停戦協議をほのめかし始めたアメリカ。
「彼らを信用しているとでも?信用などしていない。(Q.では、なぜ対話を)相手が合意をするつもりだからだ。きのう、イランは驚くべきことをやってくれた。プレゼントをくれた きょう、それが届いた。大きなプレゼントだ。莫大な金額に相当する。中身は言えないが、価値ある戦利品だ」
石油や、LNGのタンカーがホルムズ海峡を通過するうえで、イラン側から何かしらの譲歩があったとされています。
トランプ大統領の発言との関連は不明ですが、イランの国連代表部は、SNSにこう投稿しています。
「イランに対する攻撃行為に直接的、または間接的に参加しない非敵対的な国の船舶は、ホルムズ海峡を通行する際、安全な通航の恩恵を受けられる」
「実に立派な対応で、話ができる相手だとわかった。贈り物には大きな意味があり、連中しにかできないことを、約束通り実現させた。(Q.ホルムズ海峡か)そうだ。海峡の通航関連だ」
攻撃応酬 イラン原発も標的か
ただ、空爆は続き、目に見える形での交渉は始まっていません。
イラン原子力庁は「24日夜、アメリカとイスラエルによって原発が再度の攻撃を受けた」と発表。「湾岸諸国にとって、危険で不可逆的な結果をもたらしかねない」と警告しました。
テルアビブには、連日のようにミサイルが着弾。クウェートでは、空港の燃料タンク、バーレーンでは、アマゾンのデータセンターが標的となりました。
イラン示す条件の“ハードル”
イランは、公式的には交渉を否定しています。
「我々の意志が成就するまでは、地域情勢が以前のように戻ることはない。我々は、今後もお前たちと和解することはない」
とはいえイランはアメリカに対し、いくつかの条件を提示しているといわれています。
それは、『湾岸地域にあるすべてのアメリカ軍基地閉鎖』『イラン攻撃に対する賠償』『ホルムズ海峡“通航料”徴収』『ミサイル開発の維持』など、アメリカ側にとっては、のめない物ばかりです。
アメリカ 核放棄など“15項目”の条件提示
一方のアメリカ。
ロイター通信などは、戦争終結を目的とした計画をイランに送付したと伝えました。パキスタン経由での伝達だったそうです。
イスラエルメディアは、中身を具体的に報じています。
『核能力の破棄』『保有している濃縮ウランの引き渡し』『ホルムズ海峡の開放』『ミサイルの保有数の制限』『親イラン武装組織への資金提供中止』といった内容が15項目にわたって提示され、交渉中は1カ月間、戦闘が停止されることも盛り込まれています。さらに、見返りとして「イランに科せられているすべての制裁が解除される」と報じています。
アメリカ 数千人規模の部隊派遣へ
ただ、アメリカは、交渉をほのめかしつつも、軍事面での圧力を弱めているわけではありません。
複数のアメリカメディアは、国防総省が新たな部隊の派遣を決定したと報じました。
「イラン作戦を支援するため、陸軍の精鋭部隊である第82空挺師団が中東に派遣する計画だ。第82空挺師団は、24間以内に、世界のどこにでも展開できる」
部隊は数千人規模で、師団長も帯同するとされています。
「師団長自らが部隊を展開するとなれば、現地のあらゆる動きを徹底的に掌握するはずです。ホルムズ海峡やカーグ島での作戦でも、予備戦力として、何らかの任務を想定して計画したり、第82空挺師団が担うであろう“核関連の任務”も含まれます。師団長派遣は重大です」
ただ、こうした増派も、停戦に向けた交渉の一つなのかもしれません。
トランプ氏 支持率“過去最低”
トランプ大統領の支持率は、ガソリン価格の高騰や、イランとの紛争に対する不満で、2期目開始以降、最低の水準に落ち込みました。
フロリダ州議会の補欠選挙が24日に行われましたが、邸宅のマー・ア・ラゴがある選挙区を制し、当選確実となったのは、民主党の候補でした。
「国や州の政策に対する 州民の本音が出たのでは。『方向が間違っている』という有権者の明確なメッセージだと思う。4ドルのガソリンはいらない」
この状態では、中間選挙の勝利が見込めません。
「(Q.和平交渉の実現への期待度は)終戦の話か?断言はできないが、終わるだろう。これ以上、人命を失わずに、終結できるならそうしたい」
アメリカとイスラエルが始めた攻撃。間もなく1カ月が経とうとし、犠牲者は2600人を超えました。
ロイター通信は、イラン政府高官の話として、緊張緩和に向けた協議の会場が、パキスタンかトルコのいずれかになる可能性があると報じました。
◆アメリカの外交・安保政策に詳しい笹川平和財団の渡部恒雄さんに聞きます。
(Q.トランプ大統領から“焦り”というのは感じますか)
「感じますね。中間選挙が近づいているし、原油価格が下がらないので、支持率は最低レベルです。これは焦らないわけがないです。ただ、焦ったからって、妥協の方向に冷静に向かう人ではないので、怖いですよね。そもそも冷静に計算していたら、今回の戦争を引き起こしてない。そこは心配で読めないところですね」
(Q.外交交渉が進んでいるように見えるし、軍事行動も両方進んでいるというところですが、トランプ氏の狙いはどこにあるのでしょうか。どちらの優先順位が高いのでしょうか)
「気持ちとしては、やはり停戦に持っていきたいでしょうけど、だからといって、手を緩めるつもりはないでしょうし、両にらみですよね。これペリー以来、アメリカというのは砲艦外交をして、圧力を軍事力的にかけて、それで何とか妥協させたいと。逆に言えば、緩い姿勢を見せれば、かえって相手がつけ上がって妥協しないのではないかと考えていると思います」
(Q.条件をのませるためにも、軍事行動というのは並行してあるということですか)
「そうだと思います。もし、上手くいかなかったから、力によってホルムズ海峡を開こうということも考えているはずですから、両にらみだと考えたほうがいいと思います」
(Q.名前が取りざたされているヘグセス国防長官もバンス副大統領も役割分担があるのですか)
「あると思います。特にバンス副大統領は、そもそもこの攻撃に反対していたと伝えられていますから、この人を出すことによって、ちゃんと交渉、そして終わらせる気があるんだよと見せるけども、圧力をかけるためには、ヘグセス国防長官に“鉄砲玉”のような、そういう二つの役割を果たさせているのだと思います」
“プレゼント”何を指す?
