アメリカのトランプ大統領が戦闘再開を検討していると報じられるなか、イラン側も強硬な姿勢をみせています。
アメリカのイラン攻撃の背景には『中国封じ』があるといいます。
米中の『エネルギー覇権争い』についてみていきます。
■米中首脳会談 イラン産原油めぐり『中国制裁』も議題に
米中首脳会談は5月14日、北京で予定されています。
会談ではエネルギー分野が話し合われ、アメリカ政府の高官によると、
「イラン産原油の購入をめぐる中国に対する制裁なども議題に」なるということです。
「中国の銀行にイラン資金の流入が確認されれば制裁対象にする」と銀行への制裁も警告しています。
これに対し中国は、
政府は一貫して国連の承認や国際法の根拠を欠く一方的な制裁に反対している、
アメリカの制裁について、「認めても従ってもならない」としています。
■アメリカのイラン・ベネズエラ攻撃 背景に『中国封じ』!?
2026年に入ってアメリカが行った2つの攻撃の背景について見ていきます。
1月、アメリカはベネズエラに大規模攻撃を行い、マドゥロ大統領を拘束しました。
「ベネズエラ産の石油販売はアメリカが主導する」としました。
ベネズエラ産原油は、埋蔵量は世界一で、総輸出量の8割が中国に輸出されています。
アメリカによるベネズエラ攻撃を受け、中国の国有石油会社大手のペトロチャイナは自社のトレーダーに対し、ベネズエラ産原油の購入や取引を行わないように指示。
一方で、アメリカの石油会社大手シェブロンのベネズエラ産原油の輸入量は、2025年の12月が9万9000バレルだったのに対し、2026年1月は22万バレルとなり、ベネズエラ産原油は、中国に代わってアメリカが主要輸出先になったことを示しています。
2月には、アメリカ・イスラエルがイランに対し大規模攻撃を行い、最高指導者のハメネイ師を殺害しました。
「正直に言うと、一番やりたいことはイランの石油を奪うことだ」と話しました。
イラン産の原油は、総輸出量の9割が中国に輸出されています。
イラン産原油への関心の背景には、イランのエネルギー資源をアメリカの影響下に取り込むことで、中国の習近平国家主席に対する交渉力を高める思惑があると指摘されています。
「ベネズエラと中東でのアメリカの作戦により、中国の影響力が低下した」と見ています。
■トランプ氏 誤算?イラン攻撃 人民元の国際化を後押しか
一方でアメリカのイラン攻撃が中国を後押ししている側面もあります。
まずは、基軸通貨をめぐる争いです。
『イラン戦争は『ペトロダラー』支配の弱体化と『ペトロ人民元』の始まりを象徴する重要な契機として記憶される可能性がある』と分析しています。
現在はペトロダラー体制で、原油取引をアメリカドルで行っています。
これによりオイルマネーを掌握し、アメリカ経済の強さの一因となっています。
ペトロ人民元が広がると、アメリカ経済の強さが揺らぐことに繋がります。
「イランを攻撃したのはトランプ大統領の決定。その決定がUAEを破壊的な紛争に引き込んだ。UAEがドル不足に陥った場合、石油の取引に人民元などを使用せざるを得なくなる可能性がある」としています。
中東最大の産油国サウジアラビでは、中国との石油取引における人民元決済の割合が41%になり、月間データとして初めてドル決済を上回りました。
「エネルギー取引で人民元決済が進めば『ペトロダラー』体制にひびが入りかねない。アメリカは中国の動きに神経をとがらせている」ということです。
ASEAN諸国にも動きがあります。
2025年の中国の輸出量です。
関税や戦争の影響で、対アメリカは20%ダウンした一方、対アフリカは25.8%、対東南アジアは13.4%、対EUは8.4%アップし、過去最高となる、約1兆2000億ドルの貿易黒字となりました。
『かつては中国に好意的でなかった多くの国々が、今は中国に軸足を移しつつある。
アメリカに対する取引が困難になればなるほど、中国にとってチャンスが広がるからだ』
シンガポールのシンクタンクによる、ASEANの政府当局者や学者ら有識者への調査です。
アメリカと中国のうち、ASEANがいずれかと同盟を組むことを余儀なくされた場合、
「中国を選ぶ」と答えた割合は52%、
「アメリカを選ぶ」は48%と、
2026年に入り、中国が逆転しました。
■原油高で再エネ需要増 アメリカ同盟国も中国にシフト
イラン戦争による原油高を受けて、アメリカの同盟国が中国との関係を深めています。
「イラン戦争が世界の再生可能エネルギー移行を急加速させている」と発言しました。
中国はイラン戦争以前から再生可能エネルギーへの転換を進めており、2025年の発電能力の割合は、火力が36.7%、太陽光が30.9%、風力が16.5%、水力が11.5%、再生可能エネルギーが約6割で、太陽光発電は2025年までの5年間で約4倍に増加しています。
中国は再生可能エネルギー技術の輸出を拡大させています。
2024年の輸出額をみると、アメリカの化石燃料の輸出は約22兆8000億円、
中国の太陽光パネルや電気自動車(EV)などの再生可能エネルギー技術の輸出は約27兆3600億円で、米国の化石燃料の輸出額を上回りました。
イラン情勢を背景に、中国産のEVなどの新エネルギー車の4月の輸出台数は40.6万台に上り、前の年の同じ月と比べて約2倍以上に増えています。
「原油価格の高騰は今後も新エネ産業の輸出を後押しし続ける」としています。
フィリピンでは、イラン戦争以降、EV需要が急増していて、マニラにある中国のEV大手メーカー、BYD(ビーワイディー)の店舗には2週間で1カ月分の受注が入りました。
カナダは、トランプ関税に苦慮する国内の自動車製造業において、中国からの投資を目指しています。
中国のEVメーカーと提携し共同開発に向け、協議を進めています。
一方、アメリカです。
トランプ大統領は1月の2期目の就任式で、「掘って、掘って、掘りまくれ」と呼びかけ、化石燃料の増産によりエネルギー価格の引き下げや電力網の安定化をはかっています。
バイデン政権が進めていた風力発電や太陽光発電などへの補助金を、エネルギー供給不安の要因だとして削減しました。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年5月13日放送分より)

















