アメリカと中国の首脳会談は2日間の日程が終了し、トランプ大統領は米中の貿易協定などで成果を強調しました。一方、今回の会談で注目された1つが、米中のAI覇権をめぐる攻防です。その現在地とは。
“権力の中枢”習氏自ら案内
訪中最終日。トランプ大統領が案内されたのは、紫禁城の西側にある中南海。13世紀ごろに作られた皇帝の宮殿になります。
「あそこの木は樹齢400年以上です」
「そんな長生きなの。これほど美しいバラは見たことがない。ホワイトハウス用に何本かお願いしたら、習主席はイエスと言ってくれた。こんな大きなバラは初めて見た」
権力の中枢で誰でも入れる場所ではありません。
「他の国家元首もここに案内するのか」
「非常にまれです。ここで外交行事はしません。やるようになってからもまれです。例えばプーチン大統領とか」
米中「協力関係」を強調
この貴重な場で何を得たのでしょうか。
「真の友人になった。知り合って11年、もうすぐ12年か」
トランプ大統領が強調したのは、今後は両国で協力もしていくという点です。
「互いにとって素晴らしい貿易取引を結ぶことができた」
習主席も。
「両国はすでに新たな大国関係について合意し、建設的・戦略的な関係です。今回の訪問が道しるべとなるでしょう」
エヌビディアCEO同行の意味
融和を押し出すアメリカと中国。それでも覇権争いの最中であることに変わりはありません。今回の訪中には数多くの民間人も同行していました。その中の1人に注目が集まっています。アメリカの半導体メーカーです。当初の訪中リストに名前はありませんでしたが、トランプ大統領が直前に電話で同行を依頼し、給油地のアラスカで合流するという強行軍でした。
エヌビディアはAI分野における半導体の世界シェアNO.1企業です。そのCEOをわざわざ呼び寄せ同行させた意味とは。
「先端技術の覇権をめぐり、両国間で緊張が明らかに高まっています。そこで彼は援軍として業界の重鎮を同行させた」
中国AIを“最重要国策”に
今、世界で起きているのはAIによる100年に一度のパラダイムシフトです。AIは社会の隅々まで浸透し、軍事などの分野でも今後さらにその重要性が増していきます。中国はそのAI分野の発展を最重要の国策としてきました。
「AIなどの先端技術は若者が取り組むべき事業であり、現代化・強国化・民族の復興という偉業につながっています」
狙うのは中国がルールを決める側になること。
「AIの健全かつ秩序ある安全な発展を共同で推進していく」
AIに不可欠な半導体。その技術は現在、アメリカが抜きん出ています。
「中国・広東省ではAIに関する展示会が開かれています。国内外のバイヤーなど多くの人が来場しています」
「エヌビディア製品とは差がある。特にコストパフォーマンス面ではエヌビディアの方が良い」
ただ、中国はこの数年でAIの導入数が世界一になりました。
「AIは結局、実用化しないといけない。中国には巨大な市場がある」
(Q.エヌビディア製品と国産製品の違いは)
「その質問はセンシティブですね…」
次に狙うのは…。
「取材した中国企業は、政府が力を入れるAI関連産業で国産品の開発スピードが速く、今後アメリカを追い抜く可能性もあると自信をのぞかせます」
一方のアメリカは安泰ではありません。
「アメリカは開発力に優れ、民間投資額でも他国を圧倒しているが、導入では大きく後れをとっています。開発力と普及度は別問題です。アメリカがどの国よりも巨額を投じて開発しても、社会に受け入れられず信頼されなければ、経済効果は期待できません」
2大強国“ルール作り”で合意
AIにおける半導体はエヌビディアが最高峰ですが、最先端の製品の輸出をアメリカ政府は認めていません。軍事転用の危険性が高く、スマホ1つとっても安全保障に深く関わってくるからです。米中ともビジネスはしたくとも、安全保障を考えると慎重にならざるを得ません。
(Q.会談ではH200など高性能チップの話も)
「中国には必要だという話になった。ただ、中国はそれを買わずに独自チップを開発するそうだ。今後、進展があるかもしれない」
ただ、このままだと拡大を続けている中国市場をみすみす逃すことになります。
「中国は指折りの経済大国です。驚愕(きょうがく)の技術革新を生み出している。また、AI分野を牽引する主要国の1つでもある」
AIをめぐる米中の覇権争いは、ここからが始まりです。
「AI分野の2大強国が対話を始めることになる。非国家主体がAIを悪用できないよう、運用方針について中国と共に枠組み作りを始める」
(Q.AI分野でどう協力を)
「中国は各国と共にAIを開放し、広く恵みを与える。両首脳の重要コンセンサスを実行に移していく」
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