ベネズエラに対するアメリカの軍事行動を受け、高市総理は直接の評価を避けたが、これが国際社会における日本にどのような影響を与えるのか。
『ABEMA Prime』では、日本の今後について考えた。
■「少しフリーハンドを取るような余裕が必要」

東京外国語大学大学院の篠田英朗教授は、日本の外交姿勢に「独自の視点」が欠けていることを懸念した。「欧州は民主主義国だが、ロシア・ウクライナ戦争で非常に苦しんでいる。我々はヨーロッパにいないのだから、欧州の真似をしてロシア・ウクライナ戦争にのめり込み、国力を疲弊させるべきではない。ベネズエラからも距離を置いていい。少しフリーハンドを取るような余裕が必要だ」。
また、「アフリカや中国、あるいはブラジルなどで外交をする際、『あんたのところはアメリカのことしか見ていない』と言われてしまう。トップが『本当は我々も残念に思っている』と一言添えるだけで、アメリカ以外の国々との関係性は変わってくるはずだ」と多面的な外交戦略の重要性を強調した。
■「残念だと思われることは、必ずしも悪いことではない」

元経産省職員で現在は宇宙事業などに携わる武井亜樹氏は、中国の成長戦略を引き合いに、「中国の成功の要因の一つに『韜光養晦(とうこうようかい)』という言葉がある。かつての中国はアメリカに対し『自分たちは何もできない』と弱いブランディングを続け、爪を隠して国力を蓄えた。アメリカはナンバー2になりそうな存在を潰す傾向があるが、中国は気づかれた時にはもうストップできないほど発展していた」と分析。
その上で、「一時的なリーダーの強い発言は心地よいが、内容が伴わずに国が潰されるような追い風に耐えられない国力であれば、今はすべきではない。残念だと思われることは、必ずしも悪いことではないのかもしれない」との見方を示した。
■今後の外交における分水嶺?日本は何をすべきか

法政大学大学院の白鳥浩教授は「ここで日本が何をやるかが、今後の外交にとって非常に重要になってくる」との考えを話す。「アメリカの行動を是認していくと、日本は『二枚舌』だと思われてしまう。ロシアがウクライナに対してやろうとしたことと、今回アメリカが行った残首作戦は、本質的に同じことだ。ロシアにはダメだと言い、アメリカには何も言わない。これでは、今まで日本が積み上げてきた平和国家としての信頼が問われることになる」。
さらに、世界における日本の立ち位置について「日本がどのような認識を持っているかというメッセージは、他国もしっかり見ている。トランプ政権を単に是認するのではなく、世界に対して日本がどのような国家像を目指しているのかを示すべきだ」と主張した。
これに対し、元外務副大臣の佐藤正久氏は、外交における現実の重みについて、「日本の指導者が常に法の支配という理念だけで動いてきたわけではない。イラク戦争の際、小泉総理は大量破壊兵器の証拠が不明確な中でも、日米同盟を優先してアメリカ支持へ振り切った。また安倍総理も、ロシアのクリミア侵攻後に西側諸国が制裁を強める中で、北方領土交渉を重視してソチ五輪の開会式に参加した」と振り返った。
そして、「法の支配は大切だが、その時のリーダーが日本の国益を天秤にかけ、どのような行動を取るべきかを判断してきた歴史がある」と高市総理のコメントも、その文脈にあるとの見解を示した。
(『ABEMA Prime』より)