アメリカメディアが、“プレゼント”とみているのが、この動きです。イランがIMO=国際海事機関に提出した声明で、“非敵対船舶”については、ホルムズ海峡を通過できるというものです。
この動きについて関西学院大学客員教授で、元イラン大使の齊藤貢氏は「アメリカへの譲歩ではなく、あくまでイランが国際的な孤立を防ぐための声明。これをトランプ大統領は“プレゼント”と受け取った可能性がある。イラン側は、積極的に協議に参加したいわけではなく、アメリカの原油価格を上げ続けたい思いが強い」といいます。
(Q.イラン側は強気の姿勢を崩していない気がしますが、アメリカ側が積極的に戦争を終結させたい、協議をしたいという感じなのでしょうか)
「恐らくそうだと思います。その意味では、実は、かなりアメリカ側の計算間違いがあって、初期に圧倒的な軍事力を使って、しかも相手のトップを除去すれば、うまくあちらが脅しに乗ると思ったんですが、ところが、人質としてホルムズ海峡、つまり、それは世界経済とアメリカ経済が人質になっちゃったわけですよね。ということは、イラン側は、これはいくらでも待てるわけですね。アメリカが苦しくなることを、作り出せばいい。(弱点を)握られています、残念ながら。そういう意味で、交渉のバランスが、いまやアメリカよりは、イラン側が優位になっているというのが悲しい現状だと思う」
(Q.アメリカ側は15項目の要求をしていて、イランも要求を幾つか出しているということですが、アメリカとしては何が通ればいいのでしょうか)
「私は核だと思っています。というのは、イラン側が核兵器を開発していて、それがアメリカに来たら大変なことになるぞと言ってるわけですから、ある程度、アメリカ側が『イランの核兵器開発を抑えた』と言えればいいんです。だから、イランのウラン濃縮、これを止めさせて、かつ、濃縮ウラン400キロ以上ありますので、これを出せと」
(Q.どこかで妥協できるポイントもあるかもしれないということですか)
「ただ、イランは妥協したくないと思います。ウランの濃縮は止めたくないと思います。こんな軍事攻撃されたら、あとは核兵器でも持たなければ、自分たちを守れないと思ってますので。これはアメリカの失敗なんですけどね。なかなか難しいんですが、ここがポイントだと私は思っています」
(Q.アメリカがどこか譲れるかも、妥協するかもしれないということですか)
「そもそも、今回の戦争を始まる前に、一応、IAEA=国際原子力機関が査察を行って、ある程度以上のウランの濃縮をしないように監視していましたので、その辺が落としどころにできればいいなと私は思っているんです」
(Q.アメリカ側からすれば、ホルムズ海峡の開放というのが最優先ですか)
「そうなりますね。そうじゃないと経済が悪くなって、トランプ大統領は中間選挙で共和党が負け、非常にレームダックで苦しくなるのでということだと思います」
(Q.ただ、イラン側は賠償など、高いボールを投げているので、協議がうまくまとまらないという場合は、どうなっていくと考えますか)
「イラン側は、それはわかっているんですよね。まとまらなければ、一番、損するのはアメリカだろうと、イラン側は思っているので、簡単に妥協しない。ただし、アメリカの陸上兵力が入ってきて、全面的な戦争になったら、アメリカにとっても大変なことになりますけど、もちろんイランにとっても大変なことになります。その前に何とかアメリカから譲歩を取りたいというのがイラン側の本音だとは思います」
(Q.いま、イラン側の方がやや強いポジションを持っているけれども、恐らくそんなには長引かせたくないんじゃないかということですか)
「長引かせる分にはいいんです、イランは。ただし、アメリカがじれて、大規模な軍事力をイラン側に展開されると、それはそれで嫌ですよね。それでも負けない自信は、実はイラン側はあると考えていると思いますが、いずれにせよ、イラン側の方が余裕がありますね」
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