アメリカのイラン攻撃で最高指導者のハメネイ師が殺害されました。
イランの報復で、今後のシナリオはどうなるのか。
そして、日本への影響について見ていきます。
■ハメネイ師殺害 イラン動向 筒抜け 作戦は数カ月前から
ハメネイ師とはどんな人物なのでしょうか。
イランの2代目最高指導者で86歳。
建国の父ホメイニ師の死後、1989年から、約37年間イランを統治し、強力な反米勢力として中東地域に軍事的影響力を広げました。
亡くなったときの状況です。
イランの国営メディアでは2月28日、首都テヘランにある自宅の執務室で職務を遂行中に死亡したと伝えられています。
「歴史上最も邪悪な人物の一人であるハメネイが死亡した。これはイラン国民だけでなく、ハメネイと血に飢えた凶悪な一味によって殺害され、あるいは傷つけられた世界中の多くの国々の人々、そして偉大なるアメリカ国民に対する正義の実現である」と自身のSNSに投稿しました。
攻撃作戦には『徹底した追跡』がありました。
アメリカ中央情報局、CIA、対外政策の決定に必要な秘密情報の提供を任務とする機関が数カ月にわたりハメネイ師を追跡し、居場所や行動パターンを認識。
その後、2月28日にイランの政府高官の会議にハメネイ師が出席するとの情報を把握しました。
イランの動向は筒抜けでした。
アメリカCIAは、イラン高官の会議がイラン大統領府、最高指導者宅、イラン国家保障議会の施設の3カ所で行われることを把握し、アメリカとイスラエルは、3カ所同時に空爆をしました。
ハメネイ師を含む指導者に一斉に打撃を与え機能不全にする狙いと見られています。
攻撃直前まで行動を把握していました。
攻撃開始前には暗殺の可能性が報じられていて、ハメネイ師が地下壕に逃げ込むことも懸念されていましたが、会議の予定が変更されなかったため、計画は実行されたとしています。
「ハメネイ師は我々の情報力と高度に洗練された追跡システムを逃れることができなかった」と自身のSNSに投稿しました。
イラン側は復讐を宣言しています。
「ハメネイ師を殺害した者たちに対する厳しく 明白で後悔するような処罰を下すイラン国民の復讐の手は決して彼らを放さないだろう」と『殺害した者たち』への復讐を誓いました。
イラン国民の反応です。
「アメリカに死を!私たちには報復する権利がある」と悲しむ人もいる一方、元最高指導者の像を倒す集団が現れるなど、喜ぶ人々も出てきていて、イランの世論は割れています。
「『今の体制が嫌だ』と言っている人の割合の方が多い印象。『これで何か変わるんじゃないか』と期待している一方で『殺すことはないじゃないか』という感覚を持っている人もいる」ということです。
■イラン報復攻撃 ホルムズ海峡封鎖も 日本への影響は?
イランの報復攻撃はどうなるのか、日本への影響も懸念されています。
イランは報復攻撃をイスラエルに行いました。
イランは攻撃を受けた、その日のうちにイスラエルに向けてミサイルを発射、50代の女性1人が亡くなり、121人がけがをしました。
アメリカ軍の基地に対しても報復攻撃をしています。
赤い丸が中東にあるアメリカ軍の施設です。
イランは、アメリカ海軍第5艦隊司令部があるバーレーン、クウェート、カタール、アラブ首長国連邦など周辺国のアメリカ軍施設にミサイルなどで攻撃を行いました。
民間施設にも報復攻撃です。
アラブ首長国連邦のアブダビの国際空港は無人機での攻撃を受け、1人が亡くなり、7人がけがをしました。
ドバイ国際空港では4人がけがをしています。
この空港は、世界最大級のハブ空港の1つです。
「歴史的犯罪を行ったアメリカとイスラエル、その指導者に対しての報復は正当な権利だ」
「イランはこれまでにないほど強力な攻撃を行うと表明した。もし実行すれば我々はこれまでに見たこともない規模の力で反撃することになる」としています。
ホルムズ海峡を航行中の石油タンカーがイランによるミサイル攻撃を受けたとイラン国営メディアなどが報じています。
イラン革命防衛隊は3月1日、ペルシャ湾やホルムズ海峡で、アメリカとイギリスの石油タンカー3隻をミサイルで攻撃したということです。
日本の海運大手の商船三井と日本郵船は、現地近くを航行する船が入手した情報として、イラン海軍から無線で、「ホルムズ海峡の渡航をいかなる船舶も禁止する」とアナウンスしていることを確認しました。
船舶を安全な海域で待機させて情報収集を行い、安全を最優先して対応しているということです。
ホルムズ海峡は中東で産出される原油輸送の要衝で、日本の原油輸入は9割超を中東に依存しています。
