アメリカ国務省の報道担当者はICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長らを制裁対象に指定したことを巡り、「日本政府に向けたものではない」とコメントしました。
米国務省「日本政府に向けたものではない」
アメリカのトランプ政権は8月18日、戦争犯罪などを裁くICCについて「腐敗し、悪意を持って権限を乱用している」などとし、ICCのトップを務める赤根智子所長らを制裁対象にすると発表しました。
今回の措置を巡り、アメリカ国務省の報道担当者はANNの取材に対して「ICCの行為への対処が目的であり、日本政府に向けたものではない」とコメントしました。
一方、日本を含む同盟国に対して「アメリカの主権にとって脅威であるICCへの支援を打ち切ることを期待している」と強調しました。
また、「日米同盟はインド太平洋地域の平和と安定、自由の礎であり、我々にとってこれほど重要なパートナーは他にない」としています。
トランプ政権はICCがアメリカ兵の戦争犯罪を捜査したことなどを巡り、ICCに反発して圧力を強めています。(8月20日配信)
【全文】ICCが声明発表「いかなる圧力にも屈しない」
ICC(国際刑事裁判所)は8月19日、アメリカのトランプ政権が赤根智子所長ら2人を制裁対象に指定したことについて「いかなる圧力にも屈しない」とする声明文を発表しました。
これらの制裁は、世界各地の締約国から委任された任務を遂行する公正かつ独立した司法機関に対する明白な攻撃です。
今回の指定により、ICCの裁判官18人中9人、副検察官2人、元検察官1人、及び事務局職員1人が現在アメリカ政府の制裁対象となっています。
締約国から託された任務の遂行に尽力する裁判官、検察官、職員を標的とするこれらの措置は、「法の支配」に反するものです。
法を適用したという理由で司法関係者が脅かされるならば、国際法秩序そのものが危険に晒されます。
こうした圧力や強制措置は、あらゆる救済手段がなくなった末に国際刑事裁判所を頼る被害者たちが、正当な裁きを受ける機会をも脅かすことになります。
これまでも表明してきた通り、国際刑事裁判所が圧力に屈することはありません。職員および筆舌に尽くしがたい暴虐の被害者に対し、揺るぎない支援を提供し続けます。
ローマ規程を厳格に遵守し、国際犯罪の被害者の利益のため、偏りなく完全に独立した形で今後も任務を完遂し続けてまいります。
ICCは、締約国、市民社会、そして「法の支配」と国際犯罪の被害者のための正義を支持するすべての方々から寄せられた連帯の表明に深く感謝いたします。
国際刑事裁判所は、すべてのパートナーや締約国からの力強い支援のもと、今後も実効的かつ独立して任務を果たせるよう、その使命を全うしてまいります。
(8月19日配信)
高市総理「大変残念」
「ICCの赤根所長の件につきましては先ほど外務省から談話を発表したところでございますが、大変、残念に思っております。これからも米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応して参ります」
高市総理は報道陣の取材に応じ、「大変、残念に思っている」と述べたうえで、「米国を含む関係国と意思疎通を継続する」としました。
これに先立ち、外務省は報道官談話で「我が国は常設の国際刑事法廷であるICCを一貫して支持してきている」「今回の措置は大変、残念だ」と表明しています。(8月19日配信)
自民・中谷氏ら緊急非難声明 総理大臣が即時抗議を
アメリカ政府がICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長らを制裁対象に指定したことを受け、自民党の中谷前防衛大臣は高市総理大臣の名前で抗議と即時撤回を表明するよう日本政府に求めました。
「日本が送り出した裁判官がその覚悟で職務にあたる時に政府の取るべき態度は明らかでありまして、日米同盟の堅持と法の支配の擁護、これは二者択一ではありません」
自民党の中谷前防衛大臣と国民民主党の舟山参議院議員会長が共同代表を務める超党派の人権外交議員連盟は、アメリカ大統領令による制裁措置に対する「緊急非難声明」を発表しました。
声明では、日本政府に対して高市総理大臣や茂木外務大臣の名前で即時抗議を行い、ICCへのゆるぎない支持と協力を宣明するように求めています。
また、アメリカ政府に対して直接、措置の撤回を強く申し入れることも要請しました。
「法の支配への攻撃に沈黙する(日米)同盟は、いずれその基盤である価値を失う」と強調し、毅然(きぜん)と対応するように求めています。
8月24日にも議連の総会を開き、政府に直接、声明を手交する方針です。
