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2026年4月11日 21:00

ホルムズ海峡封鎖でどうなる?実は知らない!原油値段の決まり方を池上解説

ホルムズ海峡封鎖でどうなる?実は知らない!原油値段の決まり方を池上解説
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 イランとアメリカの停戦が発表されました。しかしまだ一部では戦闘も続くなど、まだまだ安心できる状況ではありません。そんな中、ホルムズ海峡の封鎖によって原油の価格は大きく上がっています。そもそも原油の値段はどう決まるのか、石油と原油は何が違うのかなど、石油について基礎の基礎から解説してまいります。

そもそも石油って何?

 石油とは地中深くでプランクトンなどの死骸が変化してできたものです。大昔、プランクトンなど生物の死骸が海の底に積もり、その上に土砂が積み重なって地中深くに埋もれていきます。そうしますと土砂の圧力や地熱、そしてバクテリアの働きによって性質が変化し、炭素と水素のかたまりになることがあります。これが石油です。液体の場合は石油、気体の場合は天然ガスですね。

石油ができるまで

この過程が化石のようなので、石油は化石燃料と言われるのです。

 そして皆さん、石油というと洞窟のようなところにちゃぷちゃぷと黒い液体がたまっていると思っていませんか?実は違います。地下の石油は岩石の隙間に入っていて、見た目は石のようになっています。だから「石油」というんです。これが掘られたり、地表近くまで来て圧力が弱まると、閉じ込められた液体が地上に噴出してくるというわけです。

 ところで皆さんはこうした話をするときに「石油」「原油」どちらの言葉を使いますか?意外とこの違い、分かっていないのではないでしょうか。

地下から掘り出した、そのままのものが「原油」、それを加工してできた「ガソリン」や「灯油」は石油製品、そしてこれらをまとめて「石油」と言うのです。

原油から石油製品はどう作る?

では、原油からガソリン、灯油などの石油製品はどうやって作るのでしょうか。学校で習いましたよね。そう、熱を加えて作ります。

原油からできるものの温度の違い

原油を熱するときの温度によってそれぞれ出てくるものが違います。

低い温度で出てくるのがLPガス、次がガソリンやナフサ、そして灯油、といった感じです。これは低い温度で熱し続ければたくさんのガソリンが出てくる、ということではなく、もともとの原油の成分を熱によって分けていく、といったイメージです。ですからどの地域で採れた原油かによって、出てくるものの割合は違ってきます。

石油は「あと30年くらいでなくなる」!?

石油はあと30〜40年で枯渇?

 昔学校で、「石油はあと30〜40年でなくなる」と習いませんでしたか?実は1970年代、50年くらい前から「あと30年くらいで枯渇する」とずっと言われ続けてきたんです。でも今も石油はなくなっていませんね。なぜだと思いますか?実は新たに油田が見つかったり、掘り出す技術が進歩したためなんです。特に海底油田というのは昔はなかなかできませんでした。でも今はその開発も進んでいますね。

ちなみに現在の石油の「採掘可能な残り年数」は資源エネルギー庁によると53.5年です。このところは「あと50年」程度で推移しています。

前より採れる期間が伸びているといっても限りある資源であることは確かです。積極的に節約していく必要があります。

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世界の石油、生産量も埋蔵量も1位は中東ではない!?

 石油がたくさん採れる場所というと中東というイメージがありませんか?でも今一番「埋蔵量」が多いのは中東ではありません。中南米のベネズエラです。

原油埋蔵量が多い国

ただ、ベネズエラは長年政情不安が続き、経済の状態がよくありません。そのため油田の開発もあまり進んでいないのです。結果、現在最も原油生産量が多いのはアメリカです。

原油生産量が多い国

今日本は中東から9割以上の原油を輸入しています。中東依存が大きいために、今回のホルムズ海峡閉鎖の影響を大きく受けています。仲のいいアメリカが今一番多くの原油を生産しているならそこから買えばいい、と思いますよね。でもそう簡単にはいかない事情があるんです。

ホルムズルート&パナマ運河ルート

アメリカで原油の生産量が多いのはテキサスの方です。ここから原油をタンカーに積んで、となると最短ルートはパナマ運河を通ることになります。でも日本で主流の大型タンカーはパナマ運河を通ることができません。タンカーの幅が大きすぎるんですね。パナマ運河を通れるようなタンカーでは小さすぎて効率が悪くなります。さらにはアメリカで採れる原油と中東の原油とでは成分が違います。日本の製油所は中東の原油に合わせて作られていますから、もしアメリカからたくさん輸入、となったら製油所の設備も新しくする必要が出てくるんです。

現在日本は中東だけでなく、中央アジアやアメリカ、カナダなど新たな輸入先開拓を進めています。でも簡単にはいかない、というのが実情なんです。

原油の値段はどう決まる?

 今年初めに比べて一時は2倍まで値上がりした原油価格。

原油の値動き

では原油価格とはどう決まるんでしょうか。世界には3大原油というものがあります。それがアメリカのWTI、ドバイ原油、北海油田からとれるブレント原油です。

3大原油

 WTIとはアメリカのテキサス州西部で採れる原油です。これはニューヨークのマーカンタイル取引所で「先物」が取引されています。一般的にニューヨークの原油価格、とニュースで言っているときはこのWTIの先物取引の値段です。

先物取引って何?と思う方もいらっしゃるでしょう。これは例えば1か月先の値段を今決めてしまう、というものです。

先物 1か月後に原油が必要

今100ドルで売っているなら、1か月後も100ドルで売ってください、と約束するんですね。もしかして1か月後80ドルに下がったら損をするかもしれません。でも先々の値段を決めることで安心して安定した取引ができる、というわけです。でも今はこの原油の先物取引を「投資」として参加する人が増えています。儲かるからやる、というわけです。ですから原油の値段とは需要と供給だけではなく、投資家の「思惑」によって左右される側面が大きくなっています。

世界の原油の値段はこうしたWTIなどの先物取引の値段を基準として決まっていきます。なのでこのニューヨークでの値動きが大変に注目される、というわけです。

池上彰さん

こうしてみてくるとイランとアメリカ・イスラエルとの戦いは遠くの中東でのもめ事のように思いますが、私たちの生活に大きくかかわってきていることがわかります。これからどうなっていくのか、ぜひ注目してニュースを見ていただければと思います。

(池上彰のニュースそうだったのか!!4月11日放送より)

もっと詳しく石油のこと、イランとアメリカのことを知りたい方はTVerへ!!

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