子どものSNS依存が、世界的に問題となっています。
アメリカでは、依存症になった女性がSNS事業者を訴える裁判も始まりました。
企業の責任や、各国で進む規制について、見ていきます。
■SNS依存訴訟『中毒性』争点 メタ社ザッカーバーグ氏も出廷
アメリカで始まったSNS裁判です。
2月9日から、カルフォルニア州の裁判所で始まった、若者のSNS依存に対する事業者の責任を問う訴訟です。
SNS事業者を相手取った訴訟は、これまでに約1500件ありましたが、裁判が始まったのは今回が初めてです。
訴えたのは、カルフォルニア州の20歳の女性です。
6歳からユーチューブ、9歳からインスタグラムを使い始め、1日6〜7時間、多いときは16時間以上使用していました。
その後、依存症となり、うつ病を発症。
自殺願望を抱くようになりました。
“中毒性”の高い機能が、心の健康を傷つけたとして、メタやグーグルに損害賠償を求めました。
裁判の争点は、脳が未発達で影響を受けやすい若者の利用を促すために、事業者がアプリに、中毒性の高い機能を意図的に組み込んだかどうかです。
SNSの投稿内容の是非ではなく、依存しやすくなるSNSの仕組みが争点です。
中毒性の高い機能とは、『無限スクロール機能』と呼ばれるものです。
これは、ユーザーが指先で画面を動かす(スクロールする)たびに、新しい動画や写真などが自動的に表示され、“無限”に閲覧し続けられる機能です。
『再読み込み』なしで快適に情報を視聴できるというメリットがある一方で、デメリットとしては、指先一つで次々と自動再生されるため、やめどきが難しくなる“中毒性”が指摘されています。
さらに、AIなどによる情報の偏りについて、原告の主張です。
訴えられている事業者の反論です。
メタ社の最高経営責任者でフェイスブックの創設者のマーク・ザッカーバーグ氏です。
2月18日、今回の裁判に、証人として初出廷しました。
「インスタグラムは、人々をつなげる有用なサービスだ。価値があると思えば、人々はたくさん使用する」
「13歳未満の利用は認めていないが、年齢を偽る利用者が相当数いる。把握は困難」
「我々は、子どもを依存させようとはしていない。子ども専用のSNSを作ろうと検討したが、着手していない」と話しています。
「利用者を依存させることではなく、役に立つ良い体験を提供すること。SNSは改善を続けている」としています。
2月18日の裁判で、新たに明らかになったのが、メタ社の内部文書です。
『10代の利用者を重視し、利用時間で他社を圧倒する』と書かれていて、子どもや10代の利用時間の増加を目標に掲げていました。
ザッカーバーグ氏は、資料の文脈は覚えていないとして、「利用時間は他社比較の目安だ」と説明しています。
「『無限スクロール機能』が中毒症状を引き起こすドーパミンを分泌させる」
「スロットマシンのように次々と画面を見るスクロールは、精神的な刺激を求め依存する」と主張しています。
「家庭内で苦しんでいた時には、SNSが健全な居場所になっていた可能性もある。心の問題はインスタグラムが主な原因ではない」と主張しています。
「たばこなどと同様に、SNSも年齢規制が必要」だとしています。
■欧州では子どものSNS利用制限が加速 事業者に罰金も
ヨーロッパでの子どものSNS利用制限です。
2月3日、サンチェス首相は、
「(SNSに)子どもたちは1人で立ち入ってはいけない。ポルノや暴力などが蔓延する空間にさらされている」として、16歳未満のSNSの利用禁止を発表し、事業者に年齢確認システムの導入を義務付けました。
フランスです。
1月26日、議会で、15歳未満のSNSの利用禁止が可決されました。
SNSが暴力や自傷、自殺を誘発し、自尊心を低下させるなど、精神状態に悪影響を与える恐れがあるとしています。
ドイツです。
2月21日、14歳未満のSNS利用を禁止する決議を採択しました。
事業者に厳格な年齢確認を義務付け、違反した場合は多額の罰金を科すとしています。
「僕と同じ年の子どもはみんなSNSを利用している。禁止でやることがなくなってしまう」