一方、自民党幹部の1人は「高市総理が直接コメントするのは得策ではないだろう」と話しています。(8月19日配信)
政府 日米外相会談を模索 外務報道官談話「大変残念」
アメリカ政府がICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長らを制裁対象に指定したことを受け、日本政府が日米外相会談を模索していることが分かりました。
アメリカのトランプ政権はICCの赤根智子所長ら2人を制裁対象に指定しました。
政府関係者によりますと、これを受けて政府は茂木外務大臣とルビオ国務長官の電話会談を模索しているということです。
外務省幹部は「日本はこれまでも赤根さんを支えてきたし、その立場は変わらない」と話していて、電話会談が実現すればこうした方針を伝え、アメリカ側に制裁の対象としないよう求めるとみられます。
また、政府は外務報道官談話を発表し、「我が国は常設の国際刑事法廷であるICCを一貫して支持してきている」「今回の措置は大変、残念だ」としています。(8月19日配信)
ICC赤根所長ら2人に制裁 米ルビオ国務長官「権限を乱用」
アメリカのトランプ政権は、戦争犯罪などを裁くICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長ら2人を制裁対象に指定しました。
アメリカのルビオ国務長官は8月18日、ICCについて「腐敗し、悪意を持って権限を乱用している」として、トップの赤根智子所長ら2人を制裁対象にすると発表しました。
2人がアメリカで保有する資産は凍結され、金融システムから事実上、遮断されます。
ルビオ氏は「必要に応じて追加の措置を講じ、ICCを解体する用意がある」と牽制しました。
トランプ政権は、ICCがイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことや、アメリカ兵の戦争犯罪を捜査したことなどに反発し、圧力を強めてきました。
ICCは声明で「国際法秩序が危険にさらされる」と非難しています。(8月19日配信)
米国防長官が国際刑事裁判所の脱退を呼び掛け
アメリカのヘグセス国防長官は麻薬対策を話し合う国際会議で、ICC(国際刑事裁判所)の活動を批判し、各国に脱退を呼び掛けました。
「はっきり言って、ICCが世界のあらゆる場所で、機会があれば行おうとする法的裏付けのない権力奪取には正当な根拠など一切ない」
ヘグセス国防長官は8月12日、中南米の麻薬カルテル対策を話し合う会議に出席し、ICCの活動について「正当な根拠がない」と批判しました。
そのうえで、各国に対してICCを脱退し、主権を奪おうとするICCの試みを拒否するよう促しました。
アメリカはカリブ海などで麻薬密輸船とされる船舶への軍事攻撃をしていますが、国際法違反だと非難の声が出ていて、ICCがアメリカを捜査の対象にすることを警戒しています。(8月13日配信)
ICC主任検察官を懲戒免職
ICC(国際刑事裁判所)のカーン主任検察官が、女性職員への性加害の疑いで懲戒免職となりました。ICCの捜査を担う検察局トップが免職となるのは初めてです。
カーン氏はイギリス出身で、ICCの主任検察官を2021年から務めていました。
ウクライナ侵攻を巡るロシアのプーチン大統領や、ガザ情勢を巡るイスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状請求を主導し、戦争犯罪追及の顔として活動してきました。
しかし、おととし、職場での立場を利用して女性職員の体を触ったり、同意のない性的関係を求めたりした疑いが浮上し、去年5月から自主的に職務を停止していました。
カーン氏は疑惑を全面的に否定しています。
24日にニューヨークの国連本部で開かれた締約国会議の特別会合では、加盟する125カ国・地域のうち82カ国がカーン氏の解任に賛成し、重大な不当行為があったとして懲戒免職の決定を下しました。(7月25日配信)
米国務長官 ICC解体のキャンペーンを開始
「ICCは弾丸やミサイルではなく法令や条約、国際法で米国に戦争を仕掛けている」
ルビオ国務長官は7月13日、ビデオメッセージを公開し、「ICCはアメリカの主権を脅かしている」と説明し、ICCを解体するキャンペーンを始めたと明らかにしました。
アメリカはICCには加盟していませんが、加盟国に脱退を促すとともに、ICC関係者への制裁強化やビザ発給停止などを検討しているということです。
国連の広報官は会見で、ICCと国連は別の組織だと断ったうえで、「ICCは重大な犯罪を追及する国際司法制度の重要な歯車の一つで、多くの加盟国に支えられている」と答えています。(7月14日配信)