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2026年3月11日 18:00

原油価格が高騰「オイルショック」可能性は?燃料費高騰で食料品、日用品の値上げ懸念

原油価格が高騰「オイルショック」可能性は?燃料費高騰で食料品、日用品の値上げ懸念
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 イランの革命防衛隊はアメリカとイスラエルの攻撃が続けば「1リットルたりとも原油の輸出を認めない」と表明しました。

 イラン情勢の不安定化で原油価格が高騰しており、“オイルショック”を警戒する声も出ています。

事態鎮静化の動き見えず…

 まずは、原油価格についてです。

 イラン情勢の悪化によって、原油先物価格はここ数日で急騰していました。原油の先物価格が8日、一時1バレル=119ドルを突破し、イランへの攻撃が始まる前の約1.8倍の価格となりました。

 こうした動きを受けてか9日、アメリカ・トランプ大統領は「攻撃は間もなく終わる」と発言し、価格は一気に81ドル台まで急落。朝日新聞(11日)は、トランプ大統領の発言の背景には、原油価格高騰への危機感があるとしており、早期終結を示唆し原油高の鎮静化に動いた形だとの見方を示しています。

 ただ、イランによるホルムズ海峡の事実上の封鎖は続いており、CNN(10日)は関係筋の話として、イランがホルムズ海峡に数十の機雷を敷設し始めたと報じています。

 さらにイラン革命防衛隊が「アメリカとイスラエルの攻撃が続けば1リットルたりとも原油の輸出を認めない」との声明を出すなど、事態鎮静化の動きは見えてきていません。

 また、石油の生産量にも影響が出ているといいます。

 ブルームバーグ(10日)によりますと、ペルシャ湾全域で石油の貯蔵能力の限界が近づいており、イラク、クウェート、UAE、サウジアラビアの4カ国で合わせて3分の1の減産がすでに実施されているといいます。

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“オイルショックレベル”の声も

ガソリン価格は、まだ上がると予想
ガソリン価格は、まだ上がると予想

 こうした事態を受けて、日本国内のガソリン価格にも影響が出ています。

 番組が取材した都内のガソリンスタンドでは、9日にリッター162円だったレギュラーガソリンが、10日は172円と一日で10円も値上がりしており、9日は1人20リットルまでといった一時的な給油制限も行わざるを得なかったといいます。

 大阪のあるガソリンスタンドの社長は「オイルショックとかそういうレベル」だとして、価格はまだ上がると予想しているが、一方で「落ち着けば今までの経験上、下がることもあった」といいます。

“狂乱物価”招いたオイルショック

過去には2度のオイルショック
過去には2度のオイルショック

 実際、日本では中東戦争を引き金にオイルショックが起きた過去があります。

 1973年、イスラエルとアラブ諸国の第4次中東戦争を機に起きたのが「第1次オイルショック」で、翌年まで続きました。

 スーパーの売り場には「お一人様一品限り」などの貼り紙がされるほどで、トイレットペーパーや洗剤、灯油などが品不足となり、物価が高騰。1974年度の物価上昇率は、前年度と比べて20.9%まで膨れ上がりました。

 このことを当時の福田赳夫大蔵大臣が「まさに狂乱状態」と表現したことから「狂乱物価」という言葉が生まれ、メーカーや小売店による売り惜しみや便乗値上げが横行しました。

 その後、イラン革命を機に起きた1978年から82年まで続いた「第2次オイルショック」でも原油価格が高騰し、1980年のピーク時には物価が前の年と比べて7.5%上昇。ガス代や電気代は30%以上上昇し、衣料品や食料、住居関連などにも影響が及んだといいます。

 日本ではオイルショックの経験から石油を備蓄する決まりができ、その量は現在254日分に及ぶといいます。

 過去には東日本大震災やウクライナ侵攻などの際に放出してきましたが、経済産業省は、すでに国家として備蓄する石油の放出準備を行うよう国内の備蓄施設に指示しているといいます。

