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モーニングショー

2026年4月9日 16:00

米軍の基地使用をイタリア拒否 日本できないワケ 日米安保に課題“巻き添え”懸念も

米軍の基地使用をイタリア拒否 日本できないワケ 日米安保に課題“巻き添え”懸念も
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アメリカのトランプ大統領は、脱退を検討しているNATOと、日本時間の4月9日、会談を行いました。

ヨーロッパ各国が、イラン攻撃で基地の使用を拒否したことが関係悪化の要因ですが、一方で、日本は拒否できないといいます。どうしてなのか、見ていきます。

■トランプ氏『NATO脱退』示唆 基地使用めぐり欧州と対立

イランに対する軍事行動にNATOが参加しなかったことを受け、トランプ大統領は、
アメリカをNATOから脱退させることを強く検討している。NATOは“張り子の虎”だ」と語りました。

NATOの脱退については、トランプ大統領はイラン戦争以前から主張していました。
その理由のひとつが防衛費の問題です。

NATOの防衛費は総額の約62%をアメリカの軍事予算が占めています。

トランプ大統領の考えです。
NATO同盟国は『ただ乗り』している、アメリカの強大な軍事力に安全保障を頼っている、という考えで、同盟国はアメリカに恩義があるため、米軍の活動を妨げるべきではない、と主張しています。

ヨーロッパの対応です。

スペイン、フランス、イタリアは、イラン攻撃に関与する航空機の領空や基地の使用を拒否しています。
南欧一帯の領空が閉鎖された場合、イギリスから出発した爆撃機は、ペルシャ湾まで大きく遠回りをすることになり、飛行時間、乗員の負担、燃料補給量が増え、アメリカの負担が大きくなります。

イタリアのメローニ首相です。
「我々の責務は何よりもまず国益を守ること。意見が違うのであれば、それを伝えなくてはならない」と語っています。

アメリカの国防権限法では、大統領が独断でNATOを脱退・停止・終了させることを禁じています。
実行するには、上院の3分の2の賛成、または議会の新たな立法が必要です。

しかし、大東文化大学教授の川名晋史さんによると、
「トランプ大統領は米軍の最高司令官として駐留米軍の引き揚げなどを行うことができ、正式な手続きを伴わずとも、事実上の『脱退』が可能」だということです。

アメリカとNATOが会談を行っています。

NATOのルッテ事務総長はトランプ大統領の『ささやき役』で、予測不可能なトランプ氏を味方につけようと、公私問わず尽力しています。
会談相手は、ルビオ国務長官の他、トランプ大統領と、ヘグセス国防長官です。

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■イラン攻撃 米軍基地使用 イタリアは拒否 日本との違いは?

米軍基地が、イランの報復攻撃の“標的”となりました。

3月12日、イランの新たな最高指導者、モジタバ師は、
イランへの攻撃に使われた軍事基地に報復した。近隣諸国にある米軍基地はすべて即時閉鎖されるべきで、これらの基地は攻撃対象となる」という声明を出しました。

攻撃された米軍基地は、イラクのエルビル基地、クウェートのアルサレム空軍基地、バーレーンの米第5艦隊司令部、カタールのアルウデイド空軍基地、UAEのアルダフラ空軍基地などです。

NATOなどヨーロッパにある米軍基地では38以上の基地に米軍が駐留しています。
イタリアのシゴネラ基地は、3月27日、米軍機の基地着陸を拒否しました。

イタリアはなぜ拒否したのでしょうか。

複数のアメリカの爆撃機が基地を経由して中東へ向かう予定でしたが、イタリア側には事前の要請や、軍上層部との協議がなかったということです。

イタリアとアメリカの二国間協定では、通常の、補給などの後方支援であれば基地の利用を認めています。
しかし、イタリア側は、今回の飛行は軍事作戦で、条約の『対象外』と判断
アメリカ側に着陸を認めない方針を伝えました。

イタリアとアメリカの二国間協定では、米軍の重要な行動すべてについて、イタリア軍司令部に事前通知すると規定されています。

イタリアのクロセット国防相です。
「基地の使用については、二国間協定の範囲を超える場合は、国会の承認が必要

一方で、在日米軍基地です。

佐世保基地に配備されている強襲揚陸艦『トリポリ』は、F35Bステルス戦闘機やオスプレイなどを搭載し、沖縄の海兵隊など約3500人が派遣され、3月27日、中東地域に到着しました。
ホルムズ海峡開放に向けた作戦の一環とみられます。

日本はなぜ拒否できないのでしょうか。

イタリアとの違いです。
川名さんによると、イタリアの米軍基地は、イタリアの基地に米軍が『ゲスト』として駐留している形で、管理人はイタリア側です。
日本の米軍基地は、主要な基地は、アメリカが実質的に運用していて、管理人はアメリカ側です。

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■日米安保『事前協議』あり方に課題 “米国の巻き添え”懸念も

日米安保の課題についてです。

『日米安全保障条約』第6条には、
日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍・空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される』とあります。

一方で“制限”も規定しています。

『岸・ハーター交換公文』には
1、米軍の配置の重要な変更
2、米軍の装備の重要な変更
3、戦闘作戦行動のための基地使用
については『事前協議を行う』としています。

3月30日の参院予算委で、共産党の仁比議員は、
「佐世保から出撃した強襲揚陸艦トリポリなどが、イラン近辺に到着したとされている。政府にはどのような説明があったのか」と質問しました。
これに対し、茂木外務大臣は、
「米軍の運用の都合により、米軍の部隊等を我が国の基地から他の地域に移動させる、このことは、日米安全保障条約上も問題はなく、事前協議の対象とはなっていない」と答えました。

アメリカは過去には多くの戦闘に、在日米軍基地から出動しています。

1991年の湾岸戦争では、横須賀基地に配備されていた空母などが参戦し、ミサイル攻撃などを行いました。
このときも『事前協議』はありませんでした。

『事前協議』について、日本の考えです。

通常の補給、移動、偵察等、直接戦闘に従事することを目的としない軍事行動のための施設・区域の使用は、事前協議の対象とならない、というのが、政府の統一見解です。

大東文化大学教授の川名さんです。
事前協議は事実上形骸化してきた。しかも、日本側から協議を持ちかけることはできない立て付け。アメリカにとって在日米軍基地は、これ以上ないほど使い勝手の良いものになっている」
今後については、
「今回のことを契機に日本の安全保障にはどこまで主体性があるのか、とりわけ、私たちが望まない戦争に巻き込まれないための手段が、はたして用意されているのか。いまいちど点検し、修正していかなければならない」としています。

(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年4月9日放送分より)

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