アメリカ国内でイラン攻撃への疑念が広がっています。
トランプ大統領が攻撃の決断に至ったイスラエルの動きについても見ていきます。
■イラン 後継にモジタバ師選出 トランプ氏「大きな過ち」
イランの新たな最高指導者について、トランプ大統領が言及しました。
3月9日、イラン国営メディアは、最高指導者を選出する会議で殺害されたハメネイ師の後継者に次男のモジタバ師が選出されたと報じました。
モジタバ師はこれまでハメネイ師の下で影響力を強め、治安機関などの主要人物として活動し、『小さな最高指導者』として過ごしてきました。
「モジタバ師が今後下す、神聖な命令を遂行するために、完全な服従と自己犠牲の準備ができている」と声明を発表しています。
「イランは大きな過ちを犯した」と発言しており、 モジタバ師に否定的です。
さらにアメリカの当局者の話では、イランの核開発停止など、モジタバ師がアメリカの要求に応じない場合、殺害を支持すると伝えたということです。
■ホルムズ海峡「中国所有」で安全通過?船舶情報変更か
ホルムズ海峡でも動きが出てきました。
事実上封鎖中のホルムズ海峡では、ここ数日、イランと関係のあるタンカーと友好国である中国の所有とされる2隻の貨物船の通航が確認されました。
ホルムズ海峡周辺の船舶情報を分析している東京大学大学院の渡邉英徳教授は、3月5日に、本来、目的地を登録する欄に『チャイナオーナー』(中国所有の船)と書いた船がホルムズ海峡を通過したことを確認しました。
大型船舶は衝突防止や運航管理のため、船名や位置情報、目的地などを船舶同士、信号で共有しており、目的地は船舶が自由に登録することができます。
「友好国である中国の名を出すことで、 攻撃されない可能性に賭けたのでは。 この船舶が出来る、精一杯の自衛だったのだと思う」
さらに、イギリスのフィナンシャル・タイムズによると、湾岸に足止めされている船舶でも攻撃を受けないように目的地欄に『中国人所有』や『全員中国人乗組員』と登録する船が出てきており、この1週間で少なくとも、10隻の船舶が変更しているということです。
「他の船舶の目的地の変更を見て、安全確保のために自分も変えようという船舶が出てくるかもしれない」と指摘しています。
■イスラエル イラン石油貯蔵施設攻撃でアメリカと亀裂?
イスラエルによる攻撃は続いています。
3月7日、イスラエル軍はイランの首都テヘランなどにある石油貯蔵施設を攻撃しました。
大規模な火災が発生しています。
「これらの燃料施設はイラン政府が軍を含む様々な利用者に燃料を供給するために使用している」としています。
イスラエル軍は施設を攻撃する前、アメリカ軍に攻撃を通知していたということです。
攻撃を知ったアメリカ側です。
「アメリカ軍は攻撃の規模の広さに驚いていた」と話しており、アメリカ側はエネルギー価格がさらに高騰することを懸念しています。
イスラエル政府関係者によると、攻撃後アメリカからメールが届き、
そこには「何てことをしてくれたんだ!」と書いてあったということで、アメリカメディアは攻撃後初めてアメリカとイスラエルの間に重大な意見の相違が生じたと報じています。
■アメリカは引きずり込まれた?イラン攻撃の“内情”
イスラエルの外交戦略によってアメリカが戦争に引きずり込まれたという見方も出ています。
「アメリカ軍はイランへの大規模な戦闘を開始した」と発表し、イランへの軍事作戦が始まりました。
「アメリカの攻撃決定はネタニヤフ首相にとって勝利だった」と報じています。
2025年12月、1回目の会談です。
この時、ネタニヤフ首相からトランプ大統領にイランのミサイル基地を攻撃する構想が伝えられたということです。
その後、アメリカとイランの高官が協議を行います。
2月6日からイランとアメリカで核問題について協議が始まりました。
「とても良い協議だった。イランは合意を望んでいる」と手ごたえを示していました。
こうした中、2月11日、アメリカとイスラエルが2回目の会談を行いました。
