アメリカのトランプ政権によって制裁対象に指定されたICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長が会見し、「ICCは決して負けない」と強調しました。
これまでの経緯をまとめています。
茂木外務大臣がICC赤根所長と電話会談
茂木外務大臣はアメリカ政府から制裁対象にされているICC=国際刑事裁判所の赤根智子所長と電話で会談し、現在の状況について意見交換しました。
会談は28日午後5時からおよそ20分間行われました。
茂木大臣は会談に先立ち行われた記者会見で、赤根所長に対するアメリカの制裁について「日本の立場とは相いれない」と強調したうえで「アメリカのICCに対する姿勢は非常に厳しい」「さらなる措置も検討されている」との認識を示していました。
茂木大臣と赤根所長は、現在のICCを巡る状況について意見交換したということです。(8月28日配信)
「赤根所長が直面する危機感共有」木原官房長官
「仮に制裁対象となった場合に備えて、赤根所長が送金に困らないようにアドバイスを行ったうえで、手続きも後押しするなど親身に対応をしてきているところです。赤根所長が直面する深刻な危機感や懸念も共有をしております」
木原長官は、日本はICCを一貫して支持してきたとし、今回のアメリカの措置は「日本の立場と相いれるものではない」と述べました。
そのうえで、国際社会における法の支配を重視する考えに変わりはないとして、関係国と意思疎通しながら取り組みを続ける考えを示しました。
一方、ICCからの脱退を思いとどまるよう各国に働き掛けているかなど、具体的な外交上の対応については明らかにしませんでした。
赤根所長は26日の会見で「ICCは決して負けない」と強調し、日本政府に、ICCと法の支配を守り抜くため最大限努力するよう求めています。(8月27日配信)
「ICCは決して負けません」赤根所長が会見
「ICCは決して負けません。正義は常に、これと対局にあるものに優越する」
赤根智子所長は26日、「日本記者クラブ」のオンライン記者会見で、トランプ政権から制裁対象に指定されたことについて「私には制裁を受けるような理由は全くない」と断言しました。
そして、アメリカがICCの解体を目指していることに対して「ICCは決して負けません」と述べ、今回の制裁によって「一緒に協力しながらやっていくという気持ちがかえって強くなっている」と前向きな姿勢を示しました。
また、赤根所長は日本政府に対して「今後もICCと世界における『法の支配』を守り抜くための最大限の努力をしていただきたい」と求めました。(8月26日配信)
高市総理「弱腰批判はあたらない」と反論
「弱腰とのご批判はあたらないと思っております。米国に対しましては赤根所長を制裁対象にしないよう累次にわたって様々なレベルでギリギリまで働き掛けを続けて参りました」
高市総理は今年1月に赤根所長と面会した際、「最悪の事態を想定しておいた方がいい」と伝えたことを明らかにしました。
制裁対象となった場合に備えて送金などの金融取引に支障が生じないよう支援してきたということです。
そのうえで、日本は法の支配の徹底のためICCを一貫して支持していて、今回の措置は「日本の立場と相いれるものではなく大変、深刻に受け止めている」と述べました。(8月25日配信)
ICC所長への米制裁は「日本立場と相いれず」 茂木大臣
「法の支配の徹底のために常設の国際刑事法廷であります、ICCを一貫して支持をしてきております。今般の措置はこうした我が国の立場と相いれるものではない。このように考えております」
茂木大臣は、これまでアメリカに対して「赤根所長らを経済制裁の対象にしないよう様々なレベルで働き掛けを行ってきた」と述べたうえで、「アメリカのICCに対する姿勢は非常に厳しいものがある」との認識を示しました。
また、外務省の中村和彦国際法局長がオランダを訪問し、赤根所長と面会したと明かし「しっかりと必要な支援をしていく」と強調しました。
アメリカの制裁に対しては19日、高市総理大臣が「大変残念に思う」と述べるにとどめていて、与野党の国会議員から「日本政府の対応は諸外国と比べて弱い」などの批判が出ています。(8月25日配信)
超党派議連が高市政権の対応批判「段違いに弱い」
「高市首相も会見でですね、『大変、残念である』と。『残念』は感想であって、意思ではありません。政府には『残念』ではなくて、『抗議』、『断固支持』という言葉の表明を求めて、本制裁の明確な抗議と即時撤回を求める」
超党派の人権外交議員連盟は24日、「個人制裁を通じて国際司法機関の解体を目指すような手法は到底許されるものではない」などとするアメリカ政府の制裁に対する非難声明をとりまとめました。
また、声明では、日本政府の対応についても「日本が送り出した所長を守り抜く意思を示す言葉もない」と批判し、アメリカへの明確な抗議と制裁の即時撤回などを求めました。
高市総理大臣は19日、外務報道官の談話をなぞる形で「大変残念に思う」と述べるにとどめています。(8月24日配信)
木原長官 赤根所長への米制裁に「必要な支援」
「赤根所長とはですね、これまでにも意思疎通をですね、緊密に行っておりますので、しっかりと必要な支援をしていく考えであります」
