アメリカとイスラエルの攻撃により、イラン市民の犠牲者が増えている。イラン国営メディアによると、死者は1230人に達した。
南部のミナブでは女子小学校が攻撃を受け、児童や職員175人が死亡。アメリカ側も調査に乗り出す事態になっている。
イラン国民の怒りは、アメリカとイスラエル、そしてイランの現政権のどちらに向けられているのか。『ABEMA Prime』では、在日イラン人とともに考えた。
■イランの現状

約35年前に来日、貿易関係の仕事をしているカゼミ・モハンマッドホセインさんは、「2月28日昼、攻撃の10分後に姉と連絡を取り、おいともインスタグラムのライブで少し話せた。しかし、その夜に1、2回攻撃されたとの話を聞いてから、友人や兄弟、親戚と連絡が取れず心配している」と明かす。
「3月1日の0時すぎに、もう一度おいから『まだ続いている』と連絡があった」というが、それ以降、連絡は取れないという。「街の風景が違うと言われた。戦争で怒り顔のイメージがあるが、解放を待ちわびている喜びの顔だ。街の中では踊りも始まった」。
抗議デモも続いていたが、空爆はどのように受け止められているのか。「イランには自由がなく、人権も守られていない。独裁・専制政治の問題もあり、ヒズボラやハマス、フーシ派、アルカイダ、タリバンにも、イランの資金が流れている。イラン人はイランの自由と、世界平和のために命をささげる。軍や警察の内部にも、現政権に不満を持っている人がいる。アメリカの攻撃で、政権を弱体化に追い込めば、イラン全体をおさえられるだろう」。
■「イラン国民にとって、アメリカやイスラエルは解放軍」

日本エネルギー経済研究所・中東研究センターで主任研究員を務める遠藤健太郎氏は、「イラン人はイラン・イスラム共和国での47年間、さまざまな苦しみの中で生きてきた。抗議行動もことごとく弾圧され、多くの血が流れた現実がある。それが今、劇的に変わろうとしている」と指摘する。
そして、「語弊を恐れずに言うと、イラン国民にとって、アメリカやイスラエルは解放軍だ。現体制を支えようという人も一定程度いるが、多数派は期待感と喜び、そして最高指導者ハメネイ師が殺害されたことへの感激がある」と説明した。
また、「2024年6月に『ギャマーン』というオランダ拠点の独立した調査機関が、イラン国民7万7216人を対象に調査を行った。『どんな政治体制がイランにとって望ましいか』と質問し、『現在のイスラム共和国が望ましい』と答えたのは19.5%で、残りは望ましいとは考えていなかった」とも語る。
この結果を「8割には中立派や無関心な人もいるため、すべてが反体制派とは言えないが、2割程度しか積極的な支持がない」と紹介しつつ、「ハメネイ師殺害に対する、イラン国民の考え方と、おおむね割合が重なっているのではないか。2割が殺害を悲しみ、残りの人々は歓喜している」と推測した。
■望まれる「政教分離」と「王政復古」の期待

では、今後どのような政権を求めているのか。遠藤氏は、調査をなぞりつつ「イスラム共和国以外の“世俗的な共和制”を16.2%、連邦制を9.6%が求めている。20〜21%程度が王政で、残りはあまり関心がない。こう見ると、王政を望む声は強いが、どのような王政かが重要だ。革命前のパーレビ国王時代の独裁的な王政は誰も望んでおらず、いわゆる立憲君主制になるのでは」との見立てを示した。
加えて、「政教分離」も課題となっている。「イラン国民に政治課題を聞くと、多くの人が『宗教と政治がごっちゃになっていることだ』と答える。王政時代には、世俗的な政治で政教分離できていたため、今もできないことはない」。
カゼミさんは「パーレビ国王時代に分離できていたからこそ、王政に戻ってもいいのではという声は多い」と話す。「王子(パーレビ国王の長男であるレザ元皇太子)がリーダーシップを執って、投票所まで誘導して、政治は国民の判断に委ねる。本人は『国王になる』ではなく、『1人の国民として投票する』と言っている」。
(『ABEMA Prime』より)