国際

サタデーステーション

2026年4月5日 01:58

「非常事態」宣言の国では大型連休に異変 ステイホームで観光地閑散

「非常事態」宣言の国では大型連休に異変 ステイホームで観光地閑散
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イランによるホルムズ海峡の実質的な封鎖に、世界各国が揺れています。私たちは、エネルギー危機の最前線に立つフィリピンの現状を現地取材しました。(4月4日OA「サタデーステーション」)

日本関係の船2隻目 ホルムズ海峡を通過

イランとオマーンに挟まれたホルムズ海峡が、事実上、封鎖されて5週間。2隻目の日本の関係船舶が通過したことが4日、新たに分かりました。商船三井によると、同社がインドの企業と共同保有するインド船籍のLPG=液化石油ガス船です。東京大学大学院の渡邉教授によると、イランが指定する「安全回廊」を通過し、インドに向けて航行中だということです。通過中は、AIS=船舶自動識別装置で、「INDIA SHIP INDIA CREW」と、インド関係の船であることを名乗りながら通過したようだといいます。インドのメディアは、戦闘開始後に海峡を通過した7隻目のインド船籍の船だと報じています。

この船の前にも、LNG=液化天然ガスを運ぶ、商船三井とオマーンの企業が共同保有する別の船が海峡を通過したことが分かっています。

この2隻には重要な共通点があるといいます。まず、最初に通過が報じられた船について。

東京大学大学院 渡邉英徳教授
「今ここの場所(ホルムズ海峡を通過した先のオマーン沖)にいるわけですね。ここで今くるくる回っていますから、(オマーンの)港に入るために待機をしていると思われる状態です。普段からオマーンと密接な業務をしていた船で、通過するときもオマーンを目指しているというふうに正直に信号を出していた」

通過した航路についても。

東京大学大学院 渡邉英徳教授
「ここがイラン側が指定した安全回廊。北の方です。(一隻目は)それと全然違うこの南側のルートを通っていた」

南側は、封鎖前に使われていた通常の航路です。

東京大学大学院 渡邉英徳教授
「ここだとオマーンの沿岸でまさに領土に近いですから。こっちはオマーン側が管理したいルートなんだと思う。商船三井が共同所有しているといっても、 半分はオマーンの方で持っている船で、オマーンに向けて通過するということですから。イランとしてもわざわざ攻撃する理由がないというか」

つまり、2隻ともイランと関係が深いオマーンとインドが関係する船だったことが大きいのではないかといいます。

東京大学大学院 渡邉英徳教授
「(湾内に残る)日本船籍の船は未だに動いていないんです。ペルシャ湾の方でずっと待機している状態でぬか喜びできない。ついに日本行きの原油や天然ガスを積んだ船が通過した、と言ってわーって喜ぶのはちょっと早計だと思う」
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「国家エネルギー非常事態」宣言の比 現地はいま

世界で影響が拡大しています。私たちは日本と同じく、原油の9割以上を中東地域に依存し、「国家エネルギー非常事態」が宣言されているフィリピンを取材しました。

報告・藤富空記者(フィリピン・バキオ 4日)
「こちら土産物店が並んでいるが、観光客の姿はほとんどみられません。例年と比べて客足は半減しているということなんです」

フィリピンで人気の避暑地「バキオ」。「ホーリーウィーク」と呼ばれる連休中で、普段は多くの観光客が訪れるといいますが、人はまばらです。

土産店の店員
「ホーリーウィークの連休中、40%から50%観光客の数が減っていると思います」
「(Q どうして客が減った?)ガソリンの価格が高騰しているからだと思います」

マニラ市内に向かう道路には、車の姿がほとんどありません。街中も、車はまばらです。タクシー運転手のレデスマさんは、この一カ月、働けば働くほど生活が厳しくなっているといいます。

タクシー運転手 ロデル・レデスマさん(50)
「以前の手取りは1日、1500ペソ(3960円)ありましたが、今は700ペソ(1850円)ぐらいに減りました。ほぼ半分です。ガソリンの価格が(2倍に)上がったのに、客が払う運賃は上がらないからです」

レデスマさんは、いとこ夫婦と3人で住んでいます。この日は、クリスマスに次いで大切な日とされるホーリーウィークの“聖金曜日”。本来なら家族や親せきが集まり、大切な時を過ごすといいますが…。

タクシー運転手 ロデル・レデスマさん(50)
「これが今夜の僕のディナー。今は豚肉がたかいのでこのツナ缶を使っています」
「(Qどんな食材が高くなっていると感じる?)特に野菜とか魚とか、ほとんど全部ですね。紛争が終わるまでは、どうなるのかわかりません。ガソリンの価格は下がらないと思います」

また、これから暑い季節を迎えようとするなか不安の声も。

マニラ在住10年の日本人家族
「3月の後半ぐらいから6月ぐらいまでが一番暑い時期になります。もしそこで節電とかをするようになると、結構子どもたちも体調も心配ですね」

いつもと違う、ホーリーウィークを過ごしているといいます。

マニラ在住10年の日本人家族
「例年はやっぱり海に行ったりとか、島に行くのが定番というか。あと山ですね、地方の。(今年は)ガソリンの現物自体がなくなってるっていうのも聞いてるので、もし地方に行って帰って来れなくなったりとか、あとは子供たちが何か緊急でマニラに戻る必要があったときに、いろいろ懸念点があるんで、今年は家で家族で過ごそうかなと思ってます」

