いま、西日本を中心に全国でダムが枯渇するなど水不足が懸念されています。
国連の報告書で、地球規模の水破産が警告されています。
世界で深刻になる、水不足の実態について見ていきます。
■“水破産”回復不能の水不足 世界が直面
1月に、国連大学は、『地球規模の“水破産”』という報告書を発表しました。
“水破産”とは、数十年にわたる、過剰利用や汚染、気候変動などの影響で、水システムが回復不能な状態になったことを指します。
報告書の中では、
・1990年代 初頭以降、大規模な湖の半数以上で水量が減少。
・過去50年でEUの面積に匹敵する湿地が消失。
・主要な地下水脈の70%が長期的に地下水位が低下傾向
であることを確認。
「地球規模の“水破産”の時代に入ったことを宣言し、人類にとって最も重要な資源である『水』に対する国際社会の認識を根本的に転換するよう求める」としています。
私たちは1年間でどれだけの水を使っているのでしょうか。
世界の年間の水使用量です。
1930年代に年間1000立方キロメートルだった世界の水の使用量は、2000年には4000立方キロメートルに達しました。
70年間で4倍に増えたことになります。
さらに、2050年には、年間の水の使用量が6000立方キロメートルに達するという予測もあります。
2050年には世界人口は97億人になると予測されていて、そのうちの約半数にあたる50億人が水不足に直面すると言われています。
水不足になる理由です。
・地球の水資源の偏り。
・人間による大量使用と汚染。
・気候変動、温暖化の影響によって、『水資源の偏り』が加速しているため、です。
「水は循環する資源だが、時期と場所によって、ある場所では余り、ない場所では深刻に不足する。水が足りない時期や場所は、これから増えていくと予測されている」
■地下水の過剰利用で巨大陥没 湖が縮小 生活に影響も
いま世界で起きていることです。
トルコ中部です。
トルコ中部コンヤ県は、トルコの『パンかご』とも呼ばれ、農業が盛んな地域です。
ここで巨大な陥没した穴が次々と出現し、2025年末時点で700カ所が確認されました。
確認された陥没した穴は、直径が30メートルを超えるものや、深さが50メートルを超えるものもありました。
場所によっては、1つの畑に10個以上が密集する場所も。
原因は、地下水の過剰利用で、専門家は気候変動による干ばつで陥没した穴の発生頻度は加速している、としています。
『20世紀最大の環境破壊』と呼ばれている場所があります。
カザフスタンとウズベキスタンにまたがる『アラル海』です。
かつては、世界で4番目に大きい湖でした。
衛星画像で見てみると、1989年にはしっかりと水が確認できますが、2018年には、ほとんどなくなっています。
湖は年々縮小し、面積はかつての10分の1にまで減りました。
なぜ、こんなことになったのでしょうか。
ソ連のスターリンが主導し、アラル海の水源となる川から、周辺の砂漠地帯へ水路を引いたことで、湖へ注ぎ込む水の量が激減しました。
住民への影響です。
漁業は衰退し、湖の水量が減ったことで、塩分濃度が上昇。
干上がった場所に塩が残り、植物が育ちにくい土地になっています。
砂漠化が進み、町自体も消滅の危機にあります。
■米コロラド川“水利用制限”上下流の州で明暗 政治的対立に
アメリカでは、政治的な対立にまで発展しています。
アメリカ南西部です。
7州を流れるコロラド川は、総延長2330キロ。
約4000万人の生活を支える『アメリカ南西部の生命線』です。
コロラド川は、水の供給と発電を目的に造られた『パウエル湖』と『ミード湖』という2つのダム湖に水を供給しています。
コロラド川の水量は、気候変動で干ばつが続き、2000年以来、約20%減少しました。
パウエル湖です。
全米第2の規模を誇る人工湖です。
水位は8月15日時点で、約1073メートルで過去最低となっています。
水力発電に必要な水位は、約1064メートルで、残りわずか9メートルで発電ができなくなります。
トランプ政権が、新たな計画を発表しました。
コロラド川の水を利用する7州のうち、上流の4州には大きな負担を求めず、下流の3州には、水の利用量を年間21%削減することを求めました。
なぜ上流4州は負担が少ないのでしょうか。
水ジャーナリストの橋本さんによると、上流4州にはダム湖がなく、ロッキー山脈の雪解け水に直接依存しているため、気候変動で川の水量が減れば、利用可能な水が減っているということです。
連邦政府と7州は、水資源の長期的な配分を巡る協議を続けていますが、合意形成は難航しています。
下流3州だけに削減を求めるような偏った政策は法廷闘争に発展する可能性があるということです。
■日本 西日本中心に渇水 ダムの底がひび割れも 一体なぜ?
日本では西日本を中心に渇水が深刻です。
貯水率が1桁のダムもあります。
岐阜県の御母衣ダムは、水が『底をついた』状態です。
高知県の早明浦ダムは29.2%、
福岡県の日向神ダムは8.7%、
鹿児島県の鶴田ダムは2.1%、
大分県の松原ダムは8.2%、
愛知県の宇連ダムは13.3%です。
岐阜県の御母衣ダムは、2025年7月、水が十分にある状態でしたが、2026年8月21日、水がまったくない状態になってしまいました。
御母衣ダムは貯水量が3700億リットルで、水力発電を目的としたダムです。
「例年の8割に満たない程度の降水量。雪も少なく、水が底をついた。急速な回復も簡単には見込めない」としています。
現在の貯水量です。
最低水位は695メートルです。
8月23日午後8時の時点で695.38メートルです。
農業用水にも影響が出ています。
御母衣ダムの下流のダムから、水を農業利用しています。
渇水で、2割取水制限がかかっています。
「皆が節度を持って節水をしたら、水の取り合いにはならないが、もし上流の農家が節水せずに水を使うと、下流の農家は水が足りなくなり、昔のように水争いなんてことが起きかねないと心配している」
愛知県の宇連ダムでも貯水率が13.3%になっています。
5%の節水を呼び掛けています。
「前回の節水が終了したのが4月末。それから4カ月ももたずに、新たな節水に入ることになった。我々としても期間が短いという気はしております」
「気候の変化で近年は雪の量が少ない。さらに暑さで川やダムからの蒸発量が増えて、渇水が起こりやすくなっている」
■“水破産”解決方法は?海水淡水化の技術 課題も
“水破産”の解決方法について、水ジャーナリストの橋本さんによると、4つの解決方法が挙げられているといいます。
1、農業用水の効率化や作物転換。
2、水利用の監視技術を導入。
3、汚染防止や自然環境の回復。
4、“水破産”に適応した技術。
中東諸国では、海水を利用しています。
UAE=アラブ首長国連邦では、海水を淡水にする施設で、飲料水の90%以上を供給しています。
日本でもこの技術が使われています。
福岡の海水淡水化センターです。
淡水を作る能力は1日5000万リットル。
どんな施設なのでしょうか。
近年たびたび渇水が発生し、河川からの取水には限界があるため、海水淡水化センターを2005年から稼働させています。
水は通すけれども塩分は通さない膜、『半透膜』を使って海水をろ過して淡水にしています。
コストは電気代やメンテナンス代などがかかります。
同じ量の真水を作るのに、浄水場の3倍から4倍程度の金額がかかります。
(「羽鳥慎一モーニングショー」2026年8月24日放送分より)



















