アメリカのイランへの軍事攻撃をめぐり、トランプ大統領はさらなる大規模な攻撃を近く実施するとしています。
そこで、アメリカとイランの軍事力を分析します。
イランの“切り札”とアメリカの“アキレス腱”についても見ていきます。
■アメリカ イラン攻撃継続か 議会は反発 国内で支持されず
イランのハメネイ師殺害後もアメリカの攻撃は続いています。
「アメリカ人を殺害し、地球上のいかなる場所であれ、アメリカ人を脅かす者には、我々は躊躇なく謝罪もなく追跡し殺戮する」と厳しい言葉で語りました。
今回の軍事作戦の目的です。
イランのミサイルの脅威や海軍のインフラを破壊することによってイランの核兵器保有を永久に阻止することが目的だとしています。
さらなる大規模攻撃の可能性もあります。
「『大きな波はまだ来ていない』さらなる大規模攻撃をまもなく実施する」と話しました。
「当初4〜5週間を見込んでいたがそれより長く継続できる」と話しています。
アメリカ側にも被害が出ています。
国防総省によると、アメリカ軍兵士6人が死亡。
「その他数人がけがをしたり脳しんとうになったりしたが復帰する過程にある」とけが人が出たことも明らかにしています。
「アメリカは彼らを死に追いやった者に必ず復讐し、文明に対し戦争を仕掛けたテロリストに最も厳しい打撃を与える。今後も(アメリカ側の)犠牲者の数は増えるだろう」と話しています。
その一方で、アメリカ議会は反発しています。
「更にアメリカ人の命が失われる前に議会が介入するべき」と軍事行動にアメリカ議会が制限をかけるべきだと主張しました。
イランへの軍事攻撃をめぐるアメリカ国内の反応です。
3月1日に公表された世論調査で、『アメリカとイスラエルによるイランへの大規模攻撃について』アメリカ国民の43%が「支持しない」と答えました。
不支持の声は他にも出ています。
トランプ大統領は、2024年の大統領選で「戦争を始めない」と公約に掲げていました。
その公約に反していると、 岩盤支持層『MAGA』の一部がイランへの攻撃に対し、反発しています。
「イラン攻撃は忌まわしく邪悪だ。 政治情勢を根本的に揺り動かすことになる」と強く批判しており、11月の中間選挙を前にMAGAとの亀裂も生じています。
■米国・イラン 軍事力比較 圧倒的な差 埋めるイランの切り札
アメリカとイランの軍事力を比較します。
●GDPは約5017兆円
●国防費は2026年の予算で約141兆9025億円
●兵力は約132万5000人
●空母が11隻
●核兵器を5177基保有しています。
●GDPは約59兆円
●国防費は2025年で約3兆6220億円
●兵力は約61万人
●空母と核兵器は保有していません。
ただ、イランには国軍と別の精鋭軍事組織があります。
それが『イラン革命防衛隊』です。
国軍とは別の最高指導者直属の組織です。
イラン革命防衛隊とは、イラン指導部の親衛隊的側面を持つ対外工作や国境警備などを担う精鋭軍事組織で、兵力は約20万人とされています。
この組織は中東のシーア派武装勢力などの指導や訓練、資金、武器などを提供しているということです。
元駐イラン大使で関西学院大学客員教授の齊藤貢さんに、この組織の強みについて伺いました。
一つ目は『弾道ミサイルやドローンを使った予想外の手段を使ってくる』点。
二つ目は『国外の武装組織とのネットワーク』だということです。
強みとなっているミサイルです。
極超音速ミサイル『ファタ』というミサイルで、イランで開発されました。
音速の最大15倍の速さで飛行し、ミサイル防衛システムが標的となります。
2024年1月、イスラエルへのミサイル攻撃で初めて使用されました。
さらにドローンも保有しています。
『シャヘド136』というドローンで、イラン革命防衛隊によって開発。
製造コストが低く、設定された標的へ飛行し、アラブ諸国に大きな被害をもたらしています。
戦力だけで見ると、大きな差がある中、イランの戦略です。
「イランのもう一つの攻撃カードが“石油”」だといいます。
すでにこの戦略、始まっています。
サウジアラビアの石油施設の製油所がドローンによる攻撃を受け、2機を迎撃したと、サウジアラビア政府が発表しました。
迎撃した際の破片による小規模は火災が発生し、操業を一時停止したということです。
過去にも石油施設への攻撃がありました。
2019年、サウジアラビア製油所がドローン・ミサイル攻撃を受けました。
この時は、サウジアラビアの原油生産の半分以上が一時的に停止し、世界的に市場が混乱しました。
「石油施設を攻撃することで原油価格が高騰。国際原油市場を混乱させ、アメリカ国内のガソリン価格を上げて、アメリカ経済にダメージを与え、トランプ大統領に圧力をかけたい」
■イラン攻撃 長期戦避けたい米国の事情 実は弾薬不足!?
