国際

サタデーステーション

2026年1月11日 02:59

トランプ氏「南米の人はみんな幸せに」ベネズエラ攻撃から1週間 現地では逮捕者も

トランプ氏「南米の人はみんな幸せに」ベネズエラ攻撃から1週間 現地では逮捕者も
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2026年も、世界はトランプ大統領に翻弄されるのでしょうか?年明け早々、電撃的なベネズエラへの軍事作戦に出たトランプ大統領。その後も国際社会を揺さぶる動きが続いています。台湾有事への影響を懸念する声も。(1月10日OA「サタデーステーション」)

女性射殺巡る抗議デモ 全米に拡大

報告・親松聖ニューヨーク支局長(米・ミネソタ州)
「ICE(移民・税関捜査局)の入る連邦政府のビルの前には、このようにデモ隊と警官隊が睨みあう状況が続いています」

年明けからアメリカ国内外で大混乱が続いています。トランプ大統領が「史上最大の強制送還」と掲げる不法移民の取締りですが、ミネソタ州でICE=移民・税関捜査局の職員が発砲し、女性が死亡した事件をきっかけに、抗議デモが全米に広がっています。イランでは、通貨暴落や物価高騰への不満から反政府デモが激化していて、トランプ氏が介入も示唆しています。

世界に衝撃与えた大統領拘束から1週間

そして、トランプ政権が、ベネズエラで独裁色を強めていたマドゥロ大統領を拘束してから1週間。

米トランプ大統領
「我々がやったことで南米の人はみんな幸せになるだろう。“奇跡”と言う人もいるかも知れない。ベネズエラは大喜びだ。国民全員が幸せになる」
ベネズエラ在住ジャーナリスト(4日)
「あれは大統領が住む軍事施設じゃないか、アンテナもあったのに…」
「見えますか、戦車が燃えている」

この映像を撮影した現地ジャーナリストは、ベネズエラ国内はまだ不安定な状況だと言います。

ベネズエラ在住のジャーナリスト
「人々はマドゥロ大統領が拘束されたことを喜んでいます。しかし、暫定政権は(直後に)マドゥロ大統領の拘束を祝う者は投獄されるという法律を施行しました」

この法律によって、3日前にも2人が捕まるなど、合わせて4人の逮捕者が出ています。およそ800人いるとされる政治犯の釈放も始まりましたが…。

ベネズエラ在住のジャーナリスト
「現時点で釈放されたのはわずか10人ほどです」
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国を脱出した移民が見る祖国の現状

知人の釈放を心待ちにしているという、ベネズエラ出身のダニエルさんにも話を聞くと…

ベネズエラ出身のアメリカ人 ダニエルさん
「野党の一員である彼女は、前回の選挙の後、デモを頻繁に行っていました。その後、誘拐され、1年半ほど音信不通です」

ダニエルさんはアメリカ在住で、おととしのアメリカ大統領選の際に、番組がトランプ支持者として取材していました。今回、トランプ氏が踏み切ったベネズエラへの攻撃については…

ベネズエラ出身のアメリカ人 ダニエルさん
「正直、この軍事攻撃は不要であってほしかった。ただ、私たちはベネズエラで30年近く平和的な解決に向けて努力してきたんです。国際社会に訴え、選挙を通して変えようとしましたが、何も変わりませんでした」

ベネズエラの実質GDPは2021年までの8年間で75%以上も縮小したと推定されていて、紛争国を除けば、「この半世紀近くで最大の経済崩壊」と指摘されています。2018年1月に100円だったものが1年後に268万円になる、といったようなハイパーインフレも起きました。

ベネズエラ出身のアメリカ人 ダニエルさん
「多くの人が飢えに苦しみ、私の祖父もその一人でした。以前はぽっちゃりした人でしたが、すっかりやせ細ってしまったんです」

経済回復への期待も膨らむ一方、国連のグテーレス事務総長は、今回のベネズエラへの攻撃について、「危険な前例になる」と指摘。イギリスやEUも、「国際法を順守すべきだ」と批判しています。

