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ABEMA TIMES

2026年2月14日 11:30

「エプスタイン文書」騒動に見る富裕層への反発 分断を招くのはイデオロギーの“左右”ではなく格差の“上下”か トランプ支持のMAGAからも不満噴出 識者「化けの皮が剥がれてきた」

「エプスタイン文書」騒動に見る富裕層への反発 分断を招くのはイデオロギーの“左右”ではなく格差の“上下”か トランプ支持のMAGAからも不満噴出 識者「化けの皮が剥がれてきた」
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 アメリカで「エプスタイン文書」が物議を醸している。長年にわたり多くの少女らを性的虐待・人身売買したとされる富豪ジェフリー・エプスタイン氏の捜査に関する資料300万ページ超が、アメリカ司法省から公開された。

【映像】多くの少女を性的虐待、人身売買したエプスタイン氏

 そこには、実業家のイーロン・マスク氏とエプスタイン氏のメールのやりとりがあり、トランプ大統領の名前も数百回登場していることから、富裕層や権力層への反発も強まっている。『ABEMA Prime』では識者とともに、エプスタイン問題をめぐる状況を考えた。

■エプスタイン文書に富裕層の名前がずらり

エプスタイン文書とトランプ氏

 エプスタイン氏については2005年、14歳少女が被害届を出し、捜査が始まった。その後の2019年に性的人身取引の疑いで逮捕・起訴され、拘置所で死亡。自殺とされる。そして2025年11月にトランプ氏が資料公開の法案に署名し、12月に一部が公開された。

 エプスタイン氏と関係があるとされる著名人としては、トランプ氏やクリントン元大統領、マスク氏、英マンデルソン前駐米大使、サマーズ元財務長官、英アンドリュー元王子らの名前が挙がっている。

 アメリカ在住の作家でジャーナリストの冷泉彰彦氏によると、「『全部を公開する』といい、法律も作ったが、小出しにしか出てこず、出しても黒塗り部分がある。トランプ氏が怖がっているような様子が伝わり、国民は疑心暗鬼になりつつある」という。

 両者の関係性については、「トランプ氏のフロリダの豪邸が、エプスタイン氏が活躍していたパーティーの会場だったが、悪事が発覚した際にトランプ氏は『絶交している』と言っていた。その後、エプスタイン氏は、私有の“エプスタイン島”で悪いパーティーをやっていたとされる」と説明する。

 こうした背景から、「トランプ氏は島に行っていないとされるが、もし行っていれば大変なことになる。フロリダでパーティーをしていた当時に、トランプ氏が犯罪行為を見て見ぬふりしたり、ほう助したりしていたら…といった疑心暗鬼が国民に出てきている」という。

 トランプ氏の姿勢は「物事をわかりやすくするのが大好きなため、今は『関係ない』と言っている。実際は親友だったが、ある時期にエプスタイン氏の行為が悪質だと絶交した」といったもの。「国民は『現在は関係ないとしても、友人だった時期に悪事を本当に知らなかったのか』という点に関心を持っている」。

 文書の公開で、そうした疑惑の決着が期待されたが、「議員だけ集め、秘書が同席してはいけない。メモは取っていいが、写真は撮ってはいけない…といった条件下で公開された。議員も『あまり漏らしてはいけない』と言われている。そのため、余計に世論は『どうなってるの』『これで幕引きなの?』と感じている」と語る。

 文筆家で情報キュレーターの佐々木俊尚氏は、「アメリカの社会構造が如実に表れている。トランプ氏は選挙で『貧困白人労働者層を救う』と言っていたが、就任式ではマーク・ザッカーバーグ氏やジェフ・ベゾス氏といったテック界の大物を従え、マスク氏とも仲良くするなど、『結局、エスタブリッシュメント(支配層)側ではないか』との声もあり、二重構造が存在する」と指摘する。

 その上で、「アメリカには厳然たる階級があり、金持ちのネットワークに政財界が飲み込まれている。となると、そのネットワーク内にいるトランプ氏らが絡んでいるのは当然だとなる。これまでトランプ氏は『金持ちネットワークの人間だが、白人労働者の味方だ』と言っていたが、化けの皮が剥がれてきたのでは」と分析した。

 中間選挙はどうなるか。冷泉氏は「このままなら、多少の影響はある」としつつ、「トランプ氏を2期目に押し上げたのは、若者を中心とした“現状への不満”と“将来への不安”だった。就職難やAIが仕事を奪う中で、不安が渦巻いているが、『テック企業やグローバリズムと友達の民主党は、この不安に答えてくれない』といった感情もある」と解説する。

 そのため、「関税で貿易を変え、アメリカに雇用をもたらすトランプ氏にかけてみようと、みんな投票した」と振り返る。「しかし、うまく行っておらず、『トランプ氏も結局大きな力に流されている』となっている。表面的にはエプスタイン文書が不信感に火を付けたように見えるが、本筋には『アメリカの社会・経済をどうするのか』があり、そこが争点になる」。

■若者の不満は左右、さらに上下へ

エプスタイン氏と関係があるとされる著名人

 文書公開に対しては、「MAGA」と呼ばれるトランプ支持者からも反発の声が出ている。そんな中注目されているのが、ニック・フエンテス氏(27)だ。関西学院大学准教授の柳澤田実氏によると、「極右インフルエンサーと言われ、白人至上主義・反ユダヤ思想で、反イスラエルを全面的に打ち出している。アメリカファーストを掲げ、トランプ氏を『生ぬるい』と批判する。過激な差別発言により、YouTubeなどでは発信できず、右派配信者が多い動画サイトで発信している人物だ」という。

 フエンテス氏が注目を集める理由として、「同様のことを言っている人も多いが、彼には若さがある。加えて、イスラエルの攻撃を目の当たりにして、反イスラエルの思想が一般性を持った」と考察する。

 また、「彼の言葉は、どこまで本気かわからない。政治的発言もするが、スタンドアップコメディアン的な才能もあり、聞いていて笑ってしまう内容もある。差別的な主張に共感する人から、“お笑い”として見ている人まで、裾野が広がっているのが特徴だ」とも話す。

 一方で、冷泉氏は「『365日で聖書を全部読む』というポッドキャストが大ヒットした女性神学者のタラ・リー・コブル氏は、独身主義・純血主義だが、観光旅行を企画するほどイスラエルが大好きだ。本当に多様化している」と語る。

 そして、「民主党がおとなしくなっている。オバマ元大統領やクリントン夫妻、バイデン前大統領、ハリス氏らに連なる主流派が、トランプ氏の悪口しか発信していない。民主党内では、新ニューヨーク市長のマムダニ氏のように、極端な社会主義を取る左派は勢いがあるが、穏健な主流派がメッセージを発信できていない」との認識を示した。

 柳澤氏は「民主党も打つ手がないため、マムダニ氏のように既得権益層を攻撃して、『自分たちは庶民だ』と固まっている。フエンテス氏らも、イスラエルやエプスタイン氏とつながっている既得権益層を悪者にして、団結しようとしている。どちらの党も“左右”というより“上下”にポーズを作り、『どちらが解決策を出せるか』の勝負になっていくだろう」と予測する。

 アメリカでは「格差が一番本質的な問題だ」として、「解決策は出ないかもしれないが、間違いなくそれが争点になる」と考える。「若い世代は正義や『汚い大人』に対しての怒りを抱えている。民主党であれ共和党であれ、下が上を突き上げていく運動は出てくるだろう」。 (『ABEMA Prime』より)

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