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2026年9月29日 11:45

AIで10億人が死亡する――急浮上する「AI警戒論」の裏側 企業価値をめぐる“思惑”

AIで10億人が死亡する――急浮上する「AI警戒論」の裏側 企業価値をめぐる“思惑”
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「人間の悪意と最新のAIの組み合わせほど強力な武器は、かつて存在しなかった」
「AIは10億人が死亡するような事態を引き起こせるほど強力だ」

米マイクロソフト創業者、ビル・ゲイツ氏は、この週末、再びAIの危険性を強く警告した。

マイクロソフト創業者 ビル・ゲイツ氏
マイクロソフト創業者 ビル・ゲイツ氏

急速にAIへの危機感が高まる中、国連総会の期間中、23日にはAIをめぐる安全保障理事会が開かれ、AI企業トップが議論に加わる異例の展開となった。

オープンAI サム・アルトマンCEO
オープンAI サム・アルトマンCEO

議場で各国の参加者に囲まれたオープンAIのサム・アルトマンCEOは、

「私たちは未来のコントロールをAIに奪われるかもしれない。AIの進化があまりにも急速で、何が起きているのか把握できなくなったり、必要な時に介入できなくなるリスクがある」

と警鐘を鳴らし、リモートで出席した新興AI企業「アンソロピック」のダリオ・アモデイCEOも、

「世界が直面している最も重要な安全保障問題だ」

と述べた。

アンソロピック ダリオ・アモデイCEO
アンソロピック ダリオ・アモデイCEO

2人のCEOは、「AI開発のスピードを落とす必要性」とともに「国際的に厳格な安全基準を設けることが重要だ」と強調した。

しかし、ここで気になるのは、なぜ今、AIへの警戒が急速に強まり、AI企業のトップが相次いで「開発の減速」を口にし始めたのか、ということだ。

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「AI警戒論」が企業価値高める?

安保理会合の後、国連のAI関連会議の委員に取材したところ、その背景の一つとして挙がったのが、「AIバブルへの懸念」だ。

現在、AI各社は過酷な開発競争を繰り広げる中で、データセンターなどの投資に巨額の資金を投じている。ブルームバーグは、メタ、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、オラクルの大手5社のAIインフラへの投資額が、来年に5割超増加し、1兆2000億ドル(約189兆円)に達する見通しだと報じている。

これほどの巨額投資に、本当に見合う収益を確保できるのか。

市場では、疑念も生まれ始めている。

こうした中、アンソロピックは秋にもIPO(新規株式公開)を目指し、資金調達を進める見通しだ。国連のAI関連会議の委員は、このIPOをめぐる動きこそが、足元の「AI警戒論」を考えるうえで、重要な要素だと指摘した。

今、シリコンバレーでは、アルトマンCEOやアモデイCEOの警戒論は、裏を返せば「AIにはそれほどの能力と将来性がある」と市場に印象付ける側面もあるとみられているという。

AIの危険性を強調することで、今後のIPOを見据えた企業価値の向上につなげる、いわば「ポジショントーク」とも受け取れる側面があるとの見立てだ。

一方、AI 企業には、別の事情もあるとみられている。あまりに速いペースで投資が膨らむ中、十分な収益を確保できず、開発ペースを落とさざるを得ないのではないかとの指摘も出ている。

そして、こうしたAIの「危険性」をめぐっては、業界内でも意見が割れている。

アンソロピックやオープンAIが開発ペースを落とす必要性を訴える一方、半導体大手のエヌビディアは規制や開発の減速に反対している。AIの開発が減速すれば、データセンターなどAIインフラへの投資が鈍り、半導体需要にも影響するためだとみられている。

エヌビディア ジェンスン・フアンCEO
エヌビディア ジェンスン・フアンCEO

AIの進化が、将来的に人間への脅威となる可能性は否定できない。

一方で、その裏にある企業間の熾烈な主導権争いにおける、人間同士の複雑な思惑と駆け引きも考慮しなければ、AIの実像は見えてこないのかもしれない。

(ニューヨーク支局長 親松 聖)

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