殺害されたイランの最高指導者・ハメネイ師の後任に反米強硬路線で知られる次男のモジタバ師が選出された。アメリカのトランプ大統領は会見で「失望した」とする一方、イランでの軍事作戦は「まもなく終結する」と述べた。
モジタバ師(56)求心力は
殺害されたハメネイ師の後継者が決まった。
イランは8日、88人の聖職者で構成される「専門家会議」でハメネイ師の次男モジタバ師を満場一致で最高指導者に選出したと発表。
BBCによると、アメリカとイスラエルの攻撃で父や母、妻も死亡。イラン国営テレビによると、自身も負傷し、障害を負ったという。
イスラエルメディア、タイムズ・オブ・イスラエルは「首都テヘランの中央広場には数千人が集まり、モジタバ師に忠誠を誓った。モジタバ師の肖像画を掲げている人も多数みられた」と伝えている。
モジタバ師とはどのような人物なのか。
BBCによると、現在56歳。17歳の時、イラン・イラク戦争で軍務に就き西側諸国への不信感を強めたという。
30歳の時、シーア派神学の中心地であるコムの神学校で学び、ロイター通信によると、父ハメネイ師の下で影響力を高め、治安機関などで主要人物として活動してきたという。
また、革命防衛隊とも深いつながりがあるという。イスラエル紙、タイムズ・オブ・イスラエルによると、モジタバ師はイラン・イラク戦争で革命防衛隊の部隊に所属。
部隊に所属した隊員が昇進、ハメネイ家の後押しを受けたとみられ、革命防衛隊と協力関係を築いているという。
革命防衛隊は、8日の選出後、モジタバ師への忠誠を表明している。
またニューヨーク・タイムズは、イラン当局者の話として、「危機の時代に、イランを指導する資質をモジタバ師が備えている」と革命防衛隊が主張し、選出を推し進めたと報じている。
トランプ大統領「がっかりした」 対応は
トランプ大統領は不満を示している。
アメリカのニュースサイト、アクシオスのインタビューで、トランプ大統領は最高指導者選出前からモジタバ師は取るに足らない人物だと批判。イランの指導者の選出には自身が関与する必要があると発言していた。
そして、日本時間の10日朝の会見では、このように語っている。
さらに会見で、トランプ大統領は、軍事作戦の目標の達成に向けて大きく前進しているとして、イランとの戦いは「まもなく終結する」と述べた。
また9日、ロシアのプーチン大統領と電話会談をして、中東情勢について協議したと述べ、「とても良い話し合いだった」と評価した。
そして、“核”問題では新たな動きもある。
ロイター通信によると、IAEA(国際原子力機関)の推定によるとイランには、濃縮度を高めれば核爆弾10発分に相当する60%の高濃縮ウランが440.9キログラム存在しているというが、去年6月の空爆後、備蓄状況は不明だ。
そこで、アメリカは特殊部隊の投入も検討しているという。
アクシオスは、アメリカとイスラエルが兵器級に転換可能な高濃縮ウラン回収のため、特殊部隊を投入する計画を協議していると報じている。
トランプ大統領は7日、「高濃縮ウラン確保には地上部隊が必要なのでは?」と聞かれ「それはいずれ分かるだろう。今はやらないが、後でやるかもしれない」と述べている。
ホルムズ海峡「封鎖」で、回避の動きも
ホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで原油価格が急騰している。さらなる戦火拡大も懸念されている。
ペルシャ湾周辺では、原油タンカーが標的になっている。こちらがペルシャ湾の入り口にあたるホルムズ海峡。
狭い所で、幅およそ30キロ。日本は原油のおよそ9割を中東に依存していて、大半がホルムズ海峡を通過している。
この周辺では、イランからの攻撃が相次いでいて、上の図でバツ印が付いているのが攻撃の報告された場所だ。
日本時間4日、オマーン湾では日本関係の船舶が空からの落下物の破片で破損。けが人はなく、運航に影響ないという。
また4日、イギリスの海事機関によると、クウェート沖で停泊中のタンカーで大規模爆発があり、小型船舶が去る様子が確認された。
7日には、サウジアラビア沖でドローン攻撃の可能性があり、乗組員が避難した。
ロイター通信によると、攻撃された船舶は9隻に及んでいて、滞留している船舶は200隻あり、IMO=国際海事機関によると、取り残された船員がおよそ2万人いるという。
こうしたなか、ホルムズ海峡を回避する動きも出てきている。
ブルームバーグによると、世界最大の原油輸出国のサウジアラビアはペルシャ湾から行ってきた原油の輸出を、こちらの紅海ルートに変更。紅海に面したヤンブー港の輸出量が2月平均の3倍になったという。
ただこの紅海ルートにもリスクがある。イランの支援を受けているイエメンの反政府武装組織フーシ派は、2023年、パレスチナ自治区ガザで戦闘が始まって以降、紅海を航行する商船に、100回以上攻撃を繰り返してきた。
現時点で、フーシ派による新たな攻撃は確認されていないが、アメリカのシンクタンク、戦争研究所は「フーシ派が、アメリカ軍の拠点やイスラエルにいつ攻撃を始めてもおかしくない」として、自衛隊の拠点もあるジブチや、去年12月、イスラエルが国家承認した「ソマリランド」が標的になる可能性があると分析している。
こちらのジブチやソマリランドにも、米軍やイスラエルの施設がある。
(2026年3月10日放送分より)











