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2026年2月24日 18:00

ウクライナ侵攻から4年 ロシア、帰還兵増加で治安悪化 少数民族の戦死者が多い理由

ウクライナ侵攻から4年 ロシア、帰還兵増加で治安悪化 少数民族の戦死者が多い理由
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 ロシアによるウクライナ全土への侵攻から丸4年。プーチン大統領が作戦継続の姿勢を強調する中、ロシア国内では帰還兵による犯罪が急増するなど、ほころびも出てきています。

帰還兵による犯罪が急増

 「ロイター通信(2025年9月9日)」によりますと、ウクライナ帰還兵は深刻な問題をもたらす可能性があると指摘しています。1989年までのアフガン侵攻からの帰還兵は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、一部はアルコールや薬物依存に苦しみ、犯罪を増加させる一因となっていました。

恩赦受けて参戦した受刑者が帰還後に再犯
恩赦受けて参戦した受刑者が帰還後に再犯

 そして、ロシア軍は約70万人がウクライナとの戦争に従軍し、戦争が終結すれば、それだけの数の帰還兵が発生すると予想されています。

 「ロイター通信(2025年9月9日)」によりますと、この帰還兵による犯罪の増加が懸念されています。

 独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ(3日)」によりますと、すでにロシアでは去年6月時点で約13万7000人の兵士が帰還し、そのうち6%が犯罪で有罪判決を受けています。また、独立系メディア「メドゥーザ(2025年11月6日)」によりますと、恩赦を受けて参戦した受刑者約17万人のうち約1130人が帰還後に再犯を起こしているといいます。

帰還兵と家庭内暴力の増加には関係性がある
帰還兵と家庭内暴力の増加には関係性がある

 帰還兵の問題は、家庭内にも及んでいます。

 「モスクワ・タイムズ(2025年9月19日)」によりますと、イギリスのアベリストウィス大学のマザーズ博士は、帰還兵と家庭内暴力の増加には関連性があると指摘しています。

 独立系メディア「メドゥーザ(2024年5月31日)」によりますと、侵攻後2年間で帰還兵による家庭内暴力の訴訟件数が増加しているそうです。

テレビ番組でも…
テレビ番組でも…

 ロシアのテレビ番組「ソロビヨフ・ライブ(2025年4月26日)」では、帰還兵の夫から暴力を受ける妻からの「夫に殴られる。どうすればいいか。戦争から帰って変わってしまった」という相談がありました。この相談に対して司会者は「兵士は祖国のために命を捧げに行った。妻は彼らの足にキスをすべき」と我慢を強いる回答をしたことが話題となりました。

 先月7日、プーチン大統領は従軍した兵士について、「兵士らは神聖な使命を果たしている」と述べています。さらに「モスクワ・タイムズ(去年10月22日)」によりますと、ロシア最大のDV(家庭内暴力)被害の支援団体は、外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定され、去年10月に閉鎖が発表されました。

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少数民族に偏る戦死者

少数民族の戦死者が突出
少数民族の戦死者が突出

 ロシアによるウクライナ侵攻で、戦死者が突出しているのが少数民族です。

 メディアゾナ・BBCなどによるロシアの各地域の人口1万人あたりの戦死者数の調査(11日)によりますと、モスクワでは2人、サンクトペテルブルクでは3人に対し、少数民族の多いトゥワ共和国では51.1人、ブリヤート共和国では42.6人となっています。

戦死した場合、遺族は民間企業の生涯年収を超える保証を受け取れる
戦死した場合、遺族は民間企業の生涯年収を超える保証を受け取れる

 その理由についてです。「ウォール・ストリート・ジャーナル(2024年11月13日)」によりますと、ロシア軍には平均賃金の5倍を超える給与にひかれ、貧困地域から多くの兵士が参加するため、少数民族が多い地域から派遣された兵士の死者数が突出しているといいます。

 少数民族にとっては、戦死した場合、遺族は民間企業の生涯年収を超える保証を受け取れるという事情もあり、死亡率が最も高いトゥワ共和国では侵攻後、銀行預金が151%(約2.5倍)になったというデータもあります。

反発する兵士も
反発する兵士も

 ただ、反発もあります。「モスクワ・タイムズ(2022年7月12日)」によりますと、侵攻直後の2022年、反戦団体フリーブリヤート財団の代表が、シベリア地域から約150人の兵士がウクライナへの配備を拒否したと語っていました。

退役軍人を派遣して「新しいシベリア・ロシア」を築く
退役軍人を派遣して「新しいシベリア・ロシア」を築く

 こうした中、プーチン政権は“アメ”で対応しようとしています。

 プーチン大統領は、2026年を「諸民族団結の年」に制定し、去年12月には戦死者の多い地域を「比類のない戦士を輩出」したと持ち上げて、「諸民族の文化と言語の支援」を約束しました。

 さらに、ロシアメディアの「RBC(2025年11月7日)」によりますと、2025年11月に安全保障会議のショイグ書記が、シベリアに人口30万人〜50万人以上の大規模な科学、工業、経済センターを最大5つ建設する必要があると提案したといいます。「モスクワ・タイムズ(2025年11月6日)」によりますと、ウクライナ戦争の退役軍人を派遣して「新しいシベリア・ロシア」を築くそうです。

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経済制裁で石油・ガス産業に打撃

石油産業とガス産業が、不安定な状態に
石油産業とガス産業が、不安定な状態に

 そんな中、ロシアの最重要産業である石油産業とガス産業が、不安定な状態に陥っています。

 「ロイター通信(16日)」によりますと、ロシア政府の主要な財源は石油、ガス収入で、連邦予算歳入の約4分の1を占めています。ロシアの原油に関しては、西側による制裁の厳格化はありましたが、「影の船団」と呼ばれる制裁逃れの海上輸送によって、大半を中国やインドなどに輸出してきました。

先月のロシアの石油・ガス収入は2020年7月以来の最低水準
先月のロシアの石油・ガス収入は2020年7月以来の最低水準

 「ウォール・ストリート・ジャーナル(11日)」によりますと、公海上での船舶の拿捕(だほ)や、トランプ政権のインドへの働きかけなどによって、ロシアは窮地に追い込まれているといいます。

 また値引き交渉も激化していて、採算割れに近づきつつあるといい、先月のロシアの石油・ガス収入は2020年7月以来の最低水準となっています。

どうなる?北方領土問題

20日の施政方針演説で…
20日の施政方針演説で…

 高市早苗総理大臣は、ロシアとの間で北方領土問題などの解決を目指す考えを示しています。

 20日の施政方針演説で「日露関係は厳しい状況にありますが、領土問題を解決し、平和条約を締結するという日本政府の方針に変わりはありません」と述べました。

 これに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は「我々の関係はゼロに等しく、対話なしに平和条約の議論は不可能」としたうえで、責任は「非友好的な態度を取る日本側にある」との考えを示しました。

(2026年2月24日放送分より)

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