日本の石油備蓄について、資源エネルギー庁によると、2025年12月末時点の国家備蓄、民間備蓄などは合わせて254日分あります。
「仮に海峡が閉鎖されても、国内在庫や国家備蓄があるためただちに石油製品の供給に影響が出ることはない」としています。
「イランはこれまでためらいながら報復攻撃をしてきたが、今回は今までとは違い、周辺国の米軍基地を攻撃している。『やれるところまでやる』つもり。問題は海上の米艦隊を攻撃するかどうか」
■イラン今後どうなる?『体制維持』&『体制転換』 のシナリオ
イランは今後どうなるのか、慶應義塾大学大学院教授の田中さんが考える2つのシナリオをみていきます。
1つ目は体制維持。
最高指導者ハメネイ師が死亡したことで後継者を選ぶ必要があります。
手続きです。
88人のイスラム法学者で作る専門家会議で、新たな最高指導者を選びます。
最高指導者が選ばれるまで暫定的な体制として、臨時の指導者会議が権限を代行します。
指導者会議は、ペゼシュキアン大統領と、イスラム教の聖職者アラフィ師と、モホセニエジェイ司法府代表の3人で構成されます。
「指導者会議のメンバーは考え方がハメネイ師に近い。少なくとも『イランを解放』と考える人たちではない。3人のうちアラフィ師は、イラン革命防衛隊に強い影響力を持っており、体制を維持するために必要な軍事力も掌握している」
シナリオ2つ目は体制の転換。
「我々の仕事が完了したら、政府を転覆させるんだ。政権はあなたたちの物になる。アメリカは圧倒的な武力と壊滅的な力で支援する」
イラン国内の情勢です。
反政府の機運が高まっています。
2025年の末から、イラン全土で政府への抗議デモが行われ、衝突によって3100人以上が死亡しています。
「アメリカは体制転換を望んでいるものの、新体制の構築には介入せず、イラン国民に任せる姿勢。9000万人を超える国民と日本の4倍以上の国土を持つ大国イランは、すぐにはまとまれず、混乱は激しくなる」
■アメリカとイラン 核協議途中での攻撃 国際社会の反応は…
「イランの現政権がもたらす、アメリカ国民への差し迫った脅威を除去する。このテロ政権に核兵器を持たせない」
イランの核開発の状況です。
濃縮ウランを所持しているとみられています。
国際原子力機関によると、2025年の空爆の前は高濃縮ウラン440.9キロを所持していました。
濃縮度を高めれば10発の核爆弾を製造できる量に相当します。
「核兵器の保有を目指している事実はない。核計画は平和目的だ」としています。
アメリカとイランは核について協議をしていました。
2月26日には3回目の協議をしたばかりでした。
アメリカは核施設を解体して、濃縮ウランを引き渡すように求めていましたが、イラン側は拒否したといいます。
3月2日に、技術的な専門家レベルの協議をする予定で、高官級の協議が1週間以内に実施される予定でしたが、2月28日にイランへの攻撃が開始されました。
アメリカとともにイランを攻撃したイスラエルの当局者によると、作戦は何カ月も前から計画されていて、実行の日は数週間前に決まったということです。
国連安保理の緊急会合が開かれました。
トランプ大統領らは、外交努力を繰り返した。
イランは核能力への野心を放棄することを拒絶した。
攻撃は『合法的な行動』だとしています。
侵略行為であるだけでなく、戦争犯罪、人道に対する犯罪である、と非難しています。
アメリカへの非難です。
「アメリカとイスラエルによるイランへの軍事攻撃について非常に懸念している。イランの国家主権・安全及び領土保全は尊重されるべきである」
「平和の仲介者が正体を見せた。イランとの交渉はすべて偽装だった。誰も本当に交渉したいとは考えていなかった」
イランへの非難です。
「地域諸国に対するイランの攻撃を最も強い言葉で非難する。イランは無差別な軍事攻撃を控えなければならない。イラン指導部に対して、交渉による解決策を追求するよう強く求める」
一方でアメリカ、イスラエルによるイランへの攻撃の是非には触れませんでした。
日本は3月1日午前7時から約30分、G7の外相の電話会合が開かれました。
茂木外務大臣です。
イランによる核兵器開発は決して許されず、アメリカによる対話を通じた問題の解決の取り組みを一貫して支持してきたとの日本の立場を説明しました。
「アメリカの攻撃は国際法に違反している。法に基づく秩序を無視しているトランプ政権を肯定するのはおかしいが、トランプ大統領が不快になるようなことを言うと何が起こるかわからない」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年3月2日放送分より)




















