トランプ大統領が習近平国家主席との会談に向け、日本時間5月13日、北京を訪問します。
いま、中国では若者の就職難や不動産不況が深刻化しています。
中国経済を悩ませるデフレについても見ていきます。
■深刻な就職難に若者悲鳴 “寝そべり族”に政府が警告!?
中国では、若者が深刻な就職難に直面しています。
若者の失業率です。
直近の3月の16歳〜24歳の若者失業率が16. 9%です。
コロナ禍では、20%を超える水準に達していたので、それよりはやや改善されたものの、依然、高止まりをしています。
就職に関する若者の声です。
「数カ月ずっと仕事を探して、履歴書も1000通以上送って、ようやく最初の面接にこぎつけた」
「1カ月以上、どの会社からも連絡なし。もう履歴書を送る気力が残っていない」
「去年卒業してからずっと就活しているのに、仕事が見つからない。もう限界」
『寝そべり族』というネット用語が、中国で再び注目されています。
『寝そべり族』とは、
▼学歴重視への圧力や厳しい就職競争の中、仕事や私生活を『(必要以上に)頑張らない』低意欲・低欲望の(若者の)ライフスタイルを指す言葉です。
▼2021年ごろからSNSで流行しています。
『寝そべり族』の5つの“しないこと”です。
1、家を買わない
2、車を買わない
3、結婚しない
4、子どもを作らない
5、消費をしない
『寝そべり族』のSNS上の投稿に対し、4月末、国家安全省が(SNS公式アカウントで)注意を呼びかけました。
『国外の反中敵対勢力が“努力しても無駄”“頑張るのは損”といった消極的な価値観を広め、若者の努力する信念を弱め、社会価値の基盤を揺るがそうとしている』と訴えかけました。
■急降下の住宅価値 売却検討も買い手つかず…
中国では不動産不況も起きています。
北京・上海など、主要都市の住宅価格です。
民間指標によると、ピークから3割余り下落しています。
その結果、多くの中国人が住宅価値を上回るローン残高を抱える、『負の資産(担保割れ)』状態になっているということです。
ユーさん、31歳・女性のケースです。
ユーさんは、
▼広東省の名門大学英語学科を卒業。
▼2018年 (インフルエンサーを管理する)マーケティング会社に就職しました。
▼2021年、コロナに伴うライブコマース事業の急成長に伴い、年収が約930万円になりました。
▼その勢いで、深センのマンションを約4900万円で購入し、月18 .5万円のローンを組みました。
購入直後から深センの不動産価格が下落し始め、また、(コロナの終息に伴い)ライブコマース業界の成長が鈍化しました。
2024年には、ユーさんの収入が激減した揚げ句に、リストラされてしまいました。
リストラされた後、再就職を目指し、何百通もの履歴書を送りましたが、新しい就職先は見つからなかったといいます。
2025年4月、マンションを約3500万円で売却しようとしますが買い手がつかず、ローン返済ができない状態になりました。
2カ月後の2025年6月、ローンの支払いを止め、家財道具をすべて売り払い、現在は実家に戻って、畑仕事をしているということです。
「何もなくなってしまったが、失うものはもうない」と清々しい気持ちだということです。
中国の住宅価格について、ゴールドマンサックスの報告書では、
▼住宅価格を含む指標は、ピークだった2020年〜2021年より50〜80%下落している。
▼住宅価格は、全国的に2027年まで底を打たない可能性があり、今後さらに10%下落する可能性があると伝えています。
中国の家計資産に占める住宅の割合は6〜8割で、先進国と比べ高いので、住宅価格の下落は、家計への影響が大きいことがわかります。
「不動産は『買えば値上がりする』と信じられていた。それが価格の下落で資産が目減りする『逆資産効果』が起き、ライフプランが狂った状態になっている。だから人々は、財布のひもを固くしている」
■中国で強まるデフレ 各所で“激安”原料高でも値上げできず
北京市内では激安が人気となっています。
北京市内のスーパーですが、水520mlが約35円(1.5元)で売られるなど割引商品が多数並んでいます。
また、レストランでは朝食が約70円(3元)で食べ放題となっています。
激安カットも登場しています。
こちらのお店では約230円(10元)で散髪をしてくれます。
この安さでも月に約46万円(2万元)の利益を生んでいるといいます。
原料高でも値上げできない現状もあります。
プラスチックの原料や製品で、中国は世界シェアの3割以上を占めています。
プラスチック製の家具などを扱う店舗では、イスなどの商品は自社工場で生産していますが、3月上旬以降、原料が3割値上がりしました。
しかし、他店との競争もあり値上げができないと言います。
「値上げしなければ利益が出ないが、値上げをすれば売れなくなる。今は利益がほとんど出ていない。持ちこたえられるのはあと2カ月ほどではないか」
「企業は原料が高騰しても値上げできない板挟みの状態。このままだと企業がマイナスを吸収しきれず、景気が後退しているのに物価が上がるスタグフレーションを起こす危険も」
■米中首脳会談へ 経済面の思惑 両国の狙いは?
米中首脳会談が間近に迫っています。
5月14日、北京市内で米中首脳会談が行われる予定です。
現職のアメリカ大統領が訪中するのは、2017年11月の第1次トランプ政権以来となっています。
米中首脳会談の議題です。
対中貿易赤字などの貿易問題、イラン情勢、台湾問題などが話し合われるとみられています。
アメリカ側の狙いです。
会談では大豆などの農産物やボーイング製航空機の購入拡大を目指すとみられています。
これは支持基盤である農家への配慮を見せるほか雇用創出をアピールし、中間選挙への成果とする狙いがあります。
中国側の狙いです。
台湾独立への「反対」をトランプ大統領に明言するよう働きかけるのではないかと言われています。
また、アメリカの台湾への武器売却について強くけん制するとみられています。
イラン情勢がカギとなります。
トランプ大統領は戦闘の終結や安定した航行の実現に向け、イランと友好関係にある中国に影響力を行使するよう促しています。
一方、習近平国家主席はこのイラン情勢を交渉カードとして利用するのではないかと言われています。
「アメリカは中間選挙に向けた実績のアピール、中国は今回の会談で貿易問題を解決し、国内の不景気を少しでも緩和したいのが本音なのでは」と指摘します。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年5月12日放送分より)