木原長官は、制裁によって赤根所長が国内の金融機関の口座やクレジットカードなどを利用できなくなる可能性について、「影響を予断することは差し控える」と述べました。
そのうえで日本は重大な犯罪の処罰や法の支配の徹底のため、「ICCを一貫して支持してきた」と強調しました。
アメリカ政府の対応に高市総理大臣は「大変残念」と述べるにとどめ、正式な抗議はしておらず、野党からは「全く不十分」との批判が出ています。
木原長官は、アメリカへの抗議や制裁解除に向けた働き掛けについては具体的に言及せず、赤根所長と連絡を取り合い、必要な支援を行うとの考えを繰り返しました。(8月24日配信)
ICC赤根所長 国際的な「法の支配」の重要性強調
「日本の皆様の支援が重要な鍵」
ICCの赤根智子所長がコメントで、「法の支配」の重要性を訴えました。
赤根智子所長は21日、アメリカのトランプ政権から制裁対象に指定されたことについて、自身が去年、著書を出版した文芸春秋を通じて、「ある程度予期していたことで驚きはない」とするコメントを発表しました。
さらに、「重要なのは、これを国際的な『法の支配』の終焉(しゅうえん)の始まりとさせないこと」としたうえで、「日本と日本の皆様の支援が重要な鍵となるだろう」と呼び掛けています。
トランプ政権が18日に発表した赤根所長らへの制裁を巡っては、国連のグテーレス事務総長が「深刻な懸念」を示し、EUやオランダ、ドイツなどがICCへの支持を表明しています。
(8月22日配信)
米国務省「日本政府に向けたものではない」
アメリカのトランプ政権は8月18日、戦争犯罪などを裁くICCについて「腐敗し、悪意を持って権限を乱用している」などとし、ICCのトップを務める赤根智子所長らを制裁対象にすると発表しました。
今回の措置を巡り、アメリカ国務省の報道担当者はANNの取材に対して「ICCの行為への対処が目的であり、日本政府に向けたものではない」とコメントしました。
一方、日本を含む同盟国に対して「アメリカの主権にとって脅威であるICCへの支援を打ち切ることを期待している」と強調しました。
また、「日米同盟はインド太平洋地域の平和と安定、自由の礎であり、我々にとってこれほど重要なパートナーは他にない」としています。
トランプ政権はICCがアメリカ兵の戦争犯罪を捜査したことなどを巡り、ICCに反発して圧力を強めています。(8月20日配信)
【全文】ICCが声明発表「いかなる圧力にも屈しない」
ICC(国際刑事裁判所)は8月19日、アメリカのトランプ政権が赤根智子所長ら2人を制裁対象に指定したことについて「いかなる圧力にも屈しない」とする声明文を発表しました。
これらの制裁は、世界各地の締約国から委任された任務を遂行する公正かつ独立した司法機関に対する明白な攻撃です。
今回の指定により、ICCの裁判官18人中9人、副検察官2人、元検察官1人、及び事務局職員1人が現在アメリカ政府の制裁対象となっています。
締約国から託された任務の遂行に尽力する裁判官、検察官、職員を標的とするこれらの措置は、「法の支配」に反するものです。
法を適用したという理由で司法関係者が脅かされるならば、国際法秩序そのものが危険に晒されます。
こうした圧力や強制措置は、あらゆる救済手段がなくなった末に国際刑事裁判所を頼る被害者たちが、正当な裁きを受ける機会をも脅かすことになります。
これまでも表明してきた通り、国際刑事裁判所が圧力に屈することはありません。職員および筆舌に尽くしがたい暴虐の被害者に対し、揺るぎない支援を提供し続けます。
ローマ規程を厳格に遵守し、国際犯罪の被害者の利益のため、偏りなく完全に独立した形で今後も任務を完遂し続けてまいります。
ICCは、締約国、市民社会、そして「法の支配」と国際犯罪の被害者のための正義を支持するすべての方々から寄せられた連帯の表明に深く感謝いたします。
国際刑事裁判所は、すべてのパートナーや締約国からの力強い支援のもと、今後も実効的かつ独立して任務を果たせるよう、その使命を全うしてまいります。
(8月19日配信)
高市総理「大変残念」
「ICCの赤根所長の件につきましては先ほど外務省から談話を発表したところでございますが、大変、残念に思っております。これからも米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応して参ります」
高市総理は報道陣の取材に応じ、「大変、残念に思っている」と述べたうえで、「米国を含む関係国と意思疎通を継続する」としました。
これに先立ち、外務省は報道官談話で「我が国は常設の国際刑事法廷であるICCを一貫して支持してきている」「今回の措置は大変、残念だ」と表明しています。
(8月19日配信)
自民・中谷氏ら緊急非難声明 総理大臣が即時抗議を
アメリカ政府がICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長らを制裁対象に指定したことを受け、自民党の中谷前防衛大臣は高市総理大臣の名前で抗議と即時撤回を表明するよう日本政府に求めました。
「日本が送り出した裁判官がその覚悟で職務にあたる時に政府の取るべき態度は明らかでありまして、日米同盟の堅持と法の支配の擁護、これは二者択一ではありません」
自民党の中谷前防衛大臣と国民民主党の舟山参議院議員会長が共同代表を務める超党派の人権外交議員連盟は、アメリカ大統領令による制裁措置に対する「緊急非難声明」を発表しました。
