ロシアによるウクライナ全土への侵攻から、24日で4年を迎えます。和平・停戦への道筋が見えない中、犠牲者は増え続けています。この戦争の行方は?そして、日本はどう向き合うのでしょうか?
侵攻から4年 甚大な死傷者数
まずは、最新の戦況についてです。
赤い部分は、ロシア軍が制圧したと主張している地域です。青色の部分は、ウクライナ軍が奪還を主張している地域です。
東部4州の大部分をロシアが制圧しているものの、ここ1年ほどは大きく変わっておらず、今は膠着(こうちゃく)状態となっています。
戦況は膠着していますが、兵士の犠牲は増え続けています。
アメリカのCSIS(戦略国際問題研究所)が先月発表した報告書によりますと、ロシアが全面侵攻を始めた2022年2月から去年末までのロシア、ウクライナ両軍の死傷者の推定数は以下の通りです。
死傷者(行方不明者含む):50万〜60万人
死者:10万〜14万人
死傷者(行方不明者含む):約120万人
死者:約27万5000人〜32万5000人
同じく大国のアメリカが第2次大戦後、最も多くの戦死者を出した朝鮮戦争でのアメリカ兵の死者は約5万4000人であることから、ウクライナ侵攻を巡る戦死者がいかに多いかが分かります。
また、ロシアが制圧したウクライナ領土は4年間でウクライナ全土の12%で、2024年以降に制圧した領土は全土の1.5%にも満たないことから、CSISは「ロシアはごくわずかな戦果のために異常な代償を払っている」と分析しています。
停戦は見通せず…和平協議の現在地
停戦・和平に向けた協議も、思うようには進んでいません。
17日と18日にウクライナ、ロシア、アメリカによる和平協議が行われました。
ウクライナメディアの「ウクルインフォルム(22日)」によると、ウクライナ側は「ドンバス地方からロシア軍も撤退させる必要がある」と主張。双方折り合いがつかず、協議は目立った進展がないまま終わったといいます。
「スターリンク」遮断 攻勢能力50%失う
そんな中、戦況に動きがありました。
「AFP通信(17日)」によりますと、11日〜15日の5日間でウクライナ軍はザポリージャ州の最前線において、201平方キロメートルの領土を奪還したといいます。
この理由について、イーロン・マスク氏が率いるアメリカ「スペースX」の衛星通信サービス「スターリンク」が、ロシア軍のアクセスを遮断したことが影響したのではとの指摘が出ています。
スターリンクは、9000基以上の低軌道衛星があり、遅延の少ない高速なデータ転送が可能。電波妨害に強いことなどから、これまでウクライナ軍が偵察や連絡手段として活用してきました。
スターリンクの端末はロシアへの輸出が禁止されていますが、ロシア軍は第三国からの密輸などで不正に入手し、命令伝達やドローン攻撃などに使用してきたとされています。
今月1日、こうした事態を受け、スペースX社はロシア軍のスターリンクへのアクセスを遮断したと公表。イギリスの「BBC(19日)」によると、ウクライナ軍でドローン操縦を担当しているある兵士は、ロシア軍のアクセスを遮断したことで「(ロシア軍は)攻勢能力の50%を失った」としています。
変化するウクライナ支援
ウクライナへの支援の状況にも変化が出ているようです。
2022年1月24日〜2025年12月31日までのウクライナへの支援額の総額は約62兆円で、そのうちの約3割(約21兆円)を出していたのが、最大の支援国のアメリカです。
しかし2025年3月、トランプ大統領がウクライナへのすべての軍事支援を一時的に停止すると表明。イギリスの「フィナンシャル・タイムズ(2025年3月4日)」によりますと、当時のウクライナ情報機関のある高官は、「最後のアメリカ軍の物資は2〜3カ月で枯渇する。非常に困難な状況になる」と指摘していました。
その後、実際にアメリカが軍事支援を停止したことによって、欧州諸国はウクライナへの軍事支援を約7割増やしました。「ドイツ・キール世界経済研究所(今月11日)」によりますと、負担が増えたことによって、欧州諸国の一部の国に負担が集中する恐れがあると指摘しています。
NATOの新枠組み「PURL」とは?
そんな中、去年7月、NATO(北大西洋条約機構)は、「ウクライナ優先要求リスト(PURL)」という新たな軍事支援の枠組みをつくりました。
これはNATO加盟国がアメリカ製の兵器を購入してウクライナに供与するという形式で、NATOがトランプ政権に働きかけて立ち上げた枠組みです。
この枠組みにはNATO非加盟国である日本も参加を検討しているといい、日本の資金で購入するのは車両やレーダーなど殺傷能力のない装備に限定するとみられています。
そんな中で注目されるのが「デンマークモデル」と呼ばれる支援方法です。
この支援方法は、武器を直接提供するのではなく、ヨーロッパ諸国がウクライナの国内企業に資金を提供し、武器はウクライナで現地生産するというもので、2024年にデンマークが始めました。
「ウォール・ストリート・ジャーナル(2024年11月26日)」によりますと、「西側諸国の在庫が減らない」「低コストで量産できること」などがメリットとして挙げられます。
イランへの限定攻撃を検討
そして、イラン情勢が緊迫化しています。
20日、アメリカのトランプ大統領は、核問題でイランに要求を受け入れさせるため、軍事施設などへの限定的な攻撃を「検討している」と発言しました。
一方、イランのアラグチ外相は20日、核問題について「今後2〜3日でイラン側の提案が最終決定する」と話していました。
そして新たな情報では、イラン高官の話として「アメリカ側と依然として見解の相違があるものの、次回の協議で暫定合意に達する可能性もある」と話したということです。
(2026年2月23日放送分より)









