アメリカやイスラエルの攻撃が続くイランでは、殺害された最高指導者・ハメネイ師の後継者を数日以内に選出する見通しだ。また、トランプ大統領はさらに大規模な攻撃をまもなく実施するとしている。
ハメネイ師の後継者は誰に?
ハメネイ師の後継者について、ワシントン・ポストは「イランの最高指導者は国家元首であると同時に、宗教的指導者でもある。弱体化したイランの体制を維持するうえで、新たな最高指導者の役割は極めて重要だ」と伝えている。
イランでは現在「大統領」「司法府代表」「イスラム法学者代表」で構成される指導者評議会が設置され、最高指導者の権限を代行している。
そもそもイランの最高指導者は、国を導く究極の権威として、高位のシーア派の聖職者から選出される。過去の最高指導者のホメイニ師や、今回死亡したハメネイ師は、イスラム教シーア派の最高位「大アヤトラ」や「アヤトラ」の称号を持っていて、預言者ムハンマドの血筋を意味する黒のターバンを着用していた。
今後は、法学者からなる専門家会議(定数88)が次の最高指導者を選定する。
アラグチ外相は1日に、1〜2日で最高指導者が選出される可能性があると発言している。
ロイター通信によると、有力とされる候補者は、ハメネイ師の息子のモジュタバ師、ホメイニ師の孫のハッサン師、ロウハニ元大統領などだ。
アメリカ側の狙いは別にあるとみられる。トランプ大統領は、イラン国民に体制転換を呼びかけてはいるが、2020年まで駐イラン大使を務めた関西学院大学・齊藤貢客員教授によると、官僚制度が強く体制転換は難しい状況だという。
揺らぐ国内体制
イラン国内世論をみていく。
イラン国内の状況は、年率40%前後の高インフレが続いている。今年に入っても、経済低迷に対する抗議デモが発生していて、経済問題の解決策は見えていない。
さらに統制強化で全国的な抗議活動に発展するケースも出ている。2022年、ヒジャブ着用に違反したクルド人女性が逮捕され、その後死亡したことからイラン国内各地での抗議活動に拡大した。
アメリカのシンクタンク「大西洋評議会」は、去年12月に「(イラン)政権の権力が揺らぎ国家を束ねる力が弱まれば、事態は急速に悪化する可能性がある」と指摘していただけに、ハメネイ師死亡によって、イラン国内の動向が今後どうなるのか注目が集まっている。
そうした中、ハメネイ師が殺害された。これに対し、イラン国民の反応は「アメリカに死を!私たちには報復する権利がある」と悲しむ人もいる一方で、元最高指導者の像を倒す集団が現れるなど喜ぶ人も出てきて、イランの世論は割れている。
日本は過去に「仲介役」も
アメリカ、イラン双方の攻撃が続く中、日本が求められる役割についてみていく。
かつても核問題で緊張していたアメリカとイランだったが、2019年に当時の安倍晋三総理は、トランプ大統領の要請を受け、両国と友好的な関係を生かし「仲介役を務めたい」としてイランを訪問した。現職総理として福田赳夫氏以来、41年ぶりの訪問だった。
安倍総理が当時のロウハニ大統領と会談した際には、齊藤客員教授も同席していた。
また、安倍総理はハメネイ師との会談でトランプ氏がどんな意図なのか、自分の見方を率直に話したことで「一触即発の状態を回避できた」と強調。
一方、ハメネイ師も「核兵器を製造も保有もしない」としつつも、トランプ氏のメッセージには「何も返事をすることはない」とアメリカとの交渉は拒否する考えを示した。
その後の日本の対応は、会談後ホルムズ海峡などでの船舶の安全確保が課題になった。
2019年8月、アメリカが「有志連合」を主導。バーレーン、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)、イギリス、オーストラリアなどが参加した。日本も参加を要請されたが参加しなかった。日本独自の取り組みとして海上自衛隊を派遣した。これに対し、イランのロウハニ大統領は日本の対応を歓迎。ロイター通信によると、アメリカによる経済制裁を断ち切るため、日本とイラン、双方が提案や協議を継続することで一致したという。
今回、高市早苗総理は今月中旬にも訪米するという。高市総理は「事態の早期鎮静化に向け外交努力を行う」と述べていて、イランとの伝統的な友好関係もあるなか対応を慎重に見極める考えだという。
(2026年3月3日放送分より)











