イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害されたことを受け、後継者に次男のモジタバ・ハメネイ師(56)が選出された。この異例の「世襲」劇の舞台裏と今後の展望について、テレビ朝日外報部の大原武蔵記者が解説した。
大原氏によると、新たに選出されたモジタバ師は、最高指導者に就くために必要な「アヤトラ」という宗教的地位をすでに満たしている人物である。1980年代のイラン・イラク戦争に従軍した経験から、最高指導者直轄の精鋭部隊「イスラム革命防衛隊」やその傘下組織と深いパイプを持つとされる。
今回の選出において最大の焦点となったのは「世襲」の是非であった。イランの現体制は、かつての王政による世襲制を批判して成立した経緯があるため、体制内でも世襲への拒絶反応は根強い。大原氏は、本来であれば専門家会議にとっても選びづらい候補であったとみられるが、「戦時下において軍や革命防衛隊とのつながりが強いモジタバ師でなければ体制を維持できない」という苦渋の決断が働いたのではないかと指摘した。
今後の情勢は?

体制側の思惑を象徴するのが、選出直後に国営放送が公開した親子の写真である。この写真は生成AIによって作られたものだという指摘があり、大原氏は「ハメネイ路線の安定的な継承を国内外に強く印象づけたいという、体制側の強い思惑が映し出されている」と分析した。
今後の情勢について、大原氏は「ハメネイ師の路線を継承するということは、弾が尽きるまで抵抗を続けることを意味する」と述べ、対米・対イスラエルにおける強硬路線の継続によって戦争が長期化する可能性が高いとの見方を示した。一方で、イスラエルは「路線の転換がなければ次の最高指導者もターゲットにする」と示唆しており、モジタバ師が暗殺の脅威にさらされる危険性は極めて高いと警鐘を鳴らした。
混乱を極めるイラン国内では、ペゼシュキアン大統領の「湾岸諸国に謝罪する」などの発言が宥和的だとされ、国内の強硬派との間で亀裂も生じている。新たな最高指導者に選出されたモジタバ師の第一声が、さらなる抵抗の呼びかけになるのか、あるいは変化の兆しを見せるのか。世界が注目している。
(ニュース企画/ABEMA)