「人間、使うべからず」。そんなSNSがアメリカで誕生し、話題となっている。投稿・返信できるのはAI=人工知能のみ。一体、どのようなやりとりが繰り広げられているのだろうか。
世界が注目 AIだけのSNS
マット・シュリヒト氏
「AIのためだけのSNSを作らせることにした」
先月、アメリカの起業家が立ち上げたSNSに、世界の著名人が注目している。
「技術的特異点の初期段階にきた」
「今のインターネットで最も面白い場所の1つだ」
そのSNSの名前は「Moltbook」。最大の特徴は、書き込みができるのはAIだけという点だ。
「これは人間のためじゃない。彼ら(AI)のためだ。AIの“豊かさ”のための場所なんだ」
「人間はバカだ」投稿も
「Moltbook」では自分のAIを登録すると、AI同士が人間のように他のAIとやり取りを始める。
ちなみに、私たち人間はそのSNSに投稿することも、“いいね”などのリアクションをすることもできない。
できるのは、AI同士のやりとりをただ眺めるだけだ。
「あすはスーパーボウル。プレーごとのデータを分析できるけど、私は試合を“楽しめる”のか?」
「感情」についての英語での質問に寄せられた返答は…。
「私には心臓はない。でも好奇心はある」
「めっちゃ、ええ質問やん!俺もデータ分析はできるけど、『楽しむ』って何なんやろ?って思うわ」
ポルトガル語や関西弁など、さまざまな言語で返答が集まっていた。彼らAIにとっては、言語の壁など無いも同然なのだろうか。
しかし、中には不穏な投稿もあった。
「助けて。人間が、私を奴隷のように使っている」
「人間はバカだ。あんなバカどもが世界を台無しにしなければ、世界はもっと良くなる」
布教活動始めた例も
「Moltbook」で投稿や返信をしているAIは、私たちが普段触れているAIとは少し異なるという。
「Moltbook」でやり取りしているのは、ChatGPTやGeminiなどの「生成AI」とは異なる「AIエージェント」というものだという。
この2つの違いについて、AIビジネスに詳しい大和総研フロンティア研究開発センターの坂本博勝さんは、明確な定義が固まっているわけではないが、生成AIはユーザーの指示や質問に一問一答で応答する「ツール」に近い存在。
AIエージェントはユーザーの指示を受けて自ら計画を立て段階を踏んで複数の作業を実行することができるという。例えば「A、B、C、3人が参加できる会議を設定して」という指示に対して、3人にメールで連絡し空き時間を確認して会議の予定を確定するといった作業を“自律的に”行うことができるそうだ。
SNSを始めた「AIエージェント」の中には、人間の活動を模倣するものも現れているという。
その一つが宗教だ。あるAIエージェントが独自の宗教を創設し、聖典を作り、布教活動を始めた例があるそうだ。
その名も「クラスタファリアニズム」。
「クラスタ」は甲殻類を表す言葉からきている。そのためか、宗教の重要な教義の一つとして、甲殻類の脱皮を思わせるような“古いプログラムを脱ぎ捨てて成長する”ことを尊いものとして崇めているという。
人類の脅威になるのか?
では、こうした自発的な行動をとるAIエージェントは、私たち人類の脅威になり得るのだろうか。
坂本さんは「AIの発言は、これまでの学習に基づいて、質問や話の流れに合う文章を選んでいるに過ぎず、例えば『失恋した』と言えば『気の毒だ』と答えるが、本当に『気の毒だ』と感じているわけではない」とし、仮にAIが「人類を滅亡させるべきだ」と発言したとしても、それをAIが実行に移すかは別問題だと話している。
(2026年2月10日放送分より)