「依存は危険とわかっている。見れば見るほどはまってしまう。両親の許可で利用できたら良い」
とそれぞれ話しています。
イギリスです。
16歳未満のSNSの利用制限を検討しています。
●中毒性のある機能を制限
●SNSへのアクセス禁止
●年齢確認の厳格化
などが検討されています。
さらに、2月16日、イギリスのスターマー首相は、人工知能が対話形式で回答する『AIチャットボット』の規制を強化すると表明しました。
SNSの『AIチャットボット』で加工された性的な画像が拡散される事例が相次ぎ、問題になっていて、悪質な事業者には罰金を検討しています。
■世界初 豪州のSNS禁止法 施行後に「劇的な変化」
世界で初めて、SNS禁止法が施行されたオーストラリアの現状です。
2025年12月に施行されました。
16歳未満が対象で、利用が禁止されたのは、『フェイスブック』『インスタグラム』『ユーチューブ』など10のサービスです。
事業者側は、16歳未満の既存のアカウントを凍結するなどの措置が必要で、違反すれば罰金最大約55億円。
利用者側の、親や子どもには罰則はありません。
この“SNS禁止法”で、対象となった10のサービスで、12月前半に約470万件のSNSアカウントが停止しました。
メタ社だけでみると、停止したアカウント数は、2025年12月4日〜11日までに、『フェイスブック』や『インスタグラム』など54万4000件です。
「若者は、この夏休み中に、本を読んだり、家族や友人たちと会ったりして、これまでと違う過ごし方をしている。劇的な変化だ」と評価しています。
実際に、オーストラリアの大手書店では、“SNS禁止法”施行当日、全91店舗の来店客数が24%増えました。
さらに、クリスマス期間は、児童書の売り上げが、2024年より18%増、パズルは30%増えました。
「今は、16歳未満の子どもたちが、年上の友達や知り合いにお金を払って、自分の代わりにIDを作ってもらう“新たな市場”ができている」と話しています。
■日本の若者約140万人 SNS『病的使用』の疑い 対策は?
日本の現状と対策です。
最新の調査では、『病的使用』について、「SNSが使えないとき気分が悪くなったか」「嫌な感情から逃れるためにSNSを使っていたか」などの質問にあてはまると答えたのが、10代は男性7. 1%、女性7. 5%、20代は男性4. 8%、女性5. 0%と、10〜20代の6%が『病的使用』の疑いがありました。
日本の人口に換算すると、約140万人規模です。
『病的使用』の疑いで、実際にどんなことがあったのでしょうか。
「SNSの使用をめぐり、家族に暴言を吐いたり、暴力をふるったりした」が27%。
「連続または断続的に30日以上学校を休んだ」が6%でした。
『今後は、ライフステージに応じた適切な利用指導や、学校・家庭・地域が連携した予防的介入を推進することが重要』だと指摘されています。
1月19日には、こども家庭庁が、子どものインターネット環境のあり方を議論する専門家会議の初会合を開催しました。
法改正を視野に議論し、2026年7月に中間整理を行います。
家庭でできるSNS依存対策です。
まずは、端末でできる無料の機能です。
有効性としては、
●アプリ単位の細かい時間制限が可能、
●アプリのインストールや課金を保護者の端末から遠隔で承認、却下できます。
注意点としては、
●子どもの成長にあわせて調整し続ける手間がかかります。
●『抜け道』の存在もあります。
そして、より安全性を高めるなら、専用アプリです。
子どもの興味関心の傾向を把握したい場合などに、おすすめです。
ネット上の人間トラブルや、いじめ、性被害が心配な場合におすすめです。
「親が勝手に制限しても、子どもが抜け道を探したり、解除を要求してくることもあるので、なぜそうする必要があるのか、子どもに理由を納得させた上で、同意のもとにフィルタリングをかけることが大事」ということです。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年2月26日放送分より)
















