先月27日、オーストリア・ウィーンの美術館から、合計200カラットを超えるダイヤモンド673個が使われたネックレスが盗まれました。
盗まれたのは、世界五大ジュエラーの一つとされるヴァン クリーフ&アーペルの一点物です。
ネックレスが作られたのは1939年。エジプトのナズリ王妃が、娘の婚礼で着けるために注文したものでした。
所有者だった王妃の人生が波乱万丈だったからなのか。
「このネックレスは、私たちの一族の歴史と、エジプトの文化遺産の中でも、かけがえのない存在です。無事に回収された暁には、ふさわしい尊厳をもって、後世に受け継がれることを心から願っています」
容疑者は、2人組の男とみられています。
館内の防犯カメラに映っている姿は、顔を隠すわけでもなく、強盗犯のようには見えません。一般客と同じルートを通って、犯行に及んでいました。
美術館の入口。セキュリティーチェックが行われていますが、これは、事件後から始まったそうです。
ゲートをくぐると、広いホールに入ります。警備員らしき姿は確認できますが、ひと際、厳重という印象はありません。
ホールを抜けると、事件の現場となった企画展が行われている会場です。
企画展だったため、ヴァン クリーフ&アーペルの作品だけでも300点が展示されていました。
男たちは、ハンマーで展示ケースのガラスを割り、持ち去ったということです。
1人は、拳銃を所持していましたが、発砲することはありませんでした。
「チケットの購入から犯行、逃走まで、あっという間に終わった。(Q.その宝石だけを狙った)意図的にこの宝石を盗みました。ショーケースに展示されていた他の宝石類は放置していました」
被害にあったネックレスは、2015年のオークションで430万ドル、当時のレートでは6億9000万円という価格で落札されました。宝石的価値というより、もはや美術品です。
「犯罪組織から依頼された犯行だと確信しています。プロによる犯行であり、組織犯罪の一部と考えます。(Q.なぜプロの犯行とわかる)ピストルは持っているだけでした。2人には前科がなく、どこにも記録がありません。オーストリアのデータバンクにも記録がなく、国際手配しています」
◆オーストリア・ウィーン、地元警察本部の前にいる辻村周次郎記者に聞きます。
辻村周次郎記者
「先ほど警察への取材で、容疑者2人が、今回、被害にあったネックレスだけを狙って犯行に及んだとみられることが新たにわかりました。ほかの美術品の被害はありませんでした。さらに、犯行は、美術館に入ってから出るまで、わずか数分の間に行われ、警察は、男らが何者かに依頼を受けた組織的な犯行である可能性が高いと見ています。男らが、国外に逃亡した可能性もあるとみて、周辺国の捜査機関でも依頼をかけて、広い範囲で男らの行方を捜索しています」
辻村周次郎記者
「非常に増えています。ヨーロッパの刑事警察機構・ユーロポールのレポートによりますと、最近の美術品強盗の傾向として、こういったことが書かれています。『攻撃的・暴力的で、強引な手段への転換が見られる。また、一部の窃盗犯は、SNSやチャットアプリを通じて募集され、その場限りで、連携して依頼者と実行者が互いに面識がない』という報告がありました。日本でいう『匿名・流動型犯罪』、いわゆる“トクリュウ”のような印象を受けました。欧州全体として、このような暴力的で、非常に強引な犯罪への対策が急がれています」
◆美術館が狙われた犯行について、博物館などのセキュリティーに詳しいICOM=国際博物館会議の執行役員・栗原祐司さんに聞きました。
美術館や博物館などの宝飾品が狙われる事例がヨーロッパで相次いでいます。
約1年前には、ルーブル美術館で、155億円相当の宝飾品が奪われていますし、ウィーンでの強奪と同じ日に、スペインでも起きています。








