イランの新たな最高指導者モジタバ師が初めて声明を出し、ホルムズ海峡の封鎖継続を強調しました。
海峡には、すでに機雷が敷設されたとの報道もあり、緊張が高まっています。
イラン保有の機雷とは?
“海の地雷”とも呼ばれる機雷には、主に次のような2つの種類があります。
1つ目は、「係維機雷」。海底に沈んだ重りとワイヤーで繋がっていて、海中や水面近くに浮遊するように設置するものです。船体に接触、または磁気などに反応して起爆します。
2つ目は、「沈底機雷」。こちらは、海底に設置するタイプの機雷です。船体の磁気や音響、水圧の変化などによって起爆します。
では、イランが保有しているとされるのは、どんな機雷なのでしょうか?
元海上自衛隊 海将補で、ペルシャ湾での機雷掃海訓練の指揮官も務めた、笹川平和財団の主任研究員・河上康博さんによりますと、イランは係維機雷と沈底機雷どちらも保有していますが、主力と見られるのが、旧ソ連製の係維機雷「M-08」と、それを改良した派生モデルだといいます。
この「M-08」とほぼ同じ型の機雷です。球体部分の直径が87.6センチメートル。球体部分の先に付いたアンテナのようなものが船に接触して折れると起爆する仕組みです。球体の下の部分が海底で錨(いかり)の役割を果たし、ワイヤーで繋がった球体部分が海面付近を漂うように設置されます。
この機雷の製造コストは安いもので1500ドル、日本円にして20万円ほどで作ることができるということです。
そしてイランの機雷保有数ですが、アメリカ・CBSテレビ(10日)によりますと、このような係維機雷と沈底機雷を合わせると、推定2000個から6000個に上るということです。
機雷敷設…情報が錯綜
イランの機雷に対し、世界が警戒を強めています。
アメリカのCNN(10日)は、「イランがホルムズ海峡に、機雷数十個を敷設した」と伝えました。
すると11日、トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に「我々は一夜にしてイランのほぼすべての機雷敷設艦を全滅させた」と発言しました。
ウォール・ストリート・ジャーナル(12日)によりますと、アメリカ中央軍は30隻以上の機雷敷設艦を破壊したと発表したと報じています。
そうした中で、アメリカはイランによる“機雷敷設”を認めていません。
12日、イギリス・スカイニュースのインタビューに応じたアメリカのベッセント財務長官は「現在もイランや中国船籍のタンカーがホルムズ海峡を航行している。ホルムズ海峡に機雷は敷設されていない」と話しています。
しかし、ホルムズ海峡周辺では今も、緊張が高まったままとなっています。
世界トップクラス 日本の掃海技術
では、こうした機雷は、どのようにして取り除くのでしょうか?
機雷の除去作業に使われるのが、掃海艇と呼ばれる船です。金属の磁気で機雷を起爆させないよう木や繊維強化プラスチックでできている特殊装備を持った専用艦です。
そして機雷の除去には、大きく「掃討」と「掃海」があります。
「掃討」は、探知機で機雷を探し、機雷処分具というものを使って機雷を爆破処理します。つまり、「掃討」は“ひとつひとつ”処理する方法です。
一方、「掃海」にはいくつかの方法があります。
カッターの付いたワイヤーで機雷と重りを切り離し、機雷を浮かばせてから爆破処理する方法。そして、掃海艇から音波や磁気を発して機雷に反応させて爆破処理する方法もあります。
このように「掃海」は、“面”で機雷を処理する方法を指します。
中でも、日本は掃海の技術が、世界トップクラスだといいます。
日本の技術が高く評価される理由は、太平洋戦争後に日本周辺に米軍と日本軍が敷設した機雷およそ6万個の処理にあたった実績からです。
その後、朝鮮戦争の時と湾岸戦争が終わった後にも、機雷除去にあたりました。
停戦合意前“除去行為”は武力行使の可能性
高い掃海技術を持つ日本の海上自衛隊ですが、ホルムズ海峡に派遣される可能性はあるのでしょうか。
そもそも自衛隊の派遣には、次のような条件が想定されます。
まずは「重要影響事態」です。放置すれば直接の武力攻撃に至る恐れのある場合に認定すると、給油や弾薬提供などの後方支援ができます。
そして「国際平和共同対処事態」。国際社会の平和への脅威がある場合、国連憲章に従って後方支援できます。
さらに「存立危機事態」では、直接攻撃がなくても日本の存立が脅かされる明白な危険がある場合「存立危機事態」に認定でき、他に適当な手段がない場合は集団的自衛権を行使できます。日本の密接な国への武力行使も、「存立危機事態」に該当します。
高市総理は12日の国会答弁で、「機雷除去で(自衛隊の)事前展開は想定できない」と述べました。その理由として、停戦合意前の機雷除去行為は武力行使にあたる可能性があると指摘しています。
また、自衛隊の派遣を巡っては、2015年、当時の安倍総理が国会で「国際法上、認められない武力行使をする国を支援することはない」と答弁しています。
(2026年3月12日放送分より)





