トランプ大統領がホルムズ海峡の開放を宣言した一方で、世界では石油の備蓄量が記録的なペースで減少しています。
世界の石油在庫が減少する中、日本への安定供給は可能なのでしょうか。
ホルムズ海峡開放後の懸念についても見ていきます。
■日本 原油調達「7月100%」 も懸念はアメリカ・中国の動き
日本の原油調達の現状についてです。
高市総理は6月11日、
▼6月は、8割程度の代替調達が確保できる
▼7月は、前年比約10割の調達にめどがついた
▼特にアメリカからは、前年比10倍以上が調達できる見通し
▼備蓄の活用により、2028年3月末まで石油の安定供給が可能になった
と話しました。
グラフで表すと、日本は、これまで原油調達の90%以上をホルムズ海峡経由の中東産に依存してきましたが、イランで戦争が始まってからは、ホルムズ海峡を経由しない中東産やアメリカなどからの調達を増やしています。
その結果、7月にはホルムズを経由しない原油の調達率が100%に達する見通しになりました。
特にアメリカからの輸入が大幅に増えました。
日本の石油備蓄量は6月12日時点で、
国家備蓄が106日分、
民間備蓄が90日分、
産油国共同備蓄が3日分、
合わせて199日分です。
各国のガソリン価格の比較です。
3月初旬にイランがホルムズ海峡の封鎖を宣言して以降、ガソリン価格が上昇しています。
フランスは、1リットル約380円、
ドイツは361円、イギリスは約334円、
アメリカは180円と高額な一方で、
日本は国の補助金の効果で169.5円、補助金なしの場合でも206.7円と、他国と比べると安い状況です。
中東産の原油量が減った今、日本を含む世界の供給を支えているのが、アメリカの石油輸出です。
アメリカの5月末の石油輸出量は、日量1360万バレルで過去最高になっています。
イランへの攻撃前から、約2割増えています。
「世界の石油需要の約15%をアメリカが占めている」ということです。
ただ、アメリカの原油生産量はほぼ横ばい。
大幅に増えているわけではなく、製油所の稼働率も、95.3%で、これ以上大きく増やせるわけでもありません。
今、供給を支えているのは、アメリカの戦略石油備蓄の放出です。
戦略石油備蓄とは、戦争や自然災害などに備える国家安全保障上の備蓄です。
現在、約3億4900万バレルと、1983年以来の低水準になっています。
「今後、さらにアメリカの戦略石油備蓄が減ると、アメリカ国内の原油価格が急騰する可能性。そうなると中間選挙への影響が大きく、政治的に『石油輸出停止措置』が取られる可能性がある」
アメリカとイランの合意を受け、原油先物価格にも動きがありました。
WTI原油先物価格の推移ですが、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃前日、2026年2月27日の原油価格は、1バレル67.02ドルでした。
その後、攻撃が始まり、中東情勢が緊迫化していくと価格は上昇。
4月7日には1バレル112.95ドルの値を付け、2022年6月以来の高値となりました。
そして、アメリカとイランとの間で戦闘終結に向けた覚書を交わすことで合意。
ホルムズ海峡が開放に向かうという期待感が高まり、6月15日の取引では一時79ドル台の値を付け、約3カ月ぶりの安値水準となりました。
6月15日午前9時時点で、1バレル80.92ドルとなっています。
日本の原油調達が順調な理由の一つに、中国が原油の輸入量を減らしているという現状があります。
原油の輸入量を減らして、戦略備蓄を活用しているということです。
松尾さんによると、中国の備蓄原油のコストが安く、国際市場が高いため、国際市場での購入を抑えている可能性があるということです。
中国が、再び原油の購入量を増やした場合、世界の需給バランスへの影響が大きくなります。
中国が購入量を増やすことで原油の奪い合いが激しくなり、市場の原油価格が高騰します。
日本は、インドやアルジェリアからナフサを調達していますが、そういった国が原油調達で買い負ける状況が起きると、日本のナフサ調達にも影響が出る可能性があります。
「ホルムズ海峡の再開と中国の輸入再開のタイミングがカギ。中国政府が方針を変えて、大量買いに出たら、世界の需給は一気に崩れる恐れ」
■世界の石油在庫 記録的減少 年末までに50日分に?
現在、世界の石油の在庫は急激に減少しています。
国際エネルギー機関によると、世界の石油の在庫量は、3月から4月にかけて、1日当たり、約400万バレルという記録的なペースで減少しました。
4月末時点の世界の石油在庫量は、約79億バレルで、世界消費量の約80日分です。
またアメリカのエネルギー情報局は、OECD加盟国の石油在庫が年末までに需要の50日分相当の23億バレルを切ると見込んでいます。
また、ホルムズ海峡の封鎖が7月から9月中に解消されたとしても、石油の生産と貿易が、軍事衝突前の水準に戻るのは、2027年の初めまで時間を要するという分析も出ています。
■“ホルムズ海峡開放”でも『機雷の敷設』『設備被害』の懸念
今回のイランとアメリカによる合意でホルムズ海峡の開放にも言及されていますが、 エネルギー供給の正常化には懸念があります。
懸念の1つ目が『機雷の敷設』です。
5月にアメリカの当局者は、 アメリカ軍がホルムズ海峡で少なくとも10個の機雷を確認したと話しています。
また4月にはイランが無計画に機雷を敷設した結果、一部の行方が特定できていないという報道もありました。
「合意はしたが、 機雷の状況が不透明で、安全航行できる状態ではない。もし機雷への接触や爆発があれば、即座に運航停止や再封鎖のリスクもあるため、掃海が最優先」
アメリカとイランの合意を受けて、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアの欧州4カ国の首脳が共同声明を発表し、各国の憲法に従い、商船の安全確保や機雷の除去活動などの防衛任務に関与することを表明しました。
日本時間6月15日の夕方には、高市総理が日本も共同声明に参加すると発表しています。
現時点での日本の自衛隊の派遣の可能性はどうなのでしょうか。
「自衛隊の派遣については、何ら決まっているということはございません」と説明しています。
「派遣には暫定合意ではなく、実態的な停戦が必要。今すぐ派遣ということにはならない」と話しています。
懸念の2つ目が『設備の被害』です。
今回の軍事衝突により、湾岸諸国では、80以上の石油・ガス施設がドローンなどの攻撃を受け、3分の1の施設では、深刻な被害を受けています。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年6月16日放送分より)

















