狙い?

 トランプ大統領がベネズエラに関心を寄せる背景を見ていく。石油利権を取り戻す思惑があるという。

ベネズエラ産原油の特徴
ベネズエラ産原油の特徴

 ベネズエラの原油埋蔵量は推定で3000億バレルを超え、中東を上回り、世界一の埋蔵量だとされている。

 原油はその比重から超軽質油から超重質油まで5種類に分けられるが、ベネズエラ産原油は「重質油」や「超重質油」にあたる。朝日新聞によると、粘度が高いものが大半で、抽出に高い技術的な知識が必要だという。

 一方、フォーブスによると、重質油はディーゼル燃料の生産に重要な役割を果たしていて、トラックなどの大型ディーゼルエンジンに必要だという。

 ベトナムのダン・トリ新聞によると、軽質油が世界中で枯渇する中、重質油は無視できない資源として認識されているという。

ベネズエラの石油産業を牽引した米企業
ベネズエラの石油産業を牽引した米企業

 そんなベネズエラの石油産業にはアメリカ企業が大きく関わっていた。

 ブルームバーグによると、アメリカの石油会社はおよそ100年前からベネズエラの石油産業の担い手として牽引(けんいん)していたが、1999年に大統領に就任したチャベス氏が反米路線を敷き、石油企業は国家が直接管理する、アメリカ企業の資産を接収するなどしたことで、外国からの投資が激減。さらにはアメリカの制裁などの影響もあってベネズエラの石油インフラは荒廃してしまった。

ベネズエラ産原油を巡る思惑
ベネズエラ産原油を巡る思惑

 アメリカが利権を失う中で台頭したのが中国だった。

 ブルームバーグはベネズエラ産原油について、現在ベネズエラの国営企業がそのほとんどを生産しているが、外国企業では中国とロシアの企業が最大級の権利を持っている、というアナリストの分析を紹介している。また、中国は総輸出量の約8割を占めている。

 そこへ乗り出してきているのがトランプ大統領だという。トランプ大統領は「アメリカの石油会社が数十億ドル(数千億円)を投じて(ベネズエラの)石油インフラを直す」「地下から湧く石油のもうけで我々の負担は全額返ってくる」と自国の利益になると強調している。

 ロイター通信は複数の関係者の話として、アメリカとベネズエラ両政府の当局者が、ベネズエラ産原油のアメリカへの輸出を協議していて、輸出先が中国からアメリカに切り替わる可能性もあると報じている。

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トランプ氏 ベネズエラ以外の国にも軍事介入示唆

北中米
北中米

 トランプ大統領はベネズエラ以外の国にも軍事介入を示唆しているという。

コロンビアについて
コロンビアについて

 トランプ大統領は4日、コロンビアについて「コカインをアメリカに売るような病んだ人間が運営する病んだ国だ。今後長くは続かないだろう」と話し、軍事作戦に移るのか聞かれると「良い考えだ」と、攻撃の可能性を示唆した。

メキシコにも圧力
メキシコにも圧力

 またトランプ大統領は、メキシコへの圧力も強めている。

 アメリカでは合成麻薬「フェンタニル」が蔓延(まんえん)していて、2022年には死者が7万6000人以上と社会問題になっている。

 この麻薬についてトランプ政権は、中国の企業が原料を生産したものを、メキシコの麻薬組織が加工して、アメリカに密輸していると主張していて、3日にはFOXニュースのインタビューで「メキシコにも何らかの措置を講じる必要がある」としている。

西半球
西半球

 さらにグリーンランドやデンマークへの圧力も強めている。

グリーンランド領有に改めて意欲
グリーンランド領有に改めて意欲

 トランプ大統領はアトランティック誌のインタビューで、グリーンランドは中国・ロシアの船に囲まれていて、「自国防衛の観点から絶対に必要だ」と改めて領有の意欲を示している。さらにホワイトハウスは、グリーンランドの領有のために「アメリカ軍の活用も選択肢にある」と発表した。

 トランプ大統領の発言に、グリーンランドを自国の自治領とするデンマークのフレデリクセン首相は、アメリカがNATO加盟国を攻撃すれば「NATOひいては第2次世界大戦以来提供されてきた安全保障体制も終わりだ」とトランプ政権の言動を強く非難している。

「米軍活用も選択肢」発言の意図
「米軍活用も選択肢」発言の意図

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ルビオ国務長官はアメリカ連邦議会の議員に対し、トランプ大統領の狙いはグリーンランドの購入にあるとして、軍事行動を示唆するのはあくまでもデンマークに交渉を迫るためだと説明したとも報じられている。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2026年1月7日放送分より)

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