8日、アメリカのトランプ大統領が2週間の攻撃停止を条件付きで同意したと伝えられました。ただ、日本時間の7日夜時点では、トランプ大統領は「今夜一つの文明が滅び、二度とよみがえることはないだろう」という警告をイランに対して出していました。
カーグ島攻撃に着手
「イランが一夜にして壊滅する可能性がある。期限を過ぎれば、イランから橋も発電所もなくなる。石器時代の到来だ」
トランプ大統領が設定した“交渉期限”は日本時間8日の午前9時。およそ14時間前、事態は大きく動き始めました。
カーグ島をアメリカ軍とイスラエル軍が複数回にわたり攻撃しました。島では爆発音が確認されたといいます。
第1報が報じられたおよそ2時間後にはCNNでも…。
「ある政府関係者によると、アメリカは東部時間のけさ、カーグ島を空爆しました。もちろん、ここはペルシャ湾の原油の拠点です。イランから輸出される原油のほとんどが、ここで扱われています」
時を同じくして、トランプ大統領はSNSで挑発的な言葉を投稿します。
FOXニュースによると、今回のカーグ島の攻撃に関して、アメリカ政府高官は「これはイランへのメッセージだ」とコメントしています。
ウォール・ストリート・ジャーナルは、アメリカ軍がカーグ島で50カ所以上の軍事拠点を攻撃したと伝えました。石油関連のインフラは標的にしなかったとしています。
“交渉期限”を前にアメリカとイスラエルは、イラン国内のインフラ施設への攻撃を実施。イランメディアによると、イラン各地で鉄道や鉄橋、さらには空港が攻撃を受けたといいます。
イランと停戦交渉を停止か
期限まで5時間を切った、日本時間午前4時すぎ。CNNが立て続けに交渉の進捗を報じました。
「イラン国営メディアによれば、トランプ大統領の脅迫を受けて、イラン側はアメリカとの連絡を遮断したという報告も入っています」
アメリカのニューヨーク・タイムズは複数の政府高官の話として、「イランがアメリカとの停戦交渉を停止した」と報じました。
仲介役を務めるパキスタンに対し、イランが協議に応じない意向を伝えたとしています。そのパキスタンについて、CNNはこう報じました。
日本時間午前4時、パキスタンのシャリフ首相がSNSでトランプ大統領に攻撃の2週間延期を要請したことを明かしました」
またイラン側には、ホルムズ海峡の開放を求めたといいます。
「2週間攻撃停止」
交渉期限まで1時間半ほどに迫る中、8日にトランプ大統領は自身のSNSを更新しました。
停戦に反対か イスラエル
一方で、イランを巡って衝撃のニュースがありました。
最高指導者モジタバ師が意識不明の状態で現在、治療を受けているとイギリスのタイムズが報じました。
モジタバ師は2月に負傷してから、公の場に姿を見せていませんでした。
事実であれば危機的状況を迎えているイラン政府。スポーツ青年省のアリレザ・ラヒミ副大臣はこう述べました。
イラン当局者は、交渉期限を前にビデオメッセージを公開。国内の発電所周辺で「人間の鎖」によるデモを行うよう呼びかけました。
刻一刻と迫る“交渉期限”。テヘランの住民も不安を隠せません。
停戦に反対しているとみられるイスラエルも攻撃を強めています。
「イスラエル国防軍はたった今、イラン最大の石油化学施設に強力な攻撃を実施した。ここは、イランの石油化学製品の約50%を生産する主要な標的だ」
イランの巨大なサウス・パルス天然ガス田にある主要な石油化学プラントを攻撃。さらに、イランの革命防衛隊の指揮官2人を殺害したと発表しました。
「イラン国内の鉄道利用者および乗客への緊急警告。市民の皆様へ、安全のため今からテヘラン時間21時(日本時間午前2時半)まで、イラン全土において鉄道での移動を控えてください。鉄道の利用及び線路周辺への接近は、生命に危険を及ぼす恐れがあります」(7日)
イスラエル軍はイラン国内の人々に向け、鉄道の利用や線路への接近を控えるよう呼びかけました。
拘束された日本人保釈
7日、日本でも動きがありました。
イラン国内で今年1月に拘束された日本人について、6日に保釈されたと、木原稔官房長官が明かしました。
保釈された日本人は、NHKのテヘラン支局長とみられています。
政府関係者によると、保釈された日本人はイラン国内の安全な場所にいるということです。
なぜイランは、このタイミングで日本人の保釈を行ったのでしょうか?
田中浩一郎教授
「テヘランに対して空爆が激しくなっているので、そこに拘置されている人たちの安全を考えて、いったん保釈したと理解しております。イラン側の管理下にある状態で何かがあると、それはイラン側の責任になってしまいますから。自分で自分の面倒は見てくださいねということだと思う」
連日続いているというアメリカやイスラエルによる空爆。イラン国内の状況は今、どうなっているのでしょうか?
外国人記者が見た“今”
イラン北西部の街、タブリーズからリポートするのは、カナダ人ジャーナリストのディミトリ・ラスカリス記者です。
イラン国営メディア「IRIB」が外国人ジャーナリストを招待し、11日間にわたる取材ツアーが行われました。
通常、外国人記者がイラン国内の取材を認められることはほとんどありません。
最初に案内されたのは、空爆によってがれきとなった住宅でした。がれきに貼られた横断幕には「アメリカによる犯罪の証拠」という文字があります。
ここで夫と2人の子どもを亡くしたという女性は、「3歳と13歳でした。子どもたちに何の罪があったというの」と話します。
テヘランのモスクには、数えきれないほどの人が集まっていました。
ディミトリ・ラスカリス記者
「驚くべき光景です。この国が大きな戦争に巻き込まれているとは思えません」
「アメリカ国民に伝えたい。あなたたちの大統領は子どもだ。ネタニヤフの操り人形だ」
ラスカリス記者によると、今回の取材ツアーでは、撮影が制限されることはほとんどなかったといいます。
被害の現実 空から地雷
核関連施設やイランの主要な軍事施設があるイスファハンでも、取材の機会が与えられました。
「ご覧のように、敵の容赦ない攻撃後も幸いなことに街の生活は続いています」
ラスカリス記者の取材中も空爆があり、遠くで黒煙が上がっています。他の町でも…。イラン南部のミナブでは、ドローン攻撃に遭遇します。
「訪れた先々で空爆があって、爆発音が聞こえない街はありませんでした」
アメリカが大規模な攻撃へ踏み切ろうとする中、ラスカリス記者には心配なことがあるといいます。
イラン南部の村では、空から地雷がまかれていました。
ばら撒かれたとみられるのは、アメリカが保有する空中散布型の対戦車地雷です。
「破片が車を貫通しているのが分かります」
30歳の男性が拾った地雷が爆発。生後4カ月の子どもと妻を残し、死亡しました。男性の母親は「私も連れて行ってよ」と絶望に暮れていました。
ラスカリス記者は、こう話します。
なぜ、このタイミングでイランは外国人ジャーナリストを招いたのでしょうか?
田中浩一郎教授
「戦場で何が起きているかだとか、戦災によってどういう被害を受けてるかということを見せることで、国際世論に訴えてできるだけ自分たちに対して、同情的あるいは有利になるような環境を醸成していると思う。即効性はありませんけれども、長い間この先戦っていくというのであれば、どこかでそこが役立つのではないかという考えです」
(2026年4月8日放送分より)




















