アメリカとイスラエルによるイラン攻撃から1カ月が経過した。事態が長期化する中、現地の生々しい状況やアメリカ側の誤算、そして戦域の拡大についてテレビ朝日外報部の大原武蔵記者が解説した。
【映像】ひと目でわかるアメリカの「イランへの要求」と「見返り」
停戦への機運が高まっているようにも見える。アメリカのトランプ大統領は「2〜3週間以内に軍事作戦を終了させる」との見通しを発表し、イランのペゼシュキアン大統領も戦闘終結への意思を表明した。しかし、大原記者はこの動きを慎重に見ている。「『2〜3週間で終わる』という言葉は和平への動きとも取れるが、同時にその期間は攻撃を続けるとも言い換えられる。最後になにか大きな攻撃をして、『成功したから撤退する』というメッセージにも聞こえる」と分析する。
実際、佐世保から強襲揚陸艦トリポリが向かっているほか、新たな空母や上陸作戦用の艦船も派遣されており、軍事的な圧力はむしろ強まっている。
今回の長期化の背景には、アメリカ側の明確な「誤算」があった。トランプ政権は、最高指導者ハメネイ師を殺害すれば体制が崩壊し、民衆が蜂起すると踏んでいた。殺害には成功したものの、大原氏は「現状として、イラン国内で体制が変わるような大きな状況になっているとの情報には触れていない」と指摘する。
逆にイラン側は、戦いを泥沼化させる「持久戦」の構えを見せている。攻撃範囲を広げる「水平的なエスカレーション」と、軍事施設以外への攻撃を深める「垂直的なエスカレーション」を組み合わせ、アメリカを消耗させる戦略だ。この流れに呼応するように、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が本格的な介入を表明した。大原氏は、「南側のフーシ派からも攻撃することで、より消耗戦に持ち込んでいる」とその狙いを説いた。
深刻な影響を受けているのは市民だ。大原記者は、ネット遮断が続く中でテヘラン在住の日本人と連絡を取ることに成功した。その人物は爆発音で窓ガラスが揺れる恐怖を語る一方で、長年の制裁に慣れたイラン社会の特殊な逞しさについても証言した。スーパーやカフェは意外にも営業を続けており、「戦争と共存している」状態だという。しかし、最も恐れられているのは生活の根幹を奪う発電所への攻撃だ。「空爆には耐えられても、停電や断水には耐えられない」「発電所への攻撃だけは頼むからやめてほしい」という現地の切実な声を大原氏は伝えた。
トランプ大統領は日本時間の明日午前10時に重要な演説を行う予定だが、大原記者は「言葉だけでなく、同時にどういう軍事行動に出ているのかとセットで慎重に聞かなければならない」と締めくくった。
(ニュース企画/ABEMA)