トランプ大統領が暴走だとすると止められる人間はいるのか。その問いに国際政治学者の舛添要一氏は「いない」と即答した。
19日、トランプ氏は「合意に至らなければ不幸な結果となるだろう。10日から15日もあれば十分だ」と語った。
トランプ政権による軍事介入の危機が懸念されている、イラン。アメリカはイランに向け空母2隻を展開。早ければこの週末にも大規模攻撃が行われる可能性があるという。それに対してイランもホルムズ海峡を封鎖して軍事演習を実施。オマーン湾ではロシア軍も参加して合同軍事演習が行われ双方の緊張状態が続いている。
イラン国内を巡っては、去年12月から大規模な反政府デモが発生。発端は経済制裁による通貨の急落やインフレによる経済難。最高指導者ハメネイ氏を頂点とする体制に抗議するデモは、人権団体によると治安部隊の弾圧で数千人が死亡したとされる。
イランが経済制裁を受けている理由が「核開発」だ。イラン側は平和利用を主張するが交渉はまとまらず、去年6月、アメリカ軍はイランの核施設に対して地中貫通弾「バンカーバスター」などを使い攻撃した。
去年6月18日に最高指導者ハメネイは「イランは脅威に直面しても降伏はしない。いかなる軍事介入も取り返しのつかない損害を引き起こす」と語った。ハメネイは地下壕に身を隠して指示を出していたとみられている。
そもそもアメリカとイランはなぜ対立しているのか。1970年代、パーレビ国王時代までのイランは石油収入でアメリカから大量に武器を購入するなどして互いに仲の良い間柄だった。
ところが1978年イラン革命が勃発。亡命中だったイスラム教・シーア派の指導者ホメイニ氏が帰還し、反米を掲げ政権を掌握。アメリカに逃れたパーレビ国王の身柄の引き渡しを求め、反米思想の学生がテヘランのアメリカ大使館を占拠。外交官などを人質に取り、400日以上立てこもった。この事件を機にアメリカはイランとの国交を断絶。アメリカはイランをテロ支援国家に指定。制裁を軸とした対立が40年以上、続いている。
こうした中、今月アメリカとイランの交渉が行われたが、最高指導者ハメネイ氏は「トランプ大統領はアメリカの軍隊は世界最強だという。しかしその世界最強の軍隊も時に平手打ちを食らってその場から立ち上がれなくなることもある」と話した。
16日、トランプ氏は「イランが理性的になることを願います。彼らは合意したいのです。合意しなかったときの顛末を望んでいるはずがありません」と述べた。
舛添氏は「(トランプ氏には)関係ないんですよ、国際法とか、同盟とか」と指摘する。
これまでのアメリカの行動を見る限り、主権国家への軍事攻撃、他国の大統領を拘束しアメリカの法律で裁く。時には殺害も辞さない。アメリカのいう「正義」の元には国際法も他国民の生命も軽視されてきた歴史がある。国際社会は非難するがトランプ氏には通じないようだ。
アメリカの攻撃にイランが反撃となると事実上の「戦争」となる。「大激動が起きる可能性がある。私は第三次世界大戦前夜だと思っている」(舛添氏)
緊張が高まる情勢について、舛添氏が解説する。「要するに、核兵器の開発をやっているのではないかとアメリカが疑っている。全部やめると言ってくれれば制裁も解除すると言っているが、そこは言わない。それで揉めていて、言うことを聞かないなら攻撃するぞという形で圧力をかけてきている」。
「2015年7月にアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、中国、ロシアが入って、イランと核合意を結んで、きちんとIAEAの査察も受けて、『これ以上やってはけない』『はい、わかりました』と、そこはOKしていた。ところが、トランプ氏が第1次政権時に出てきたら、アメリカだけ逃げてしまった。俺はそんなの信じないと言って。その後、米軍が革命防衛隊のある部隊の司令官を殺害するとか色々あって。バイデン氏の時に、2015年の核合意に戻ればよかったが、戻らないままバイデン政権が終わってしまった。そうしたら、またトランプ氏がやってきた。各協議を始めたが、イランは話にならないということで、去年6月にイスラエルとアメリカがイランを攻撃するということがあった」と説明した。
「国連もイラン制裁が復活した。ところが、もう生活をやっていけないという人たちが増えて、去年の年末に商人たちが抗議活動を起こして、それが今全国に拡大している。だから新しい要素は、『宗教指導者が支配している体制じゃ俺たちは飯食えないぞ』と体制を壊そうという動きまで出てきている。トランプ氏は『よし、体制壊せ』と、そこまで入ってきた」
今の国内情勢はどうなのか。「インターネットなど遮断しているから捉えられない。例えば『300人死んだ』から『3000人死んだ』まであって、何が本当かわからない。デモも沈静化していると政権側は言うが、ものすごく不満がくすぶっていて、イランの友人が色々情報をこっそりくれるが、とてもじゃないけど生活できないと。とにかく体制を壊してくれてもいいから飯を食わせてくれというぐらいに切羽詰まっている状況で、それはイラン政権が否定しているが、そこまで来ている」。
仮にアメリカとイランが交戦になった場合、世界はどうなるのか。「まずホルムズ海峡を閉鎖する。そうすると石油が入ってこなくなる可能性がある。日本はまた物価高になる。軍事的には、エイブラハム・リンカーンという1隻目に加えて、ジェラルド・フォードという2隻目の空母打撃群が地中海まで入ってきている。イスラエルは今夜から攻撃すると言っている。アメリカは23日か24日にやると言っている。それまでにイランが全部核開発をやめますと言うかって、言わないと思う」。
「イスラエルは今夜やると言っているが、建前上は協議を続けている。トランプ氏が言っているように、一応10日間ぐらいで協議するということだが、トランプ氏が望むような形で、『わかりました、もう万歳します』とイランは言わない。イランは大国だ。軍事的にもものすごい力を持っているし、それからロシアが加わって軍事演習をやっている。中国もそばまで来ている。イスラエルは、とにかくアメリカと一緒に攻撃すると、去年の6月の続きをやりたくてしょうがない一触即発みたいな状況になっている」
アメリカがもし攻撃した場合、現体制の限界を察するイラン国内の気運が、一気に革命へと転じる可能性はあるのか。舛添氏は「それはわからない」とした上で「最初から大規模ではなく、限定攻撃から始める。イスラエルが今夜やると言っているのは、限定攻撃をやって核施設だけでなく、本当にやりたいのはミサイル開発を止めること。核爆弾はまだできていないけど、今持っているミサイルでイスラエルまで届くものがあり、これを潰したいということで、そのミサイル開発基地を限定攻撃すると。まずそれが第1歩。早かったら今夜やるかもしれない。それで圧力をかけて、参りましたとテヘランが言うか。言わなければ、週明けぐらいに全面戦争というのもこれは排除できない。非常に緊迫した状況だ」と解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)