タイでは富裕層を中心に、ライオンをペットとして飼うことがブームになっているという。しかし飼育を巡ってトラブルも起き、社会問題となっている。
手に負えなくなる飼い主も
可愛らしい姿を見せる赤ちゃんライオン。その愛らしさから、タイでは今、飼育数が急増しているという。
タイ国内の飼育数は去年時点で624頭。2024年1月に比べ、およそ4倍になったという。
さらに動物園だけでなく、一般家庭でペットとして飼育するのが今タイでブームになっているというのだ。
タイ東部にあるライオンの繁殖施設。オーナーのチャリーサ・チャンピタックさんは、赤ちゃんライオンにひかれて飼育を始め、2009年から繁殖も手がけている。
現在この施設では80頭を飼育、繁殖している。
2022年ごろから、SNSでペットとして飼われるライオンの動画が拡散されライオンブームに火がついたという。
赤ちゃんライオンの愛くるしい動画が広がり、飼う人が増えたというが…。
可愛いらしいライオンも2年ほどで成獣と変わらない大きさに。そのため手に負えなくなる飼い主もいるという。
政府に書簡も「死亡事故が起こる」
そんな中、こんな痛ましい出来事が起こった。
逃げる子どもを追いかける1頭のライオン。去年10月、ペットとして飼われていたライオンが逃げ出し、11歳の子どもが襲われ、重傷を負った。
「本当に怖かったです。その夜は眠れませんでした。ライオンが子どもの上に乗り、その子が『助けて!助けて!』と叫んでいるのに、私たちはすぐに助けに行けなかった。その光景が頭から離れません」
「飼い主は放し飼いのようにしていて『かまない』といつも言っていました。でも結局、家から出たら人をかんだんです。やはり野生の本能があるんです」
鉄の柵で囲われた家で飼育していたものの、扉は簡単に開くようになっていたという。
野生動物の保護を行うエドウィン・ウィークさんによると、タイでは、飼育環境の決まりはあるが、おりの大きさや安全性などについて適切な基準はないという。
誰でも繁殖可能に…
タイでは、ペットとして人気が高まっているライオンが高額で取引される場合もあるといわれている。
ガーディアン紙によると、タイで赤ちゃんのライオンは約79万円で販売されているそうだ。中でも人気の高い白いライオンは、約240万円で取り引きされることもあるとされる。
ガーディアン紙によると、外来種の所有を規制するタイ政府は2019年に「野生動物保護法」を施行。ライオンの飼育を登録制にし、個体識別のためのマイクロチップをライオンに埋め込むことなどを義務化した。
しかし、タイ野生生物保護基金などは報告書で「この法律が、闇のライオンの取引を促進させる意図しない効果をもたらした」と指摘しているという。
というのも、ライオンの所有には許可が必要なものの、繁殖には必要がなく、合法的に所有している人は誰でも繁殖できるそうだ。
さらに、飼育への登録は生後60日以内にとなっているため、それを逆手に取って60日未満であれば子ライオンを合法的に売り買いできるということになり、こうした「お墨付き」を得たことから売買が活発した可能性があると指摘されている。こうした子ライオンの売買は、年間約1億6000万円規模の市場を生み出しているという。
そうした中、問題となっているのがライオンの違法輸出である。
ワシントン条約で、インドライオンやアフリカライオンは輸出入が制限されている。しかし、タイの野生動物保護施設のエドウィンさんは、「カンボジアやラオス、ミャンマーといった近隣諸国にライオンの違法輸出が増加している」と指摘している。「富裕層をはじめ、政府や軍隊、警察の幹部がタイのライオンを飼いたいと思っている」とも話している。
(2026年1月20日放送分より)