アメリカは、軍事作戦のスピードを強調しています。
「イラン指導部の排除に4週間を見込んでいたが、実際には1時間で完了した。予定より大幅に早く進んでいる」と話しています。
トランプ大統領は、現状、泥沼化につながる地上部隊の投入を避けています。
「自由を求めるイランの愛国者に告ぐ。この好機に勇敢な英雄として祖国を取り戻すよう呼びかけたい」とイラン国民に体制転換に向けた蜂起を呼びかけています。
アメリカは長期戦を避けたい事情があります。1つ目が『負の歴史』です。
イラク戦争は、2003年、当時のブッシュ大統領が、
▼フセイン政権が大量破壊兵器を隠しているとし、イラクを攻撃したことで始まりました。
▼政権転覆は、約1か月で遂行されましたが、その後、占領統治が難航し、2011年にオバマ大統領が終結宣言するまで8年間におよぶ長期戦争になりました。
▼アメリカ兵の死者数は、約4600人。
▼戦費は、約315兆円(約2兆ドル以上)にも膨らみました。
泥沼化したケースは他にもあります。
アフガニスタン戦争です。
▼2001年、アメリカ同時テロ後、首謀者のビンラディン氏をかくまっているとして、アメリカがアフガニスタンを攻撃。(ブッシュ政権時)
▼2021年にアメリカ軍が撤退するまで、20年に及ぶ『アメリカ史上最も長い戦争』となりました。
▼アメリカ兵の死者数は、約2300人。
▼戦費は、約362兆円(約2.3兆ドル)に膨らみました。
「(アメリカがイラン攻撃に踏み切った場合でも)長期の戦争に突入する可能性は、全くない。過去の過ちを繰り返さないようにしなければならない」と話しています。
アメリカが長期戦を避けたい事情、2つ目は『アメリカの“弱み”』です。
ロシアによる侵攻を受けているウクライナやイランと対立するイスラエルへの軍事支援で、アメリカの弾薬が枯渇しているということです。
「現時点での開戦は、米軍を極めて高いリスクにさらす」と警告したと現地メディアが伝えています。
ミサイルも不足しています。
イランの弾道ミサイル迎撃に不可欠な『サード』や『パトリオット』ミサイルの在庫が不足しているということです。
海上においても状況は深刻です。
イスラエル支援などのため、アメリカ海軍は『スタンダードミサイル』を大量に消費しているということです。
「イランの報復能力をどこまで短期間で削ぐことが出来るかがカギであり、長期化させないための1つの手」
■今後は?米国は「海峡封鎖阻止」イランは「報復攻撃の継続」
今後、アメリカとイラン両国で予想されるシナリオを小谷さん、齊藤さんにお伺いしました。
「当面、アメリカとしては 弾道ミサイルの開発能力を削ぐことと、ホルムズ海峡の封鎖阻止に力を入れていく。一方で、体制転換も掲げているため、反体制派の動きがあればそれを側面支援する作戦も拡大する」
「イラン側は今回、最高指導者・ハメネイ師が 殺害されたことでメンツが潰れた。回復のために石油戦略でアメリカとイスラエルを苦しめたいが、時間がかかってしまう。それまではイランのミサイルが尽きるまで攻撃を続けるだろう」
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年3月3日放送分より)
