ネタニヤフ首相は、アメリカとイランの核協議によって軍事計画が白紙になってしまうことを懸念。
トランプ大統領にイランの最高指導部などを同時に攻撃する案を提示しました。
「トランプ大統領は私の意見を聞きたがっていた。 イランとのいかなる合意も疑わしいと伝えた」と会談後に話しています。
そして、イラン攻撃へと向かう一本の電話が鳴ります。
2月23日、ネタニヤフ首相からトランプ大統領にハメネイ師らイランの高官が2月28日に集まるという情報が伝えられます。
「壊滅的な空爆の一発で(ハメネイ師ら)全員を殺害できる」と話したということです。
この情報を聞いてトランプ大統領は攻撃を了承したと報じられています。
ネタニヤフ首相の外交戦略です。
ネタニヤフ首相とトランプ大統領は攻撃が始まるまでの2か月間で、直接対談を2回、電話会談を15回も行っています。
イスラエルが主導したのでしょうか。
「いや違う。私がイスラエルに攻撃を強要したのかもしれない。我々が先制攻撃をしなければイラン側が最初に攻撃していた」とイスラエルが主導したことを否定しています。
アメリカ側の背景です。
イランの攻撃の背景にいるのがキリスト教の福音派です。
この福音派はアメリカの人口の約4分の1を占めていて、トランプ大統領の岩盤支持層の一角で、政権や軍内部に影響力を持っています。
この福音派の一部がイラン指導部を狙った今回の攻撃を擁護しています。
ホワイトハウスも福音派の意向をかなり意識しているということです。
アメリカ国内の声はどうなっているのでしょうか。
アメリカのNBCがイラン攻撃開始後に行った世論調査では、
イランへの攻撃について
●支持が41%
●支持しないが54%
と不支持が上回っています。
アメリカ国民の声です。
など、さまざまな声があがっています。
■アメリカとイスラエル思惑のズレ 長期化懸念“出口戦略”は
アメリカのトランプ大統領とイスラエルのネタニヤフ首相の思惑のズレです。
「アメリカにとって都合が良ければ、イランの今後の政治体制が民主的である必要はない」と話しています。
トランプ政権内には、アメリカに柔軟な姿勢をもつイラン革命防衛隊の一派が権力を握る可能性に期待があります。
トランプ政権は1月、ベネズエラのマドゥロ大統領を奇襲作戦で拘束し、副大統領だったロドリゲス氏を暫定大統領として擁立しました。
体制を事実上、温存しながら、協力姿勢に転じさせた“実績”“成功体験”があります。
「イラン国民が民主的な政府を作る状況を生み出す」とし、長年の悲願である、イランの体制の転換にこだわっています。
中東の在り方については、トランプ大統領は『中東各国の共存・安定』を望んでいるのに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は、『自国一強、中東地域での圧倒的優越』を望んでいます。
こういった思惑のズレが影響するのではないか、拓殖大学教授の佐藤丙午さんが考える、今後のシナリオです。
アメリカ・イスラエルが地上戦を避ける以上、イランの体制崩壊や民主化は不可能。
戦闘は続くことになります。
イランは、アメリカへの戦力展開能力はありません。
アメリカは「アメリカへの脅威は排除された」と認識、軍事力を後退させようとしますが、イスラエルは、イランへの徹底的な対応を求めます。
結果、アメリカはイスラエルへのこれまで以上の軍事支援を約束し、軍を撤退させるというシナリオが考えられるのではないかということです。
イランへの軍事作戦の『出口』についてです。
7月にアメリカ建国250周年、
11月に中間選挙があります。
「トランプ氏は、国内に注力したい。しばらくはイランの軍事力再建能力と政治指導部の組織力などに焦点を絞った攻撃を継続するだろう。最終的にイスラエルと調整なしにアメリカが単独で『出口』に向かう可能性」もあるのではないかと指摘します。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年3月10日放送分より)
