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食料品、日用品も値上げの懸念

電気などの料金は3カ月から5カ月後に値上げされる可能性が
電気などの料金は3カ月から5カ月後に値上げされる可能性が

 そして、さまざまな商品が値上げとなるおそれがあります。

 経済財政諮問会議の有識者議員を務めている第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣さんによりますと、ガスや石油などの化石燃料から作られる電気などの料金は3カ月から5カ月後に値上げされる可能性があるといいます。

 また船の燃料となる「重油」やビニールハウスの温度調節に使われる業務用のガソリンなどが高騰すると、船を使って収穫される魚やビニールハウスで育てられた野菜や果物も値上げされる可能性があるといいます。

「バイオ燃料」の需要が高まれば…
「バイオ燃料」の需要が高まれば…

 またガソリン価格が高騰して、その代替エネルギーである「バイオ燃料」の需要が高まれば、その原料の穀物の価格が上昇するといい、「小麦」を原料とする麺類やパン、お菓子類。納豆や豆腐、しょうゆなどの「大豆製品」の価格が上がるほか、家畜の餌(えさ)に使われるトウモロコシの価格が上がることで、その家畜の肉や乳製品の価格にも影響してくるといいます。

 永濱さんはイラン情勢の悪化による燃料高騰の家計への影響について、年間で3万6000円の負担増となる可能性もあると指摘しています。

遅くとも年末までに値上がりが進む可能性
遅くとも年末までに値上がりが進む可能性

 また石油を原材料とする日用品にも影響があるといいます。

 具体的には、食料保存容器や弁当箱のような「プラスチック容器」やペットボトルやビニール袋などの「合成樹脂を使った製品」、歯ブラシや衣類などに使われている「化学繊維」、食器用洗剤やシャンプーなどの「洗剤やせっけん」などにも影響があります。

 永濱さんによりますと過去20年間の原油先物価格と消費者物価は10カ月程度遅れて連動してきたので、遅くとも年末までに値上がりが進む可能性もあるといいます。

生産停止、品薄を招く可能性も

日本国内でも生産停止や品薄を招く可能性が…
日本国内でも生産停止や品薄を招く可能性が…

 原油高以外に、イランなどの空域が封鎖されることが物価高を招くおそれもあるといいます。

 中東はヨーロッパやアジアなどをつなぐ航空貨物輸送の要衝となっており、医薬品や半導体、自動車部品などは中東経由の輸送に各国が依存しているといいます。

 そのため空爆などによる中東の空域封鎖が長引けば、日本国内でも生産停止や品薄を招く可能性があるといいます。

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高市政権の物価高対策は?

高市政権は、どう応える?
高市政権は、どう応える?

 イラン情勢による物価高騰の懸念に高市政権は、どう応えるのでしょうか。

 政府による2026年度の経済見通しを見ると、消費者物価指数の上昇率は前年度と比べて1.9%程度だと見込んでいますが、国際情勢など不透明な部分も多く、イラン情勢が物価を押し上げる可能性もあります。

 高市政権が掲げる主な物価高対策としては、飲食料品の消費税をゼロにするというものや、給付付き税額控除などがあり、「社会保障国民会議」で議論が始まっています。

与党内からも…
与党内からも…

 ただ、与党内から新たな経済対策を求める声も出ています。

 ロイター通信(9日)によりますと、与党内からは「今月末で終了する電気・ガス代の補助延長に加え、ガソリン価格抑制のため、石油の元売り企業への補助を再開するべきだ」との声も出ているといいます。

現時点では…
現時点では…

 高市総理も9日、衆議院の予算委員会でガソリン価格などへの影響を見据えた新たな経済対策の検討を始めたことを明らかにしていましたが、その一方で現時点では「予算の組み替え」や「追加の予算措置」は考えていないとしています。

野党に協力を求める
野党に協力を求める

 ただ参議院で少数与党となっていることから、野党に協力を求めています。

 10日、自民党の鈴木俊一幹事長は、国民民主党の榛葉賀津也幹事長と会談を行い、予算の年度内成立に向けた協力を要請しました。

 会談後、榛葉幹事長は「イラン情勢もあり、追加的な政策を盛り込むべきではないか」と物価高対策などを盛り込むべきとの考えを示しています。

(2026年3月11日放送分より)

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