声明では、日本政府に対して高市総理大臣や茂木外務大臣の名前で即時抗議を行い、ICCへのゆるぎない支持と協力を宣明するように求めています。
また、アメリカ政府に対して直接、措置の撤回を強く申し入れることも要請しました。
「法の支配への攻撃に沈黙する(日米)同盟は、いずれその基盤である価値を失う」と強調し、毅然(きぜん)と対応するように求めています。
8月24日にも議連の総会を開き、政府に直接、声明を手交する方針です。
一方、自民党幹部の1人は「高市総理が直接コメントするのは得策ではないだろう」と話しています。
(8月19日配信)
政府 日米外相会談を模索 外務報道官談話「大変残念」
アメリカ政府がICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長らを制裁対象に指定したことを受け、日本政府が日米外相会談を模索していることが分かりました。
アメリカのトランプ政権はICCの赤根智子所長ら2人を制裁対象に指定しました。
政府関係者によりますと、これを受けて政府は茂木外務大臣とルビオ国務長官の電話会談を模索しているということです。
外務省幹部は「日本はこれまでも赤根さんを支えてきたし、その立場は変わらない」と話していて、電話会談が実現すればこうした方針を伝え、アメリカ側に制裁の対象としないよう求めるとみられます。
また、政府は外務報道官談話を発表し、「我が国は常設の国際刑事法廷であるICCを一貫して支持してきている」「今回の措置は大変、残念だ」としています。
(8月19日配信)
ICC赤根所長ら2人に制裁 米ルビオ国務長官「権限を乱用」
アメリカのトランプ政権は、戦争犯罪などを裁くICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長ら2人を制裁対象に指定しました。
アメリカのルビオ国務長官は8月18日、ICCについて「腐敗し、悪意を持って権限を乱用している」として、トップの赤根智子所長ら2人を制裁対象にすると発表しました。
2人がアメリカで保有する資産は凍結され、金融システムから事実上、遮断されます。
ルビオ氏は「必要に応じて追加の措置を講じ、ICCを解体する用意がある」と牽制しました。
トランプ政権は、ICCがイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出したことや、アメリカ兵の戦争犯罪を捜査したことなどに反発し、圧力を強めてきました。
ICCは声明で「国際法秩序が危険にさらされる」と非難しています。
(8月19日配信)
米国防長官が国際刑事裁判所の脱退を呼び掛け
アメリカのヘグセス国防長官は麻薬対策を話し合う国際会議で、ICC(国際刑事裁判所)の活動を批判し、各国に脱退を呼び掛けました。
「はっきり言って、ICCが世界のあらゆる場所で、機会があれば行おうとする法的裏付けのない権力奪取には正当な根拠など一切ない」
ヘグセス国防長官は8月12日、中南米の麻薬カルテル対策を話し合う会議に出席し、ICCの活動について「正当な根拠がない」と批判しました。
そのうえで、各国に対してICCを脱退し、主権を奪おうとするICCの試みを拒否するよう促しました。
アメリカはカリブ海などで麻薬密輸船とされる船舶への軍事攻撃をしていますが、国際法違反だと非難の声が出ていて、ICCがアメリカを捜査の対象にすることを警戒しています。(8月13日配信)
ICC主任検察官を懲戒免職
ICC(国際刑事裁判所)のカーン主任検察官が、女性職員への性加害の疑いで懲戒免職となりました。ICCの捜査を担う検察局トップが免職となるのは初めてです。
カーン氏はイギリス出身で、ICCの主任検察官を2021年から務めていました。
ウクライナ侵攻を巡るロシアのプーチン大統領や、ガザ情勢を巡るイスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状請求を主導し、戦争犯罪追及の顔として活動してきました。
しかし、おととし、職場での立場を利用して女性職員の体を触ったり、同意のない性的関係を求めたりした疑いが浮上し、去年5月から自主的に職務を停止していました。
カーン氏は疑惑を全面的に否定しています。
24日にニューヨークの国連本部で開かれた締約国会議の特別会合では、加盟する125カ国・地域のうち82カ国がカーン氏の解任に賛成し、重大な不当行為があったとして懲戒免職の決定を下しました。(7月25日配信)
米国務長官 ICC解体のキャンペーンを開始
「ICCは弾丸やミサイルではなく法令や条約、国際法で米国に戦争を仕掛けている」
ルビオ国務長官は7月13日、ビデオメッセージを公開し、「ICCはアメリカの主権を脅かしている」と説明し、ICCを解体するキャンペーンを始めたと明らかにしました。
アメリカはICCには加盟していませんが、加盟国に脱退を促すとともに、ICC関係者への制裁強化やビザ発給停止などを検討しているということです。
国連の広報官は会見で、ICCと国連は別の組織だと断ったうえで、「ICCは重大な犯罪を追及する国際司法制度の重要な歯車の一つで、多くの加盟国に支えられている」と答えています。
(7月14日配信)