マルコス大統領によると、石油の備蓄は、6月の分まではあるということですが、政府職員を週4日勤務にするなど、国を挙げて燃料の節約に力を入れています。

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燃料節約へ “時短営業”始めた国も

燃料の節約に取り組む国は他にもあります。

エジプト マドブリ首相(先月18日)
「平日はすべての商店、ショッピングモール、レストラン、カフェが午後9時に閉店します」

エジプトでは、燃料の消費を抑えるため、商店やレストランの時短営業を始めています。

カフェ店のオーナー(エジプト・カイロ)
「午後9時というのは、お店が最も忙しくなる時間帯ですが、見てもらえばわかるように、いま街は、コロナ禍の時と同じようにガラガラとなってしまっています」

さらに政府は、今月は、官民ともにエジプトでは平日にあたる日曜をリモートワークにすることを義務付けました。エジプトのエネルギー関連支出は、この2カ月で2倍となっています。

一方、コメの作付けを控えたインドでは。

肥料店のオーナー
「主に湾岸諸国、特にカタールなどから肥料を輸入していますが、(コメの作付けが本格化する)6月と7月には在庫が全くなくなるでしょう。窒素肥料の原料となる、尿素やアンモニアは、ホルムズ海峡を通って輸出されるためです」

今も海峡周辺には、燃料などを積んだ2000隻の船と2万人の乗組員が留め置かれた状況が続いています。

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ホルムズ封鎖  イランの方針に変化?

高島彩キャスター
「事実上イランに封鎖されているホルムズ海峡から、日本に関係する船が出たということですが、現状はどうなっているのでしょうか」
板倉朋希アナウンサー
「日本時間4日午後に、商船三井の船2隻目がホルムズ海峡を通過したことが明らかになりました。また、フィリピン外務省も2日、外相同士が電話協議を行い、通航許可を得たと発表したほか、中国、パキスタン、インド、フランスなどに通航許可が出ており、『限定的に通航容認』の状態になっています」
「ではなぜ、商船三井の船が通れたのか、中東情勢に詳しい東京大学公共政策大学院の鈴木一人教授によりますと、『今回については、船の所有者などが何らかの交渉をしなければ通過できなかったはず』とみています。その理由として『日本政府は、ホルムズ海峡の開放に向けて欧州などの国際社会と連携を始めたこのタイミングで各国と足並みを揃えて行かなければならず、この商船三井の船の通過に関しては、政府が関与したとは考えにくい』という見方です」
高島彩キャスター
「海峡の封鎖については、イランが方針を変えたとみていいんでしょうか」
板倉朋希アナウンサー
「当初の『すべての船を止める』方針から、『選別して通す』方針へと変化しているようです。背景には、国際社会で高まるイランへの非難を和らげたい狙いがあるとみられます。鈴木教授は、今回、商船三井の船が通過できたことで、『日本は攻撃への関与が低い』と認識されているのではないかとみています。従って、今後も船会社ごとの交渉次第で、通過できる可能性は高いとしています」

日本政府の対応は イランと交渉も?

高島彩キャスター
「この先、日本政府が独自に交渉することはあるのでしょうか」
板倉朋希アナウンサー
「日本政府の独自交渉は、今後1〜2か月、各国の動きを見極めたうえだとみられています。というのも、日本は石油備蓄がおよそ230日分(※3月31日時点)と世界的に見ても余裕があり、備蓄が切迫するヨーロッパ諸国などの出方をみながら、判断できるからです」
高島彩キャスター
「ただ、いくら石油備蓄に余裕があると言っても、先行きは不透明ですよね」
板倉朋希アナウンサー
「政府内ではすでに、供給不安の長期化を見据えた動きが始まっているようです。赤沢経産大臣は昨日、節約や節電の要請について石油製品の供給不安が長引いた場合、『国民生活に大きな影響がない形で、あらゆる政策オプションを検討していきたい』と述べました」
高島彩キャスター
「需要抑制には慎重な姿勢を続けてきた日本政府ですが、柳澤さんは、赤沢大臣のこの発言をどう受け止めていますか?」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「70年代のオイルショックのときのような混乱を回避したい。政府としては、『いろいろなことを考えているから、国民は買いだめに走ったりすることなく冷静に対応してほしい』というメッセージが込められていると思います。不安が広がらないようにするためにも、政府は国民に対して『具体的に、こういうことを考えています』ということを、早め早めに示していく必要があると思います」

政権内部に乱れ トランプ氏の本音は?

高島彩キャスター
「一方、アメリカ側の動きについて、柳澤さんはどこに注目していますか?」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「アメリカ国内でガソリン価格が急激に上がっていて、政権に対する支持率が急速に下がっています。さらに政権内部では事実上の閣僚の更迭、それから軍幹部の解任といったことが起きていて、政権内部の足元の乱れも目立ってきています。そういうことで今後アメリカがどう対応するかなんですけれども、今後の政治日程、トランプ大統領の中国訪問、それから建国250年、さらには秋の中間選挙と重要な政治日程が控えていますので、トランプ大統領にすれば、できるだけ早くイランから手を引きたいというのが本音だと思うんです。ただ今一緒に攻撃しているイスラエルのネタニヤフ首相はイランに対する攻撃を継続したいという思惑のずれもあるんですね」
高島彩キャスター
「その思惑のずれというのがずっとずれたまま、修正できないまま進んでいますよね」
ジャーナリスト 柳澤秀夫氏
「バンス副大統領がネタニヤフ首相に対しては、説得あるいは働きかけをしていて、これまでと違った対応をネタニヤフ首相も見せ始めてはいるんですけれども、いずれにしても攻撃の応酬が続いていますし、出口が見えない状況がしばらくは続くことになりそうですね」
高島彩キャスター
「VTRでも各国、燃料の節約をしているところもありましたし、経済的にも私たち日本にも大きな打撃があるかもしれない、そのあたりも心配ですね。ガソリン価格など本当に私たちの生活への影響も大きいということで、そのあたりも慎重に見ていきたいと思います」
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