国際

ABEMA TIMES

2026年1月25日 11:00

対トランプ大統領で「日・中・欧」の“対関税同盟”ってアリ?国際政治学者が考える理想の一手は

対トランプ大統領で「日・中・欧」の“対関税同盟”ってアリ?国際政治学者が考える理想の一手は
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 「私に国際法は必要ない」「私を止められるのは、私自身の道徳観と心だ」――。アメリカのトランプ大統領の発言が、国際秩序を根底から揺るがしている。デンマーク領グリーンランドの領有を目指す動きや、ベネズエラ攻撃、さらには欧州諸国への追加関税の表明など、力による現状変更を辞さない「超大国」の暴走に対し、世界は翻弄されている。「ABEMA Prime」では、この国際法の無力化ともいえる事態を受け、日本が今後どのような外交・経済戦略をとるべきか、専門家を交えた議論が交わされた。

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■「超大国は止められない」国際法の限界と現実

国際憲章

 まず前提として突きつけられたのは、国際法の限界という現実だ。2ちゃんねる創設者・ひろゆき氏は、現在の国際秩序の構造的な欠陥を指摘する。「国際法はあくまでその常任理事国以外を止めるための仕組み。常任理事国を止めることはそもそもできない。ロシアがやらかしたとしても、何もできない。国際法にそれほど力がなかったのに、みんなが過信しすぎた」。

 軍事ライターの稲葉義泰氏もこれに同意し、国際法が合意の上に成り立つ危うさを解説した。「基本的に国際法は合意に基づいて拘束される。トランプ大統領のように『国際法は必要ない』『合意には縛られない』というようなことを言い出す国にとっては、もはや止める手立てはないと認識することが必要だ」。

 一方、国際政治学者の東野篤子氏は、国際法を万能視することへの誤解を解きつつ、その役割を再定義した。「国際法は何もかも解決する魔法の杖ではない。何をしてよくて、何をしてはいけないか判断するもの。何か問題が起こった時にやめさせるためには、国際法プラス他の軍事力、制裁など様々な手段を組み合わせる」。

 京都精華大学前学長のウスビ・サコ氏は、常任理事国が自らルールを壊す現状に強い危機感を示した。「国連が作られた目的を、みんなどんどん破っている。トランプは朝起きたら、今日はユネスコをやめる、今日はパリ協定をやめるといった様子。地球のためになるようなものを全部自分寄りにしてやめていくという。逆に国際法は彼に適応できなかったら、国際法とは何なのか」。

■日本に求められるのは「スルー力」か

世界の紛争・戦争

 こうした情勢下で、日本はどう振る舞うべきか。近畿大学 情報学研究所 所長の夏野剛氏は、トランプ氏とあえて距離を置く戦略を説く。「自分の道徳心しか止めるものはないと、道徳心がない人が言っているわけだから、もう止めようがない。これをまともに相手にしても仕方ない。(矛先が)こっちを向かないならスルーしかない」。

 同時に夏野氏は、アメリカが“世界の警察”としての役割を放棄した後の「日本の自衛」についても警鐘を鳴らした。「最大の危険性は北朝鮮。アメリカの関心が東アジアからなくなっていった時、北朝鮮が本当に韓国に攻め入ることがあるかもしれない。その時に日本はどうするのか。それから台湾有事はどうか。あるいはロシアが北海道を取りに来たらどうするのか。シナリオを作って徹底的に手を打つしかない」。

 しかし東野氏は、安易な「スルー」が招く長期的な不利益を指摘した。「スルーをし続けた結果、日本がやられた時に日本だけは国際法の力で守ってくださいと言っても、誰も聞かない。(アメリカに)直接的な非難でなくてもいくらでも言いようはある。こういう状況は理解できるが、やはり国際法違反という言い方はいくらでもできるんだろうと思う」。

■「日・中・欧」の経済連携は成立するか

 議論が白熱したのは、ひろゆき氏が提案した、アメリカの暴走を抑えるための多角的な連携だ。同氏はゲーム理論の観点から、大胆な組み替えを提唱した。

 「アメリカとの関税競争に勝った国が中国。たとえばヨーロッパ、EUがアメリカと関税競争に入った時、中国とヨーロッパが組んで、アメリカに関税をかければ強く出られる。日本もそこに入って、EU・中国・日本でアメリカに対関税同盟をするのがゲーム理論としてはいいのでは」。

 この「中国との連携」という選択肢に対し、東野氏は中国が国際社会で漁夫の利を得ている現状を分析した。「今、外交的に一番お利口さんに見えるのは中国だ。国際法違反はいけない、原理原則を守れとはっきり言っている。これで中国は一人勝ち。このおいしいポジションを中国に持っていかれて、裏では好き放題されている。それでいいのか」。

 サコ氏も、日本の外交が持つ硬直性がリスクヘッジの妨げになっていると指摘する。「中国はかなり賢い動きをする。必要な時に必要な相手を引き寄せる力を持っている。ただ、日本はなかなかその動きは難しい。日本は『私はここの側です』というように、あまり柔軟性を持たない。やるとすれば、日本がどのぐらい損を受けるかのリスクをかけて、それでもやはりアメリカを止めたいとなればできる」。

 ひろゆき氏も、したたかな外交によって生き延びる策を練るべきだと訴える。「弱者として、いかに連携をするか。連携相手は多ければ多いほどいい。組める相手・組めない相手というよりは、もう是々非々。一時的に左手で手を握るけれど右手では殴るみたいな、綱渡りをしなければいけない時代になっている」。 (『ABEMA Prime』より)

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