国際

サタデーステーション

2026年1月18日 01:51

トランプ氏“軟化”なぜ?4つの要因 専門家は「反発また強まる」イラン情勢行方は

トランプ氏“軟化”なぜ?4つの要因 専門家は「反発また強まる」イラン情勢行方は
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イラン各地に反政府デモが拡がり、緊迫した状況が続く中、外務省は、イラン全土を対象に退避勧告を出しました。一方、トランプ大統領の姿勢には変化も見えています。(1月17日OA「サタデーステーション」)

死者3400人超か “残虐行為”指摘も

トランプ大統領(16日 米ワシントン)
「イランは800人以上の処刑を中止した。彼らはきのう、800人以上を処刑する予定だった。彼らが処刑を中止した事実に私は深く敬意を表する」

物価の急騰などを受けイラン全土に広がった抗議デモ。当局の弾圧で多くの犠牲者が出ることになりました。13日に投稿されたSNSの映像には、若者が走り去る姿が。その直後にバイクで追いかける人物。すると、何発もの発砲音が響き渡りました。

犠牲者の家族
「私のかわいい子よ。お願いだから目を覚ましてちょうだい」

ノルウェーに拠点を置く人権団体によると、殺害された人は少なくとも3428人になると言います。ただ、インターネットなどの通信網が遮断され、何が起きていたのか詳細がわかっていませんでした。サタデーステーションは、当局によってどんな残虐行為があったのか、人権団体に話を聞くことが出来ました。

ノルウェー拠点の人権団体「IHR」代表
「イラン南東部では、建物の屋上に機関銃が設置されていました。スローガンを唱えるデモ隊に対し射撃が開始され、ある病院は80人ものデモ隊の死体で埋まってしまった。今回の殺戮は連携されたものだと私たちは考えています」

この人権団体は18年前からイランで活動してきたと言いますが、今回の犠牲者の数は異常な事態だと話します。CNNによると、自宅の窓から反体制を叫ぶ人でさえもドローンで監視し、後日逮捕していたと言います。実際、ドローンが飛んでいる様子が目撃されています。

ノルウェー拠点の人権団体「IHR」代表
「今回の抗議デモにより政権転覆という危機に瀕しました。現代イラン史でも前例のないことです」
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母国の家族と連絡取れず…募る不安

外務省は16日、イランの危険情報を最も高いレベル4に引き上げ、「退避勧告」を出しました。日本から遠い母国を心配する人が。

テヘラン出身 マンスールさん(16日 東京・板橋区)
「安否確認取れないのが一番困るんですよ」

妹の安否を気にするマンスールさん。13日を最後に連絡が途絶えたと言います。改めて電話をかけてみます。

テヘラン出身 マンスールさん
「鳴った。これ携帯にかけているんだけど出ないね」

デモが拡大する前、妹からは生活の苦しさを聞いていたそうです。

テヘラン出身 マンスールさん(16日 東京・板橋区)
「今日(物を)買って、明日買えないんです。同じ値段で。毎日レートが違うんですよ。そうするともう一個仕事を増やさないといけない」
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イラン国内の今後は?専門家「反発また強まる」

経済の悪化は、欧米などの制裁によるものです。その制裁解除など、打開策が見えないままで国民の不満は収まるのでしょうか?

慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「国民の不満は高いまま、さらに今回多くの死傷者が発生したということで、体制に対しての反発はまたまた強まると思うんです」

16日、アメリカで亡命生活を続けるイランの元皇太子は改めて会見を開き、このように訴えました。

イラン パーレビ元皇太子(16日 米ワシントン)
「イラン・イスラム共和国は崩壊寸前だ。国民は後退していない」

軍や治安部隊の大部分が密かに自分への忠誠を表明していると主張しました。元皇太子の狙いについて、田中教授は。

慶應義塾大学 田中浩一郎教授
「これ、英語で話しているんですね。要はアメリカ国内向けの宣伝であって、トランプ大統領が動くように仕組んだものであって、イラン国民とかイランの治安組織に向けてのメッセージでは全くない」

そのトランプ大統領は、軍事行動も辞さないとしていましたが、イラン政府がデモ参加者の処刑を取りやめたとして態度を軟化させています。ただ、人権団体によると、イラン政府が本当に処刑をやめたかどうかはわかっていません。

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トランプ氏“軟化”の背景は 解説

高島彩キャスター
「ここに来てトランプ大統領が態度を軟化させていますが、その背景を柳澤さんどうご覧になっていますか?」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「大きく4つの理由が挙げられると思います」
「第1は『イラン国内の情勢が沈静化しつつある』こと。力で抑え込んでネットも遮断して、全国に広がっていたデモが沈静化してきている。それからトランプ大統領も言ってますが、予定していた800人の処刑を中止したということで沈静化が見られるということですね」
「第2は『周辺諸国の働きかけと説得』。トランプ大統領は『説得されたわけではない』と言っていますが、サウジアラビアやカタール、さらにはエジプトといった国がイランへの攻撃を自制するようアメリカに働きかけたんです。もしアメリカがイランを攻撃すれば、その報復として周辺諸国が標的になりかねないという背景があったわけです。もう1つはイスラエルですが、イスラエルもここに来てアメリカに攻撃を少し待つようにと。これはイランから報復された時の迎撃体制が十分に整っていないからではないということなんです」
「第3の理由もイスラエルと関係するんですが『ガザの和平計画』。トランプ大統領が、ガザの和平計画の第2段階を宣言したんです。第2段階というのはガザにいるハマスの武装解除。それと復興に向けた動きなんですが、これを進めるためには周辺のアラブ諸国の協力も必要になってくるんです。ですからこれを進めたいというトランプ大統領の思惑があったんだと思いますね」
「そして最後の第4の理由が『トランプ支持者のMAGAの反応』で、MAGA(米国を再び偉大に)、アメリカ・ファーストの考え方の人たちですが、バンス副大統領を中心とした人たちが、アラブ諸国にいろいろな形で関与することについて否定的な考え方なんです。そういった環境を考えると、トランプ大統領とすれば今の段階ではイランに対する攻撃を少し待つということになっています」
高島彩キャスター
「アメリカ・ファーストには、イランへの武力介入というのは矛盾しているということなんでしょうか。そういう話を聞きくと、いまは軍事介入の可能性は低そうですが、日本の外務省が『イランからの退避勧告』を出しています。このタイミングに出たということをどう見たらいいのでしょうか?」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「1月16日に“退避勧告”を出していますが、外務省としては“今後状況が悪化する”という、何らかの情報を持っているのかなという気もするんです。もう一つは、南シナ海にいたアメリカの空母打撃軍が、いま中東に向かっているという情報があります。来週(1月18日の週)中旬以降に、中東付近の海域に到達するということで、こういった動きを考え合わせると、気まぐれなトランプ大統領の気が変わって、また『イランを攻撃する』ということになれば、事態は一気に緊張が高まってしまうので、当面は目が離せない状況ではないかという気がします」
高島彩キャスター
「緊張が高まるとしたら、どういったタイミングでしょうか?」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「一番のカギを握るのは、イスラエルがアメリカに対して『いいですよ、準備が整いました』とメッセージを送った時に動き出すことが十分にあり得ると思います」
高島彩キャスター
「軟化したとはいえ、事態収拾に繋がるのか不透明ということですが、中東の石油に依存している日本なので、しばらく目が離せない状況が続きそうです」
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