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2026年8月7日 07:00

カギは“情報公開の徹底” 世界初 核のごみ最終処分場オンカロ稼働へ フィンランド

カギは“情報公開の徹底” 世界初 核のごみ最終処分場オンカロ稼働へ フィンランド
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 北欧フィンランドの原子力規制当局は4日、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場「オンカロ」について、「安全要件は満たされている」との声明を発表しました。今後、秋にも政府が運転許可の判断を下す見通しです。世界初の操業に向けて大きく前進したオンカロとはどのような施設なのか、地元住民はなぜ処分計画を受け入れたのか―。現地を訪れると、いまだ処分地すら決まらない日本が参考にし得る“信頼”が形成されていました。
(ロンドン支局・立田祥久)

エレベーターで地下433mへ…広がる静寂空間

 オンカロがあるのはフィンランド南西部の町エウラヨキ。町の中心部を抜けて辺りに針葉樹が茂る道を車で15分ほど走ると、真新しい外壁の建物が現れます。この地下でオンカロを運営するポシバ社が5月、ANNの取材に応じました。

オンカロのエレベーター。数字は地下までの距離を表している

 「79」、「173」、「283」……エレベーターに不規則に並ぶ数字。一番下の「433」のボタンを押すと、静かに下降が始まりました。気圧の変化で耳の奥に違和感を覚えます。1分ほどで到着した先は、文字通り地下433mの空間。東京タワーを逆さにしてもまだ届かない深さです。

地下433mの入り組んだ道を進む車窓

 さらに専用の車に乗り換え、迷路のように入り組んだ道を進みます。たどり着いた先で車を降りるとひんやりした空気に包まれました。地上の気温は20℃でしたが、ここでは年間を通して10℃前後に保たれているといいます。我々の足音だけが響く静寂な通路。そこから伸びる長さ約300mの坑道が、実際に核のごみを埋めることになる場所です。19億年前に形成された花こう岩がむき出しになっていました。

19億年前の岩盤がむき出しになった坑道
花こう岩の硬い岩盤。地下水で濡れていて冷たい
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安全なレベルになるのは「10万年後」

 オンカロとは「洞窟」や「隠れ家」を意味するフィンランド語。硬い岩盤や地震の少なさから、最終処分に適した場所とされています。

坑道に数メートル間隔で穴を掘る/ポシバ社作成のCG
丸く削られた部分に金属製容器を埋める

 フィンランドでも原発が活用されています。そこから出た強い放射線を放つ使用済み核燃料を金属製の容器に閉じ込め、坑道に数メートル間隔で空けた穴に埋めていきます。放射能が安全なレベルに下がるのを待ちますが、かかる時間は“10万年”です。

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住民の信頼カギは「徹底した情報公開」

 核のごみが足もとで眠り続けるというのは、住民にとって迷惑施設のはず。しかし町で出会った30代の男性は「申し分のない設計だと思います。耐用年数が極めて長く、安全対策も万全です」と話し、オンカロの運転を支持していました。ほかの町民からも批判的な声はほとんど聞かれません。その最大の理由が、事業者の徹底した情報公開です。

オンカロの受け入れを決めたエウラヨキ町議会/2000年

 そもそも、受け入れを決めた2000年のエウラヨキ町議会での採決は賛成20と反対7で、必ずしも誰もが肯定的というわけではありませんでした。事業者の一つ電力会社「TVO」のボールダリエル社長によりますと、事業者はオンカロの建設が決まってからも20年以上、定期的に住民説明会を開催したり、各家庭に刊行物を配布したりと、地元への丁寧な説明を続けてきたといいます。
 「フィンランドは(核のごみ最終処分の)問題解決の可能性を示しました。ただ、それには時間や徹底した努力が必要です。技術研究だけでなく、対話や信頼も不可欠です」

ポシバ社に出資する電力会社「TVO」のボールダリエル社長

 実は、エウラヨキには1970年代から原発があります。これまでに大きな事故は起きておらず、どんなに小さなトラブルでも事細かに情報を開示してきました。そのことも町民がオンカロに抱く信頼感につながっています。
 エウラヨキ町議会の元議長は「説明会に来る人も昔ほどいなくなり、安全性への不安はなくなったようです。“透明性”が信頼の要です」 と語ります。

エウラヨキには1970年代から原発がある。大きな事故は起きていない

“核のごみ”問題 日本では処分地選定で難航

 日本では原発の稼働から60年が過ぎても、核のごみの行き先が決まっていません。これまでにいくつかの自治体が調査に手を挙げてきましたが、住民の理解を得られず頓挫したケースもあります。処分地を決める第一段階となる「文献調査」を終えた北海道の寿都町では、賛成派と反対派で町が二分。アンケート調査では、7割の人が「人間関係が悪化した」と答えています。
 そうしたなか国が主導する形で今年、小笠原村の南鳥島で文献調査の実施が決まりました。渋谷村長は国やNUMO(原子力発電環境整備機構)に対し住民への丁寧な説明を求めています。

「文献調査」の実施が決まった南鳥島
「文献調査」の実施が決まった南鳥島

フィンランド以上の信頼を築けるか

 今、日本にある核のごみは1万4000トン相当。電力需要を背景に原発の稼働が今後も増えていけば、核のごみはさらに生まれ続けることになります。「トイレなきマンション」とも揶揄される原発運用の現状をどうすれば打開できるのか―。原発事故の影響が今なお続く日本では、処分地選定に際して住民との間でフィンランド以上の信頼を築き上げることが求められます。

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