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中国はどう出る?台湾有事への影響指摘も

ことし4月に中国を訪問予定のトランプ氏。しかし、今回のアメリカの軍事作戦は、中国の特使らがマドゥロ大統領と面会していた直後に決行されました。クリスマス以降、天候条件を見ながら機会をうかがっていたといいますが、陸上自衛隊の元幹部は、このタイミングにもアメリカの中国に対するメッセージが込められていたのではといいます。

元陸上自衛隊中部方面総監 山下裕貴氏
「(アメリカは)自分の力を見せつけた。裏庭であるベネズエラに(中国は)手を出すな、西半球に手を出すなと。私がアメリカの統合参謀本部議長であれば、年を明けると中国の訪問団がやってくると、この時期を狙って作戦を行った方がより(軍事的に)インパクトがあると大統領に意見具申をしますね」

さらに、台湾統一を目指す中国へのけん制にもなっているといいます。

元陸上自衛隊中部方面総監 山下裕貴氏
「万が一(中国が)台湾海峡に武力で行くような場合については、アメリカは躊躇しないよという信号にもなった」

ただ、山下氏は、中国にとっては台湾への武力行使のハードルが下がったのではないかとも指摘します。

元陸上自衛隊中部方面総監 山下裕貴氏
「アメリカが他国に対して、自分の政策を押し付けるような形で軍事作戦を取ったということは、裏を返せば、中国はアメリカのように軍事作戦を取ってもいいということにもつながりますから、非常に大きな影響がある」

トランプ氏はこうした懸念に対し…

米トランプ大統領(8日NYタイムズ)
「いや、そうは思わない。なぜなら、これは『現実の脅威』だったからだ。中国に人々や薬物がなだれ込んでいるわけでもない。我々が直面してきたような悪いことは(中国で)何も起きていない」
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トランプ氏 強硬姿勢の裏に何が?

高島彩キャスター
「ベネズエラへの攻撃を巡っては国際法違反ではないかとの批判も出ていますが、アメリカが関与を強める可能性がある地域はベネズエラだけにとどまりません」
板倉朋希アナウンサー
「その一つがデンマーク領のグリーンランドです。西半球への影響力を強めたいトランプ大統領は『北極圏での敵対勢力を抑止する上で不可欠だ』として、第一次政権の頃からグリーンランドの購入に意欲を示して来ました。1月8日の報道では住民1人あたり1万ドルから10万ドル、日本円でおよそ160万円から1600万円の一時金を支払う案も協議されていると伝えられています」
「さらにアメリカへの麻薬流入を理由に、メキシコやコロンビアへの介入の可能性が指摘されるほか、反米政権のキューバに関しても『崩壊寸前だ』と、挑発的な発言をしています。また西半球以外では反政府デモが拡大するイランを巡り、デモ参加者らが殺害された場合には軍事的措置に踏み切る可能性を示唆しています」
高島彩キャスター
「柳澤さん、西半球を中心に他国への介入の姿勢を強めるトランプ政権の動きをどう見ていますか?」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「イランについては『長期的な介入は避けたい』というのがトランプ大統領の本音だと思います。地上部隊の派遣までは考えていないということで限定的なものだと思います。しかし、これほど他国への介入について公言している背景には、アメリカ国内向けのアピールという側面が強いと思います。アメリカの今年のカレンダーをみると7月4日は独立記念日、建国から250年の節目なんです。11月には中間選挙を控えています。そういった年に自分の名前をレガシーとして残したいという思いが強いと思います。2026年は言いたい放題やりたい放題に、我々が振り回されそうな年になりそうです」
高島彩キャスター
「トランプ大統領の思惑通りに進むんでしょうか?」
ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「トランプ大統領の支持基盤と言われているMAGA(Make America Great Again)というグループですけれども、その支持基盤に足並みの乱れが出てきている。海外への介入について言及するたびに『アメリカファーストではないんじゃないか』という声が出てきている。経済界からもベネズエラの石油開発で、トランプ大統領は投資計画をアピールしたんですが、アメリカの石油会社のトップが公然と『これは無理だ』と言ってるんです。トランプ大統領の思惑どおりに事が運ぶかどうかは分かりません」
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