14日に中国の習近平国家主席と会談するアメリカのトランプ大統領が、日本時間13日午後9時ごろ、北京空港に到着。青年たちの一糸乱れぬ旗振りで、歓迎を受けました。
出発前のトランプ大統領。口から出たのは自信でした。
「習氏は友人だ。仲良くやれる相手だ。良いことがたくさん起きるはずだ。ワクワクするような旅になるだろう。(Q.習主席はイランに介入すべきか)そうは思わない。イラン問題では、誰の助けも必要ない」
去年10月の首脳会談とは、状況が全く異なります。
前回の主要議題は、関税でした。両国の追加関税の応酬が激化し、中国がレアアース規制という禁じ手に出たからです。
緊張緩和を模索した結果、規制は一時停止という形で収まりましたが、その後も米中は関税をめぐる貿易合意に至っていません。いまだ“休戦状態”にあるというのが、両国の現状です。
“イラン情勢”“経済関係”議論か
そこに加わったイラン情勢の混迷。
アメリカで行われた世論調査では、ガソリン価格の上昇で、家計が打撃を受けたと答える人が6割を超えました。戦闘が長引くほど、政権に対する恨みが蓄積されていきます。
半年後に中間選挙が迫るなか、訪中でトランプ大統領が狙っているものは何なのでしょうか。
随行する企業トップの顔ぶれから見えてくるものがあります。
随行するのは、一度はけんか別れしたイーロン・マスク氏や、アップル社のティム・クック氏をはじめ、世界最大級の農産物商社のトップ、ボーイング社のCEOなど、17の大企業の面々です。
「トランプ氏の最優先は経済関係です。中国企業と多くのディールを発表したい。同行する大企業のCEOらは、ボーイング機や大豆などの農産物の取引を発表することになるでしょう。トランプ氏は、そこを優先するはずです」
アメリカ産の農作物や牛肉、航空機、先端技術における中国市場の拡大をとりつけ、訪中の成果とすることが予想されています。
“国賓以上の待遇”で歓待
一方、中国が狙うものの一つは、関係修復のアピールです。
14日、トランプ大統領が訪問することになっている世界遺産『天壇公園』は、明・清時代の皇帝の力を象徴する建造物。米中国交正常化の礎を築いたキッシンジャー元国務長官が、何度も訪れた地であり、米中友好の象徴でもあります。ここにトランプ大統領を招くことは、“国賓以上”の待遇の証だともいわれています。
注目の“台湾問題”
しかし、盛大な歓待の裏で、中国には別の狙いも。前回の首脳会談では、公式には議題にされなかった台湾問題です。
「中国の思惑ですが、台湾は“最優先事項”で、台湾独立への不支持や、武器輸出を遅らせるなどの成果を引き出せれば、御の字と考えています。エネルギー支援をめぐって、揺さぶりをかけているフィリピンを含む、南シナ海の問題も話し合われる可能性があります。今年は、4回、首脳会談があるともいわれていて、中国は焦っておらず、少しずつ、自らに有利な国際環境を構築することを狙っている」
台湾をめぐっては、半年前から注目されていたアメリカ側のある動きもあります。
去年12月、トランプ政権が決定した台湾への過去最大規模の武器売却です。これに中国は猛反発しました。
今回、トランプ大統領は、この武器売却を交渉材料にする可能性を示唆しています。
「(Q.台湾への武器売却は継続すべか)習主席と話し合うつもりだ。武器売却は歓迎しないだろうが、触れるつもりだ」
歴代のアメリカ政権は、40年以上前に、台湾と決めた約束に従い「武器売却を中国とは協議しない」との立場を守ってきました。この慣習が破られることで、アメリカが何を得るかはわかりません。ただ、専門家からはこんな懸念の声があがります。
「首脳会談は不安です。アメリカ側は、安定を強く望み、“超短期的な取引”に注力するでしょう。中国側も安定は望みつつ、“長期的な譲歩”を引き出そうとする。短期的な約束と引き換えに、アメリカから長期的な譲歩を引き出す。そうなれば、まずいことになります」
◆トランプ大統領が約8年半ぶりに中国を訪れての首脳会談となります。台湾では、どのように受け止められているのでしょうか。台北で取材している尾崎文康記者に聞きます。
「台湾メディアは、この会談を非常に注目しています。主要な新聞などは、1面に大きなスペースを割いて、この会談について報じています。特に、アメリカによる武器売却の行方がどうなるかというのが、非常に関心が高く、きめ細かく分析して書き込んでいる状況です。一方で、一般の人々の関心ですが、恐らく関心が高いのではないかと思って取材したのですが、意外だったのは、皆さん、非常に冷静で、関心はさほど高いとまでは言えない印象でした。なかには『1回の首脳会談で、大きく状況が変わるものではない』『また台湾は米中の取引の“駒”にされてしまう』といった冷めた見方もかなり目立ちました。台湾の人々は、この複雑な状況に、長い年月にわたって置かれています。外部からは、こういう政治イベントで『どう考えているのか』と見るのですが、当事者の方は、意外に冷静で、状況を沈着に見ているといった印象です。また、皆さんの話を聞きますと、『とにかく現状維持。いまの暮らし、生活を維持するのが一番の希望です』とおっしゃっていたのも非常に印象に残りました」
Q.トランプ政権に対して、台湾の人たちは、どのような印象を持っているのでしょうか。
「トランプ大統領の印象を尋ねたところ、『しょっちゅう言うことが変わる人』『結局は、アメリカの利益優先で、何か危機が起きたときに台湾を助けてくれるとは限らない』とか、懐疑的な声が多かったように思います。台湾の人々は、いま、米中にどういう態度を取るか。これをめぐって、大きく揺れていると感じました。一番、守りたいのは、普段の生活、暮らしで、家族や仕事を守りたい。そのためには、米中にどう向き合うのが、一番、得策なのか、皆さんが慎重に見極めているような雰囲気を感じました。台湾では、中国本土から距離を置く与党と、もっと融和的に交流しようという野党が、激しく対立しています。いま、人々の話を聞いても、若い20代も含めて、『ちゃんと中国本土と対話してほしい』という声が、非常に大きく聞かれました。もしかしたら、これは、トランプ政権に対する疑念の裏返しなのかもしれません」
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