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2026年8月8日 11:20

【ベネズエラ地震】「支援物資が確実に医療の現場に届く支援を」最大の被災地で日本人医師が見た”地域医療の窮状”

【ベネズエラ地震】「支援物資が確実に医療の現場に届く支援を」最大の被災地で日本人医師が見た”地域医療の窮状”
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 6月24日、南米ベネズエラは、2度にわたりマグニチュード7を超える大きな地震に襲われました。1回目の地震と2回目の地震の間隔はわずか39秒。現地は甚大な被害に見舞われています。

1カ月以上が経過し、ベネズエラ政府は、8月3日現在の死者が6125人、けが人をして病院で手当てをうけた人が6万0992人に達したと発表しました。

首都カラカスの北、約30キロに位置する港湾都市ラ・グアイラは、ベネズエラでも最も被害の大きかった地域のひとつです。ここで、日本政府から派遣された国際緊急援助隊・医療チームが診療活動にあたり、夏川知輝医師は7月27日まで診療責任者を務めていました。大阪市にある総合病院の救急科のセンター長で、災害医療のスペシャリストです。

ベネズエラ最大の被災地ラ・グアイラで診療にあたる夏川知輝医師 JICA提供
ベネズエラ最大の被災地ラ・グアイラで診療にあたる夏川知輝医師 JICA提供

7月半ば、夏川医師ら国際緊急援助隊の2次隊が降り立ったのは、首都カラカスから西に140キロも離れたバレンシア空港でした。宿泊地であるカラカスの空港は地震の影響により閉鎖が続いていました。カラカスを目指しバスに揺られること3時間。

「パンケーキクラッシュの被災建物」夏川医師撮影
「パンケーキクラッシュの被災建物」 夏川医師撮影

 夏川医師の目に飛び込んできたのは、上階が下階を押し潰す「パンケーキクラッシュ」を起こした倒壊現場でした。埋もれたままの家族が見つかることを祈って、住民は瓦礫を手作業で除去するものの、重機が少なく、救助活動は進んでいませんでした。

 港湾施設には遺体安置所があり、身元確認を待つ人々が絶えません。

フットサルコートに建てられた診療用テント 夏川医師撮影
フットサルコートに建てられたテントが診療活動の拠点 夏川医師撮影
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地震から1カ月が経っても現地の病院が再開する目途は立っていません。

日本から派遣された国際緊急援助隊の診療活動の拠点は、海辺のフットサルコートに建てられたテントです。幼い子どもから高齢者まで1日あたり約100人の患者を受け入れたといいます。夏川医師は、宿泊地のカラカスから診療所まで、普段なら車で40分の道のりを、倍以上の1時間半をかけて毎日通いました。

 訪れる患者は、震災後に医療的ケアを受けられない被災者が大半を占めます。地震時に負傷し、疼痛が続いたまま放置されてきた骨折の患者や、産科的フォローが途切れたままの妊婦など。そして、マラリアや、デング熱など、過密な避難生活の中で罹患した熱帯感染症が広がっています。

 夏川医師は、「地域医療システムが機能不全に陥っている中で、こうした『取り残された傷病』をいかに拾い上げるかが、現段階の最大の課題」だといいます。

日本から持ち込んだ医療機器で診療する夏川医師 JICA提供
日本から持ち込んだ医療機器で診療する夏川医師 JICA提供

元々、経済状態が悪かったベネズエラでは、検査機材が足りていなかったうえ、地震によりレントゲンやエコーなどの検査機器が被害を受けました。また、マラリアなどの感染症の検査キットも手に入りづらくなっていて、“医療従事者はいても、検査や治療に大きな制限”が生じているのです。

 さらに、

 中南米を中心に活動するアメリカの人権団体は、被災直後から「軍や治安部隊、政府高官らが、国内外から届いた水、食料、医薬品、救助用資機材などの支援物資を留置・横流ししているという深刻な告発が繰り返されている」と指摘しています。

 夏川医師もベネズエラの医療関係者から「地震後、各国からの支援物資は病院や患者には届かず、闇市場に流れている恐れがある。支援物資が必要なところに届いていない可能性が高い。病院も壊れた機材を直す資金はない』と厳しい事情を打ち明けられました。

被災地で診察にあたる夏川医師 JICA提供
被災地で診察にあたる夏川医師 JICA提供

暗い表情で診察室にきた女性―

 そんな中、背中の痛みを訴える女性が夏川医師の診療室を訪れました。女性は暗い表情で「孫娘と娘が地震で亡くなってしまい、悲しくて眠れない」とぽつりぽつり話し始めたそうです。話を聞きながら女性と、通訳、夏川医師は3人で涙ぐみました。つらい気持ちを打ち明け、少し前向きになった様子の女性は、夏川医師たちの今後の人生が幸せでありますようにと神に祈り帰っていきました。

 身も心も傷ついた患者が適切に医療を受けられるよう、「医薬品などの支援物資が確実に現場に届く支援」こそが、今のベネズエラには必要だと夏川医師は訴えています。

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