イラン情勢を巡り、「唯一の勝者はロシア」という見方が広がっている。その中、ロシア軍がウクライナへ“春の攻勢”をかけている。イラン情勢が戦況にどう影響するのだろうか。
ロシアがイランを支援
まずはロシアとイランの関係を見ていく。
ロシアは友好国であるイランに対して物資の支援を行っている。その具体的な中身を見ていく。
イギリスのフィナンシャル・タイムズは、ロシアがイランに対してドローンや医薬品、食料を供与していて、これにはイランの戦闘継続を支援する狙いがあると報じている。
また、ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として、ロシアとイランが軍事面で連携を強化していて、ロシアが衛星で得た中東に展開するアメリカの軍用機や艦艇の位置情報をイランに提供していると伝えている。
さらに提供した情報の中にはこんな情報もあったという。
ロシアの軍事情報を発信しているSNSアカウント「偵察者」によると、去年12月、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃の情報を察知したロシアは事前にこの情報をイランに通知していたという。
ただ、当時のイラン最高指導者ハメネイ師は一切の対策をとらなかったといい、このことについて、このSNSアカウントは「がんを患う高齢のハメネイ師は自ら殉教者になることを望んだ」と投稿している。
ロシアにどんなメリットが?
イランへの攻撃がロシアに利益をもたらしている側面もあるという。
中東情勢によって「経済的に苦境にあるロシアにどのようなメリット」をもたらしているのだろうか。
ロシア産原油の価格はイラン攻撃前の2月27日には1バレル約59ドルで取引されていたが、先月30日には116ドルと約2倍の価格となっている。
さらに、アメリカのトランプ大統領は去年から、各国にロシア産原油の購入停止を要請していたが、先月12日、アメリカ財務省はロシアへの制裁を緩和し、各国が一時的にロシア産原油を購入することを容認すると発表した。
フィナンシャル・タイムズによると、原油販売に伴うロシアの税収増は日本円にして一日最大約240億円と試算されていて、今年3月の増収分は、ウクライナ侵攻にかかる月の支出の約3分の1をまかなえる規模に及ぶという。
そしてイラン情勢は、ウクライナでの戦況でもロシアにメリットをもたらしているというが、どういうことか。
ワシントン・ポストによると、アメリカ国防総省はイランへの攻撃で弾薬を消耗していることから、ウクライナ向けの迎撃ミサイルなどを中東に振り向けることを検討しているという。トランプ大統領も「我々は膨大な量の弾薬を保有している」としつつ「ある場所から移し、別の場所で使うこともある」としている。
こうしたこともあってかEU欧州理事会のコスタ常任議長は、イラン攻撃における「唯一の勝者はロシアだ」と指摘している。
米国と同盟国との関係に変化
イラン情勢を巡ってアメリカと同盟国の関係に変化が生じているという。立場の違いが鮮明になっている。
アメリカは同盟国にホルムズ海峡への艦船派遣を要請したが、NATO加盟国であるイギリス、フランス、ドイツが派遣を拒否するなど、欧米の亀裂が深まっていると指摘されている。
ロシア軍がウクライナで春の攻勢
アメリカが中東に戦力を向ける中、ロシア軍はウクライナに攻勢をかけているという。
AP通信によると、ロシア軍は先月24日、ウクライナにドローン約1000機とミサイル34発を発射したという。これはウクライナへの侵攻開始以降、最大規模の攻撃の1つとなった。
アメリカのシンクタンク「ヨーロッパ政策分析センター」よると、ロシア軍はウクライナ東部ドネツク州の「要塞ベルト」と呼ばれる都市群を攻撃しているという。この地域はウクライナが長年かけて築いてきた強固な防衛拠点だ。
国内で通信制限 プーチン大統領の狙い
こうした中、ロシア国内では携帯電話などの通信が遮断されるなど、前例のない規模で通信制限が起きているという。プーチン政権の狙いとは。
ロシアメディアのコメルサントによると、モスクワなどでは先月5日からモバイルネット通信が遮断され、会計時に支払いができない、タクシーが呼べないほか、救急車を呼ぶなどの緊急通報ができない地域も出ているという。また、こうした通信遮断による企業の損失は5日間だけでも最大97億円という試算を伝えている。
今回のようにモスクワで通信遮断が行われることは珍しいが、ロシア国内ではたびたび行われていて、イギリスの調査機関の推計では、ロシアがインターネットを遮断したことで被った経済損失は、去年1年間で世界トップで1兆9000億円に上るという。
なぜ経済損失も顧みず、大規模な通信遮断を行うのか。
CNNは、ロシア当局が再び兵士の動員を行った場合にネットでの抗議活動を抑え込めるか試しているのではとの真偽不明の情報も出ていると伝えている。
こうした状況の中で、プーチン大統領の支持率はどうなっているのか。
政府系の調査機関である全ロシア世論調査センターが先月行った最新の調査では、プーチン大統領の支持率は約70%で、ウクライナへの全面侵攻が始まって以降、最低水準となっている。
(2026年4月1日放送分より)






